Interview
「こんなことができたらいいな」をカタチに
目指すのはスマートで持続可能な社会の実現
名城大学 情報工学部 情報工学科 准教授
鈴木 秀和 先生
人々の生活を高度にサポート
私たちの研究は、「ユビキタスコンピューティング」に関するものです。これは、身の回りのあらゆるモノに通信機能を持つマイクロコンピュータやセンサを埋め込み、それらが相互に情報交換しながら協調動作することで、人々の生活を高度にサポートする環境を実現する技術です。具体的には、以下の3つの研究分野に焦点を当てています。
1.モバイルネットワーク:
コンピュータを搭載したモノが移動中でも、確実かつ安全に通信を行うためのプロトコルやネットワークアーキテクチャに関する研究しています。無線通信技術、暗号技術、分散処理技術など、多くの要素技術を扱います。
2.スマートホーム:
異なる通信規格を持つスマート家電やIoTデバイスを連携させる仕組みを研究しています。これにより、家庭内のデバイスがシームレスに連携し、住環境をより快適で効率的にすることを目指しています。
3.スマートコミュニティ:
屋外に設置されたIoTデバイスを活用して都市データを収集し、社会課題の解決に応用する技術を研究しています。現在はゴミ収集車やゴミ集積所にIoTデバイスを設置してスマート化することにより、都市のゴミ排出・回収に関するデータを見える化する取り組みを行っています。
私たちはこれらの研究を通じて、よりスマートで持続可能な社会の実現を目指しています。
大学時代のプログラム開発が研究の礎に
私が本格的にプログラミングを始めたのは大学生になってからです。卒業研究ではネットワークセキュリティに関する研究に取り組みました。独自のプロトコルやネットワークアーキテクチャを設計し、それを「FreeBSD」というオープンソースのUNIX系オペレーティングシステム(OS)に組み込む作業を行いました。自分が開発したプログラムが複数のコンピュータで動作し、それらが通信することで、今までできなかったことができるようになるという経験が、私の研究の礎となりました。
パソコンさえあれば、いつでもどこでも誰でも
先に挙げたモバイルネットワーク、スマートホーム、スマートコミュニティの分野には、技術的および社会的課題が多く残されています。これらの課題を解決するためにアイデアを考え、プログラミングやハードウェアの設計を通じて具現化していく過程が非常に面白いと感じています。情報工学の魅力は、パソコンさえあれば、いつでもどこでも誰でもこれらの実践が可能である点にあると思います。
また、自治体や企業と共同で研究プロジェクトを多数実施しており、現実世界の課題を解決し、私たちの生活に目に見える形で研究成果を実感できることも大きなやりがいです。これにより、研究が社会に与える影響を直接感じることができるのは非常に励みになります。
「こんなことができたらいいな」「あんなものを作ってみたいな」という思いを、一度は持ったことがあると思います。どんな小さなことでも構いません。ぜひ一歩を踏み出してチャレンジしてみてください。成功や失敗に関わらず、その行動があなたを大きく成長させ、そこで得た経験はあなたにとって大きな財産となり、次のチャレンジに繋がることでしょう。