現代文の正しい勉強法

現代文の正しい勉強法

現代文について、受験生は「特に勉強しなくても何とかなる科目である」という錯覚を抱きがちですが、実は基本的な知識とルールを身につけながら、システマティックな学習を積み重ねることで飛躍的に学力を伸ばしていくことのできる科目です。それでは見ていきましょう。

問題

知識力は日頃の訓練の賜物

国立大・私立大を問わず、漢字などの知識問題は必ず出題されます。本文を読み出す前に、設問に一通り目を通して、知識問題を見つけたらはじめに解いてしまうのもよいでしょう。その際に思いつかなかったりわからなかったりしても、問題を解いている最中に思い出すこともあります。また、上記の関西学院大の知識問題のように、文脈を正確に押さえても、知識がないと答えを絞り込むことができないケースもあります(正解はⓐ=ホ、ⓑ=ロ)。そうしたケースは共通テストの語句問題においても見受けられますので、普段から着実に知識を身につけるよう意識する必要があります。

漢字は毎日少しずつ実際に書く訓練を行いましょう。学校の授業を含めて、生活の中で、意味の曖昧な語句(熟語・慣用表現・心情表現)があれば、すぐに辞書で調べて覚えるクセをつけて語彙を増やすのがよい
でしょう。評論用語を身につける上で、新聞の特に書評欄が入試問題の出典に直結するため、定期的に読むことをお勧めします。

先輩の体験談先輩の体験談

京都大学農学部 くん最初は過去問演習ばかりやっていたのですが、力が全然つかないな……と感じていました。今思えば、現代文に必要な知識や読み方のルール、古文に必要な文法知識が頭に入っていない状態で、いくら問題演習をしても成績が伸びるはずがありません。そこでまずは、しっかり基礎を固めることに。すると着々と力がついていき、京大模試の国語の偏差値が55→73まで伸び、秋の模試では数千人中60位に! 苦手だった国語を得点源に変えられました。

コラムコラム Column

「記憶力を高める」シリーズ②
~「繰り返し」で開通 記憶のネットワーク~

人間、一度学習したことが完璧に使えるなんてことはありません。皆さんにも一度やったはずなのに忘れてできなかったという経験はざらにあると思います。一方で、あまり回数をこなしていないように見えるのにできてしまう人がいるのも事実です。どこが違うのでしょうか。学習したことを使えるようにするには、どんな人でも繰り返しが欠かせません。人間の脳は、学習して繋がった回路でも使わないまま放っておくと使えなくなってしまいます。ですが、何度も繰り返し使うことで学習した内容へのアクセスが良くなり、使えるようになるのです。あまり回数をこなしていないように見える人は、一つの科目を勉強する中でも、いろいろな知識や情報との関連づけを意識的に行っているため、相対的に少ない回数で覚えてしまうことができているのです。とは言っても、間違いなく学習した内容を使えるようにするためには、繰り返すことが不可欠です。

傍線部の理解を問う問題(客観問題/記述問題)は指示語に注目

共通テストや私大入試では、本文に傍線が引かれて、その内容の言い換えとして適切な選択肢を選ばせる問題がよく出題されます。こうした問題では、すぐに選択肢を見てしまうと、かえってその文言に引っ張られて吟味に時間がかかります。そのため、まずは傍線部の前後にその内容を説明している箇所を見つけて正解のイメージを自身でつくり、次に選択肢を見て、イメージ通りのものを選ぶようにしたいところです。その際、基本的なことですが、傍線部のそばに指示語が含まれていたら、その指示語がどこを指しているのかを素早く確認することが非常に重要です。

問題

例えば、上記サンプル①は2021年の共通テスト(第一日程)の第1問ですが、傍線部の直後に「そうした」という指示語があるため、この場合は直前の内容を正確に理解すればよいことがわかります(正解は①)。

国立大では本文に傍線が引かれて、その内容や理由を説明させる記述問題が出題されます(内容説明問題・理由説明問題)。解く手順としては、共通テストや私大入試と同様に、傍線部の前後にその言い換えや理由が述べられているため、はじめに、材料となりそうな複数の箇所に印をつけておいて、後でそれらを繋げて解答を作成するよう心掛けましょう。

