今回は、通信制高校のスクーリングについて詳しく見ていきます。
特に「スクーリングは行きたくないな」「できるだけ通わずに済ませたい」と思っている方にぜひ読んでいただきたい内容となっています。

では早速いってみましょう!

スクーリングはゼロにはならない!?

通信制高校は、学校に通う必要がなく、家での勉強のみでOK!というイメージを持っている人も多いかもしれません。実は・・・通信制高校は最低でも年に数回、対面での指導(面接指導 )を受ける必要があります。これは「スクーリング」とも呼ばれています。

全日制高校のように、ほとんど毎日のように学校に通うタイプの通信制高校もあれば、普段は通学せず、夏などに合宿や研修という形でスクーリングを実施する通信制高校もあります。中には「スクーリングなし!」と謳っている通信制高校もありますが、実は完全にゼロではないのです。

スクーリングに行きたくない理由

通信制高校のスクーリングが気になってしまう、その理由は「スクーリングに行きたくないから」ではないでしょうか。「そもそも学校に通わなくていいから通信制を選んだのに、スクーリングなんて嫌だ!」という人もいるでしょう。

そこで、スクーリングに通いたくない理由をピックアップしてみました。

・人と接するのが苦手
・集団行動が苦手
・長時間の拘束が不安
・バスや電車での移動が不安
・時間通りに行けるか心配
・自分のペースで勉強したい

 

苦手や不安という言葉は「緊張」に言い換えてもよいかもしれません。また、不安が大きすぎて体調不良になってしまうこともあるでしょう。「スクーリングが楽しみ」という生徒さんがいる一方で、スクーリングが苦手という人は少なくありません。

もし、スクーリングに行かないとどうなる?

では、もしもスクーリングに行かなかったらどうなってしまうのか?結論から言えば、「卒業に必要な単位が取れないので、高校を卒業できない」ということになります。

先生

もう少し詳しく見ていきましょう。

通信制高校は「単位制」が多い

多くの通信制高校で採用されているのが「単位制」です。単位制とは、必要単位数を満たせば卒業できるという制度です。通信制高校の場合は、3年以上の在籍という条件も付きます。「3年以上」なので、4年でも5年でも10年でもかまいません。実際10年かけて通信制高校を卒業される方もいるようです。
ちなみに、全日制では「学年制」がとられていることが多く、「1年間の単位数」が決まっていて、もし単位をとれなければ留年となります。留年すると「2年生を2回やる」などのように、同じ学年をやり直すことになります。単位制では学年の意識は比較的希薄になります。

スクーリングは高校卒業に必要な単位

さて、通信高校で単位制の場合には、高卒資格を得るための条件の1つは、「必須科目を含む74単位以上を取得すること」となっています(学習指導要領)。この「必須単位」の中に面接指導、つまり「スクーリング」の単位が含まれています。添削指導はレポートや課題提出という形で、自宅で取り組むことができますが、面接指導については直接参加が必要です 。
教科・科目ごとの、1単位の添削指導回数と面接指導回数は、以下の通りです。

各教科・科目添削指導(回数)面指指導(回数)
国語、地理歴史、公民及び数学に属する科目
理科に属する科目
保健体育に属する科目の内「体育」15
保健体育に属する科目の内「保健」31
芸術及び外国語に属する科目34

スクーリングは一部免除できる

定期テストの点数が悪かった代わりに、補講に出て単位をもらうとか、レポートを書いて単位をもらう、という話を聞いたことがあるかもしれません。すると「代わりのレポートや課題でスクーリングを免除されないのか?」という疑問も出てくることでしょう。

スクーリングは免除できないことになっています

ただし、昨今では映像による授業やオンラインでの指導など、様々なメディアで対面と遜色ない学習指導も可能になってきています。そうした事情も踏まえ、複数のメディアを利用することで、面接指導等時間数のうちメディアごとにそれぞれ10分の6以内の時間数を免除することができることになっています。 全て免除はできないけれど、スクーリングを減らすことはできます。

スクーリングの目的

スクーリングには2つの目的があると言えます。「学習の質を確保する」そして「本人確認」という目的です。

通信制高校は、そのシステム上、先生や同級生との対面コミュニケーションは豊富とは言えません。そうしたコミュニケーションなども含め、自宅学習だけでは体験できないようなことをスクーリングで学ぶ、ということにあります。
さらに、
「確実な本人確認や不正行為防止の仕組みを構築するなど、実施校の適切な監督下で実施すること。」
も必要であるため、スクーリングをゼロにすることはできません。

通信制高校の変化

そもそも通信制高校とは、家庭の事情や仕事の関係で、全日制高校や定時制高校に通えない人のための教育制度でした。しかし最近では、不登校生徒の受け皿としての役割や、eスポーツなどの新たな分野の学びに関するニーズに応える等、通信制高校も多様化しています。
しかし、一部で不適切な学校運営があったり、教育活動の健全性が維持できなかったりするケースも報告されており、生徒や保護者が多大な不利益を被ってしまったということもありました。学校教育本来の目的からかけ離れた教育活動が行われないようにするためにも、自宅だけで完結するのではなく「スクーリング」といった形でふさわしい教育がなされていることを担保する必要があるということです。

スクーリングで得られるものは大きい

通信制高校でのスクーリング(面接指導)では、授業に参加したり、先生に勉強や進路について個別に相談したりすることができます。学習の理解を深め意欲を促すことにつながります。
そのほかにも部活動に参加したり、それぞれでがんばっている生徒たちと交流することもできるようになっています。

【スクーリングに参加してよかったこと】
・友達ができた
・外出する練習になった
・レクリエーションが多く楽しかった
・勉強がイメージできた

 
スクーリングの参加日数が少ないのは、短期集中の合宿形式でのスクーリングです。勉強(座学)以外にも自然体験や職業体験、運動をして体づくりをすることができます。
毎日登校型の通信制高校も存在し、通常の授業のほかに専門的に学んだり友達と交流したりする時間が多く取られているケースもあります。

毎日登校したい人も、できるだけ登校頻度を少なくしたい人も、スクーリングに参加することで、多くの学びや発見があります。スクーリングの頻度や内容などを事前に確認し、自分に適した高校生活を送っていきましょう。

 


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四谷学院ブログ編集部

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