高校中退を検討する場合、様々な不安が付きまといます。
・せっかく高校に入学したのに…
・最終学歴が高卒だと就職が大変だ
・大学には行ってほしかった
色々とネガティブな声も聞こえてきてしまうでしょう。
しかし、今の状況を変える必要があり、高校中退を検討しているのだと思います。学校での人間関係や学業不振、あるいは家庭の事情、心身の不調など、様々な理由で悩み、迷っているのではないでしょうか。
そこで今回は、高校中退後のさまざまな選択肢を紹介します。不安を乗り越え、あなたの納得いく選択をするために少しでもお役に立てればと思います。
目次
高校中退の割合は?理由は?
文部科学省の調査によると、高校の中途退学者数 は43,401 人でした。中退率は1.4%です。およそ100人に1人以上が中退しているという計算になります。
参考資料:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
高校を中退した理由は、「進路変更」が最も多く43.9%、およそ半分を占めます。そのほかの理由は、「学校生活・学業不適応(32.8%)」「学業不振(6.0%)」「病気けが死亡(4.9%)」となっています。
中退後の選択1:就職する
「高校中退後の就職」をネットで調べてみると、「高校中退から有名企業へ就職!」「学歴不問の求人」「高校中退の正社員求人情報」等、高校を中退しても就職には心配ないと思わせるような言葉が並んでいます。たしかに、一部の人にとって高校中退は気になることではなく、むしろ「中退してよかった!」と言っている人さえもいるほどです。
しかし、実際のところはどうなのか?数字で見ていきましょう。
ほとんどの人が高校を卒業する時代である
高校中退の場合、最終学歴は「中卒」となります。今、日本の高校進学率は「98.8%」、先ほどの中退率を見てもほとんどの人が高校を卒業しています。そのため、採用条件を「高卒以上」としているところが多く、仕事を探そうにもそもそも中退では応募すらできないということも珍しくありません。
「学歴不問」が意味するものは?
就職活動をする際には、様々な求人情報を目にすると思いますが、求人票には「学歴不問」と記載されている場合があります。
「学歴不問」という求人は何を意味するのかと言えば、「…高卒や大卒などの区分関係なく、企業が採用するということです。学歴を採用の判断基準にする必要性が少ない」ということを意味しています(東京しごとセンターによる解説)。
その意図としては、経験やポテンシャル重視の採用であり、前職の経験や実績を見ますということだったり、間口を広げて応募数を増やしたかったり、体力を必要とする肉体労働の仕事で若い労働力が必要だったり、こうした採用側の思惑もあります。
少し古いデータになりますが、東京労働局の調査によると、求人全体の86.3%が「高校卒」と「学歴不問」でした。一方で、就職者全体の75.2%は「高校卒」と「大学卒」、つまり「学歴不問」と言われている求人には中卒の人だけが応募するのではなく、高卒や大卒の人が応募しているということです。
中卒での正社員就職は厳しい
現在の日本において、雇用者の約4割は非正規雇用者、つまり正社員ではありません。総務省の「労働力調査」によると、役員を除く雇用者のうち、正規雇用者((正社員)の割合は63.0%、非正規雇用者の割合は37.0%となっています。非正規雇用とは、具体的にはパートタイマー、アルバイト、契約社員、派遣社員などのことを指します。正社員に比べて、雇用期間が不確実であったり、賃金やボーナス、退職金が期待できなかったり、各種手当を含む福利厚生の不足したりなど、労働条件が良くない傾向にあります。
厚生労働省が発表した令和5年若年者雇用実態調査の概況『現在の就業状況』によると、若年者(15歳~34歳)の学歴別の正社員就職率は、大卒が87.3%、高専・短大卒が68.7%、中卒は34.0%、高卒は63.5%です。
この結果から、最終学歴が高くなるほど正社員として就職しやすい一方、中卒の正社員就職率は大卒の半分以下、正社員の職を得ることは容易ではないということがわかります。
中退後の選択2:資格取得を目指す
最終学歴が中学卒業・高校中退の場合、正社員での就職が厳しいのですが、学歴以外に特別な資格を取得しているなどの専門性の高さで就職を目指すことも可能です。
就職に役立つ・就職に有利な資格の中にも、受験資格に制限がなく、中卒でも取得することが可能な資格がたくさんあります。
■就職に有利な国家資格の例
受験資格 | 業務独占資格 | |
司法試験(弁護士) | 法科大学院修了、もしくは司法試験予備試験の合格者 | 〇 |
公認会計士 | なし | 〇 |
