岩手大学 理工学部 システム創成工学科 知能・メディア情報コース 松山 克胤 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

ユーザの視点に立って創造的で実用的なアプリを開発

岩手大学 理工学部 システム創成工学科 知能・メディア情報コース 教授
松山 克胤 先生


そのアプリには、どんな機能が必要か?

私たちの研究室では、新しいアプリケーションのアイディアを考え、実際にそれを作成しています。最近は特に、クリエイティブな作品作りを支援するアプリに興味を持っています。具体的なトピックとして、「おはなし迷路」や「シャドーボックスアート」など、特定のアート作品を簡単に作れるように手助けするアプリを開発しました。
研究では、まず実際のアート作品を観察し、その作り方を徹底的に分析します。この分析から、どんな機能がアプリに必要か、どうしたらもっと使いやすくなるかを考え、具体的な開発に移ります。アプリ開発には、アイディアの創出からユーザインタフェースのデザイン、プログラミングまで、多角的なスキルが必要になってきます。情報技術に関する深い知識は不可欠です。それがあれば、さまざまな種類のアプリケーションを幅広く作成できるようになります。ただし、技術的なスキルだけでは十分ではありません。ユーザの視点に立って考える能力や、デザインとアートに関する考え方も重要です。これにより、より創造的で実用的なアプリケーションの開発が可能になります。

作品や人との偶然の出会いから研究の道へ

私が小学1年生のときに発売されたファミリーコンピュータは、この道に進む一つの大きなきっかけだったと思います。子供の頃、面白いゲームに触れたり、コンピュータから鳴る音楽を聴いたり、作品制作者のストーリーを読んだりしながら、ワクワクしていました。高校生のときには、コンピュータで何か作るような仕事ができれば良いなと思っていたので、大学は「情報工学」を学べるところを選びました。大学時代、コンピュータグラフィックスの研究室に所属し、研究活動が楽しかったという安直な理由からではありましたが、博士課程に進むことを決めました。その後、勤めた大学で、授業やプロジェクトを通じて情報デザインやアプリケーション開発にも携わるようになったことが、現在の研究へと繋がっています。振り返ってみると、作品や人との偶然の出会いが、研究のきっかけになっていると言えますね。

新しいアイディアを形にすることへ挑戦する楽しさ

私は、自分でアイディアを考えて、それを形にしていくプロセスが好きで、このプロセス自体に面白さを感じています。研究においては、まだ誰も手がけていない新しいアイディアを考え出す必要があるのですが、自分にそれができるかどうかといった、挑戦するような気持ちをもって取り組むところに、やりがいがあります。プログラミングも私の興味の一つで、目的のアプリケーションをどのようにして開発するか、その過程を楽しんでいます。簡単に作ることができない場面に直面することも少なくないですが、どう工夫して乗り切るかを考えるのも楽しいです。また、情報技術の学びには、技術的な工夫やアイディアを集めて自分のものにしていくという側面があります。学ぶ過程で、面白い工夫に出会って感動することも珍しくありません。

松山先生からのメッセージ

「仕事の90%は準備である」と言われるように、準備の大切さを説く言葉は数多く存在します。未来がどうなるかわからないからこそ、どんな状況にも楽しく対応できるよう、様々な可能性に備える準備が重要です。また、柔軟な思考と行動を実現するためには、しっかりとした基礎が不可欠です。基礎を怠ることは、長期的に見てリスクが伴います。将来的に求められるスキルや知識を予測するのは難しいですが、確かな基礎があれば、変化にも柔軟に対応し、問題の本質をつかむことができます。ですから、長期的な視点でみても、基礎の学びが非常に重要です。皆さんの受験の成功を心から願っています。

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