問題

サンプル②は東大の2020年の第1問ですが、傍線部内に「そこ」という指示語があることに気がつきますね。したがって、共通テストと同じく、直前の内容を正確に理解することで、「弱肉強食のルールが正当化される」米国では、「個人間の能力差」は「各人の才能と努力次第で社会上昇が可能だと信じられている」から…、という解答の大枠をつかむことが可能になります(解答例:「機会均等に基づく自由競争が容認される米国では、勝敗の原因は各人の能力不足に帰せられ、改革による格差改善の意識は共有されにくいから。」)

設問には「わかりやすく説明せよ」などという条件がついていることもあるため、また採点者に対して本文中の語句の意味を正確に理解したうえで解答を作成していることを示すため、難解な語句は直接的で易しい言葉に言い換えることが必要になります。ポイントはあまり細部にこだわらず、まとまり(=意味段落)ごとに何を言っているのかをつかむように心掛けることです。傍線も、まとまりごとに引かれていることが多いです。現代文読解における基本的なポイント、すなわち、指示語や接続語、強調表現、形式段落の最後の部分などに注目しながら、適切にしるしをつけましょう。

共通テストと同様に、時間を効率よく使うため、本文を読みながら設問ごとに解答を作成していくのもよいですが、その場合は筆者が一番言いたい主張と齟齬が生じないかを、最後に確認する必要があります。できれば書きあげた答案は、学校の先生など、指導者に添削してもらうのが良いでしょう。

小説の問題は心情の変化に注目

小説を題材にした問題は、共通テストでは第2問で、私大ではまれに、国立大では東北大、筑波大、京都大、大阪大(文)、広島大などの難関大で出題されます。小説問題を解く際には、特に登場人物の心情に着目します。そして心情は必ず変化するため、どういう心情からどういう心情に変わったか、またその変化の原因は何か、といった点を常に意識しましょう。心情を理解するためには、各登場人物のセリフ、行動、情景描写が判断の根拠になります。

問題

上記のサンプルは、やはり主人公の心情を(比喩的に)表現した箇所に傍線が引かれており、その内容が問われています。ここでは主人公が「擽くすぐられるような思おもい」をする直接的な理由は、妻のセリフ(「飛び離れていいものを…」)にあります。そしてまた、そうした妻への返答の仕方(「…誤 ご魔ま化かして居た」)のうちに、主人公の心情ははっきりと示されています。したがって、この二点を踏まえて選択肢を選べます(正解は③)。

普段からできる小説対策としては、近代の小説、特に反自然主義のグループに属する夏目漱石・森鷗外などの作品を中心に読むことが挙げられます。明治・大正期の文体に慣れることができると同時に、近代に生きる日本人が何を考え、何と闘っていたのかの概略をつかむことができるはずです。その際にはやはり、小説読解の基本的なポイント、すなわち各登場人物のセリフや行動、情景描写に着目することで、彼らの心情を正確にとらえることを何よりも心がけたいところです。

まとめ まとめ Summary

現代文はまずは語句強化、そして指示語が何を指すかを正確に判断できるようになる必要があります。また、現代文は時間を見つけて、入試最頻出の著者の文章に触れておきたいところです。具体的には、鷲田清一や内田樹、村上陽一郎など、教科書にもその文章が採択されている著者の新書や文庫などを一冊購入して通読しておくことは、頻出テーマの理解にも繋がり、お勧めです。小説は学校の教科書で気になった作家の別の作品を読むのもよいでしょう。最新の共通テスト第二日程で出題された、津村記久子の作品など、書店で平積みされている現代の流行作家の小説にも、ぜひ触れておきたいところです。

先輩の体験談先輩の体験談

広島大学経済学部 くん僕は苦手だった現代文が43点から90点まで伸びました。理由は、問題を解いたら答え合わせをするだけでなく先生にも見てもらって、なんで自分が同じような問題を何回も間違えるのかも教えてもらえたからだと思います。僕の場合は指示語を適当に読んでいたからで、現代文読解での指示語の重要性にも気づけました。

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