税理士 | 日商簿記1級合格・実務経験など ※日商簿記1級の受験資格はなし | 〇 |
ファイナンシャルプランナー(FP)3級 | FP業務に従事している者または従事しようとしている者 | |
宅建物取引士 | なし | |
行政書士 | なし | 〇 |
保育士 | 短期大学卒業程度 | |
社会保険労務士(社労士) | 短期大学卒業程度もしくは3年以上の実務経験 | 〇 |
介護福祉士
| 「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高等学校ルート」のいずれか | |
電気工事士(第二種) | なし | |
衛生管理者 | 大卒 ※高卒・中卒の場合には一定の実務経験が必要 | |
危険物取扱者(乙種) | なし | |
司法書士 | なし | 〇 |
ボイラー技士 | なし | 〇 |
不動産鑑定士 | なし | 〇 |
土地家屋調査士 | なし | 〇 |
弁理士 | なし | 〇 |
通関士 | なし | 〇 |
※「業務独占」の資格は、一般的な資格よりも取得難易度は高くなりますが、就職に非常に有利です。
そのほか、英語関連の資格やITパスポートなども、就職の際に有利な資格とされています。
中退後の選択3:別の高校に編入する
高校中退後に、別の高校に編入をするケースについても見ていきましょう。
高校は大きく3種類あります。それぞれの学校数は以下の通りです。全日制高校が最も多く全体の8割以上を占めます。
種類 | 学校数(割合) |
全日制高校 | 4,702校(84.0%) |
定時制高校 | 640校(11.4%) |
通信制高校 | 257校(4.6%) |
※令和2年度のデータ
全日制高校
全日制の別の高校に編入し、新たに高校生活をスタートすることができます。
学力や体調の面で不安がある場合には、学校からのサポートが期待できるかどうかを入学前に確認しておくとよいでしょう。
定時制高校
定時制高校には単位制と学年制があります。また、夜間や3部制など、学校によって様々です。仕事やアルバイトなどと両立しやすいと言えるでしょう。
定時制高校は通学して対面での授業を受けます。通える範囲に希望するカリキュラムの高校があるか、しっかり調べましょう。
通信制高校
通信制高校のほとんどは単位制です。年数日のスクーリングを除き、学校に登校しなくてもよく、自分のペースで高校卒業を目指すことができます。
通学日数や学習ペースの調整がしやすく、3つの中では最も柔軟性の高いカリキュラムが組めると言えます。
中退せずに高校に転入するという方法もある
今の高校をいったん中退してから、別の高校に入り直すことを「編入」と言います。一方で、今の高校に在籍している時に別の高校に変わることを「転入」と言います。この2つは区別されており、「編入」「転入」それぞれにメリット・デメリットがあります。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、あわせてチェックしてみてくださいね。
高校を中退しようとか迷っている方もいらっしゃると思います。その後の選択肢として「通信制高校」を検討中という方も多いでしょう。 実際に「通信制高校」の入学案内を取り寄せてみると、新年度からの入学だけでなく「転入・編入」につ …
中退後の選択4:高認資格を取得する
高校卒業資格を得るためには、学校に通うほかにもう1つ方法があります。それが、高等学校卒業程度認定試験(高認)に合格するということです。
高認試験は、旧・大学入学資格検定(旧・大検)とも呼ばれています。現在では、名称は変わりましたが、合格することで「高校卒業をした人と同程度である」と認められます。就職活動や資格試験の受験資格などでも、高卒の人と同じように扱われます。もちろん、大学に進学することも可能です。
高認試験について詳しくはこちらのページで解説しています。
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まとめ・高校中退するとどうなる?
今回は、高校を中退するとそのあとどうなるのか、進路や将来の選択肢について詳しく見ていきました。就職にしても資格試験についても、かなりハードルが高いことがお分かりいただけたかと思います。
高校中退後に最もおススメする進路は「通信制高校で学ぶこと」です。
通信制高校であれば、自分のペースで勉強できますし、アルバイトや資格試験のための勉強とも両立しやすいでしょう。また、卒業すれば「高卒資格」を取得できますから、これからの就職活動や大学進学など、進路の幅を広げることができるでしょう。
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