福島大学 人間発達文化学類 芸術・表現コース 渡邊 晃一先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

「美術」と「科学」両方への興味から見つけた美術解剖学という道

福島大学 人間発達文化学類 芸術・表現コース 教授
渡邊 晃一 先生


「芸術」と「科学」を行き来する研究

幼い頃から絵画を描くことが好きで、中学生の時に油彩画をはじめました。高校では、大学進学に際し、美術か自然科学(生物、地学)のどちらを専門とするか悩みました。結果的に、美術は自分の生きがいであると同時に、自信をもって世界と繋がり、幅広く将来に活かせる分野だと思い、美術を選択しました。大学に入学してからは洋画コース(油彩画)に所属し、人体や動物、樹木などをテーマに、沢山の作品を制作しました。在学中は制作に没頭する日々でしたが、高校の頃から好きだった自然科学への興味もずっと続いていましたし、他にも、医学や博物学、民俗学などの講義も受講しました。そうした経験から、大学卒業後は人体の生命形態を中心に美術分野に応用する美術解剖学を研究しました。
現在は大学で油彩画や、空間全体をアートとして表現するインスタレーション、映像メディアなどの現代美術を基盤にした制作学研究とともに、レオナルド・ダ・ヴィンチに関する美術解剖学やJAMSTEC(海洋研究開発機構)のアートアドバイザー、教科横断的な教育として推進されているSTEAM教育(Science, Technology, Engineering, Art,Mathematicsの頭文字をとったものです)を通して「芸術と科学」を行き来する研究をしています。

福島とアートを結ぶ研究で地域創造

福島大学に1995年から勤めていますが、着任後にヨーロッパやアメリカに滞在する機会があり、自身の生まれた時代、日本文化(住んでいる場所)、周りの環境との関わりの重要性を考えるようになりました。そのため、2004年からは「福島ビエンナーレ」という地域とアートを結ぶ企画を監修しています。また、福島という地域からアートを発信する意味を考えるようになり、現在は地域創造の研究も進めています。
個人的に美術を制作する際は、自分のこだわりを出すことや深く掘り下げることが重要ですが、一方で、芸術祭などの企画側に回る際は、地域の方々と話し合い、地元の歴史を学ぶことが必要です。東日本大震災後は福島という場を拠点にして、アートを基盤に共同研究する機会が増えています。

研究のやりがい。キーワードは学生

大学では主に絵画関連の講義、実技制作や教科書の執筆などにも携わっていますが、これからの教育活動を通して美術の重要性を学生に伝えて終わりではなく、その後も学生が美術の知識や経験の大切さを後世に引き継いで、広く世界に伝えてもらいたいと思っています。また、私自身が学生と出会うことで、新しいものの見方に触れられることも多く、意義深いことだと感じています。近年ではSTEAM教育の研究を続ける中で新しいメディアに触れ、これまで自身の行ってきたことを更新し、できなかったことを克服することにもつながってきました。美術館の展示に加えて、映画や舞台の世界など、色々な人とも出会い、できることが広がっており、とても嬉しいことだと思っています。

渡邊先生からのメッセージ

私は絵画制作と美術解剖学など、二つの世界を行き来しながら研究をしています。自分にとって興味があることを続けていくことは大切だと長年感じてきました。今の学問や仕事は、10年後には変わっていくでしょう。だからこそ、流行に疑いを持ち、未来の自身を想像すること。自身の好きなものに対して向上心を持ち続け、新たな世界にも目を向けて欲しいと思います。
また、言葉や流行、人間の作ったものだけに振り回されるのではなく、周りにある美しい自然の世界も見つめてください。
レオナルド・ダ・ヴィンチは「自然を師としなければならない」と語っています。

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