立命館大学 理工学部 環境都市工学科 金 度源 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

地域の人々をまちづくりの主役にするために
理論と実践の両面から研究に取り組む

立命館大学 理工学部 環境都市工学科 准教授
金 度源 先生


災害から人々を守る研究
「歴史都市防災」と「地域デザイン」

歴史都市防災と地域デザインという二つの研究分野に挑戦しています。
まず「歴史都市防災」は、いわゆる文化遺産と歴史文化が基になる伝統的な街並みや都市を対象にした防災の研究です。この防災の研究には主に大きく二つの目的があると思っていまして、その一つは地震、洪水、火災などに代表される災害から文化遺産とそこにいる人々の命を守るための技術開発と計画手法の考案です。もう一つは人間の寿命よりも遥かに長い歴史の中で様々な災害を経験した文化遺産が、どのようにして災害を乗り越え、災害に備えてどのような対策をされていたのか、その知恵をシミュレーションなどで検証することです。
一方で、現実を見るとこのような技術開発と計画づくりにはかなり時間がかかります。そのため、人々の“防災力”を高めることや互いのつながりを強くすることを通して、すぐにでも現場に役に立つ防災とまちづくりに関わる研究も行なっています。このまちづくり研究の分野においては、「地域デザイン」や「コミュニティデザイン」という手法を通して、地域の主人公となるべき地域住民が、自ら地域の問題を解決できるように知識や経験をつけ、コミュニティを作ることを目的としています。最近は、町並みや公園、オープンスペース、水辺、道路インフラなどの都市空間をデザインするための地域住民の参画を元にした「コミュニティデザイン」手法に基づく「都市と地域づくり」と「これからの文化づくり」について考えています。例えば、公共の場所でありながら誰もが使いづらくなっている公園や水辺などの空間を、自分らのルールに基づいて気持ちよく使うための方法について社会実験を企画しながら検証しています。

大切なのはコミュニケーションと地域住民の参加
現場と知識の橋渡しができる研究者を目指す

私は幼い頃から知識深い面白い大人達に囲まれ、話を聞きながら「学ぶ楽しさ」を感じていました。学部を卒業するタイミングである2008年に、韓国の文化財建造物である南大門を火災で無くした事件を契機として歴史都市や文化遺産を災害から守る研究の必要性を感じ、立命館大学大学院に入学しました。大学院での研究を通して、学んだ知識を正しく使うためには、現場とのコミュニケーションと、地域のプレイヤーに主人公になってもらうことが大事であることを悟り、現場と知識との間をつなぐ橋渡しのような役割が果たせる研究者になろうと思いました。現在は積極的にまちづくりの現場へ飛び込み、地域独自の歴史や文化、社会構造への理解を深め、その価値について正しく評価できるよう、まちや地域とコミュニティについて調査分析し、理論と実践の両面から研究に取り組んでいます。専門家ではない地域の人々がまちづくりのことを自分ごととして理解し、また活躍してくださるようになった時には、何よりも大きな喜びを感じます。

金先生からのメッセージ

私が受験生だった頃には、勉強をする特別な理由を見つけられずに、世界的にも有名な“韓国の受験戦争”に巻き込まれていました。それでも大学の進学時には、自分がやりたいことが何かを自分で何度も問い直した結果、韓国の伝統的な建造物の修復設計を専攻することにしました。韓国で大学を卒業し、大学院で本格的にまちづくりの現場に関わる研究に取り組み始めると、地域住民や行政、専門家との有益なコミュニケーションを行うためには、幅広い分野の知識が必要になるということに気がつきました。その時、高校で学んだ基礎的な知識が大学を通して熟成され、本当に役に立つものになったことを日々肌で感じています。今、皆さんが一生懸命に学んでいる知識は受験のためだけではなく、将来必ずこの世の中をより良くしていく滋養になります。自信を持って学び、そして都市や地域の文化を育てる研究領域に挑戦していただけることを大いに期待します。

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