法政大学 文学部 高橋 敏治 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

睡眠と覚醒について知ると生活の質が上がる?
中高生の誰もが経験したことがある「社会的時差ぼけ」
「時差ぼけ」のメカニズムを解明する

法政大学 文学部 心理学科 教授
高橋 敏治 先生


月曜の朝、起きられないのはなぜ?

研究内容は、睡眠科学です。もともとは精神医学の出身で、脳波を用いた睡眠研究を行っていましたが、法政大学では生理心理学の分野を研究しています。特に、睡眠覚醒リズムの問題を中心に研究しており、時差ぼけや、最近話題になっている社会的時差ぼけ(時差空間をフライトしないで時差問題が生じる)の研究をしています。この社会的時差ぼけは、中高校生を中心とした若い人に多く、平日の睡眠時間が短く(睡眠の借金をしている)、休日に(その借金を返すべく)睡眠時間が長い人に生じます。問題は、この週末の睡眠時間帯が遅寝遅起きになり、睡眠時間帯の後退(後ろの時間帯にズレること)が生じ、月曜からの週明けには無理矢理睡眠時間帯を早起きに前進(前の時間帯にズレること)させる必要が生じます。しかし、私たちの生体リズムは周期が25時間程度と24時間より長い長さを持っているため後退には強いのですが、前進には弱い特徴があります。このため時差ぼけと同じ症状(眠気やだるさなど)が慢性的に出現することになってしまいます。この社会的時差ぼけは、登校困難やうつ症状などの精神症状だけでなく、心臓病などの身体症状と関係することがわかってきています。睡眠や睡眠覚醒リズムの正しい睡眠知識の普及をめざし、学生さんたちにも授業や講演などを通してそのような問題の気づきと予防を学んでもらいたいと思っています。

「睡眠」は誰もが経験できるというのが研究のきっかけ

私が研究を始めたの1970年代前半になりますが、その当時精神医学の中でエビデンス(客観的データ)と臨床的な所見を関連づけられる分野が、この脳波を駆使した睡眠研究だったことがあります。もう1つには、幻覚妄想などは自分で体験することはできませんが、睡眠は誰もが経験できるという点が研究を始めた理由になります。精神科医として研究を始めたころは、うつ病の自殺の問題、統合失調症の興奮の問題などに翻弄される日々が続きました。発病の初期の増悪期(症状が悪化する時期)は、睡眠障害が必発でまた睡眠がとれない状態が続くと障害の原因に関わらず、どんどん重症化していきます。それに対し、重症で治療困難だった患者さんも1~2カ月もして睡眠が十分とれるようになると、症状が重症化しなくなります。この睡眠の中に秘められた不思議な治癒力に魅せられて研究を続けてきました。

犯罪心理学や記憶と睡眠の関係など実生活と密接に関連した研究

心理学の研究は、主観的なデータを取り検討することが多いのですが、生理心理学の分野では、必ず客観的なデータと突き合わせてその関連を検討することになります。このエビデンス・ベースド・サイコロジーが、この分野の面白さになると思います。心理学に移ってからは、犯罪心理学に関係するポリグラフ検査や、記憶と睡眠との関係などに守備範囲を広げていますが、いずれも実生活と密接に関連したところで研究ができることにやりがいを感じます。いろいろな生理心理学の分野の備品や機器も取り揃えて研究や授業を実施しています。卒業論文を執筆することが心理学科では必須なのですが、3年生の時から生理機器を使用してデータを採取する実験を計画中です。学生さんと一緒になって、この計画を立てるところからデータ採取、データ分析、それを論文にまでまとめて発表することが、苦労も多いですがやりがいになります。

高橋先生からのメッセージ

ぜひ法政大学文学部心理学科に入学して、一緒に学びましょう。睡眠を学ぶことのできる大学は本当に限られていますが、その重要性はますます増しています。また、ポリグラフ検査を習得し、犯罪心理学などを勉強した上で、公務員試験を受けて全国の科学捜査研究所などに巣立っていく学生さんもいます。

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