豊田工業大学 物質工学分野 数理物理学研究室 富沢 真也 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

アインシュタインを超えろ!
ブラックホールを解き明かし、新たな物理法則を検証

豊田工業大学 物質工学分野 数理物理学研究室 教授
富沢 真也 先生


相対性理論さえも破綻するブラックホールの中心をどう説明する?

私の専門は相対性理論および重力理論であり、特に、ブラックホールの理論的研究をしています。
ニュートンの法則や万有引力の法則が発見されてから、我々人類は身の回りの物体の運動や惑星の運動をよく理解できるようになりました。しかし、強い重力場や高エネルギーの宇宙現象の場合、これらの法則は適用できません。これらの現象を説明するにはアインシュタインが提唱した一般相対性理論が必要です。この理論は水星の近日点移動や光が重力によって曲げられる現象を説明し、さらに驚くべきことに、重力波が存在することを予言したり、宇宙には暗黒天体としてブラックホールが存在することを予言したりしたのです。そして、予言から100年後には合体する二つのブラックホールから放出される重力波が観測され、予言が正しかったことが証明されました。このように相対性理論はニュートン理論では説明できない現象をうまく説明し、多くの成功を収めています。また最近では、電波望遠鏡でブラックホールの影が初めて撮影され、大きな話題になりました。
しかし、ブラックホールの中心近くや宇宙の始まりのような極端な状況では、相対性理論も破綻してしまい、より大きな枠組みの新たな理論が必要です。その有力な候補として、粒子を1次元の弦として扱う弦理論のような、空間次元が3よりも大きな高次元理論が提案されています。しかし、これらの理論を支持する実験的証拠はまだありません。これらを検証するためには、高次元理論特有の現象を明らかにし、観測や実験によって理論が正しいことを確認する必要があります。特に、次元によって性質が全く異なるブラックホールの特性を明らかにすることは重要です。こうした相対性理論を超える新たな理論の検証を狙い、新しい高次元ブラックホール解を次々に求めて、その物理的性質を明らかにしています。

恩師と語った宇宙が導いた理系への転向

私は高校時代、法律家になることを目指していたので元々は文系でした。だから、当時は、ブラックホールの研究者になるとは夢にも思っていませんでした。ただ、数学は好きで得意な科目だったので、テキストとは違う独自の解法を考え、放課後はよく数学の先生のところへ議論や質問をしに行きました。その先生が、天文学分野で博士号を持っており、雑談で宇宙の話をしてくれたことが、宇宙やブラックホールに興味を持つきっかけです。その興味は次第に強まり、大学で相対論を学びたいと思い、理系への転向を決意しました。

試行錯誤と失敗から得られる成功と幸福感

研究過程は失敗の連続ですが、何十回もの試みの中で、たまに発見があります。その発見は、自分だけが知っていることであり、将来的に大きな注目を集める可能性がある成果かもしれません。成功するまでの道のりはつらいものですが、成功した瞬間には、言葉では表現できないほどの幸福感を得ることができます。これは、登山家が頂を目指して感じる気持ちに似ていると思います。
また、理論研究の醍醐味は、実験研究と違って場所を選ばずどこでも行えることです。自由に発想し、何でも考えることができますし、ほとんどお金がかかりません。世界中の研究者とオンラインでリアルタイムに共同研究ができることも大きな魅力ですよ。

富沢先生からのメッセージ

大学では、自分の興味があることに取り組むことをおすすめします。ただ待っているだけでは、やりたいことや興味があることは見つかりません。自分から積極的に動き、探す必要があります。やる前から「どうせできない」と思わず、とりあえず試してみることが重要です。自分の可能性を自分で制限することなく、挑戦してみてください。

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