立命館大学 理工学部 ロボティクス学科 手嶋 教之 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

福祉工学 ~身体障害者や高齢者の幸せ向上を目指して~

立命館大学 理工学部 ロボティクス学科 教授
手嶋 教之 先生


車いすから福祉ロボットまで

私の専門は福祉工学です。福祉工学とは、身体障害者や高齢者のための機器を研究・開発する学問分野になります。ロボティクス学科に所属していますから福祉ロボットもやっていますが、車いすなどのローテクといわれる機器も含めて研究しています。具体的には、安全な福祉ロボットのための基礎的研究、音声操作電動車いすの開発、四肢麻痺者用イヤリング型頭部入力装置の開発、高齢者のためのアミューズメントに関する基礎的研究、快適な車いす用クッションの開発などを行っています。

入口は動物行動学への興味

私は親が医者だったため、高校時代は医者になるか工学系に進むか、ずっと迷っていました。工学系の大学に進んでから、さまざまな分野の本を乱読するうちにコンラート・ローレンツやリチャード・ドーキンスに影響されて動物行動学を学びたいと考え始めましたが、すでに工学系に進んでいるし、日本で動物行動学を学ぶには京都大学に行くぐらいしか選択肢がなく、大きな進路の変更が必要でした。いろいろ考えているうちに、人間も動物の一種だと気が付き、人間を扱う工学分野として、医用精密工学という講座に入れてもらうことになり、そこで医用機器や福祉機器に関する研究をして、その面白さを実感しました。修士修了時に縁があって、国立身体障害者リハビリテーションセンター(当時)の研究所に就職することができ、その後ずっと福祉工学を研究しています。

必ずしも最新のハイテク機器が良いとは限らない

工学者はどうしても機能に注目しがちです。できなかったことができるようになれば良いことだと考えるのが普通です。しかし、福祉工学の分野ではそうではありません。福祉の最終的な目的は幸せになることです。できないことがあっても幸せになる方法はたくさんあります。できなかったことができるようになっても、必ずしもそれが幸せにつながるとは限りません。機能だけでなく、経済性・安全性・使いやすさ・使用環境・心理面など様々な観点から考えて、総合的に人の幸せを向上させる機器を開発しなければ使ってもらえません。そう考えると、最新の高機能ハイテク機器が必ずしも良いとは限りません。単機能のローテク機器の方が安くて使いやすいかもしれないからです。しかし使いやすさや心理面などは数値目標を決められるようなものではなく、どこを目指せば良いのかは曖昧です。そこが難しさであり、面白さだと思っています。

手嶋先生からのメッセージ

人工知能やロボットが人間の仕事を奪うと言われる時代になっていきます。この時代にどのように大学で学ぶかをよく考えてください。答えを丸暗記なんかしても人工知能にかなうわけがありません。今流行している学問分野は、大学を卒業する頃にはもう古臭くなっているかもしれません。そういう時代を切り拓いていくみなさんに必要なのは、①コミュニケーション能力やリーダーシップ、積極性といった人間力、②しっかりした基礎学力、③広い知識だと考えます。理系の皆さんなら②は特に数学です。今後どんな時代になっても数学は変わりません。数学に関してしっかりと学んでいれば、どんな時代になっても対応できるでしょう。③の広い知識も重要です。ひとつの専門分野しか知らない人よりも広い知識を持った人のほうが活躍できる時代になってきています。福祉工学のような複数の分野にまたがる学問分野では特に広い知識が必要です。また、①を磨くためには、多くの友人を作り、遊び、恋をし、たくさん失敗してください。大学入試での失敗ですら、それが人としての成長につながる失敗ならば問題ないでしょう。

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