文化学 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本

文化学

どんな学問?

「文化」を通して世界、地域を考察する

異文化コミュニケーションのイメージ画像!「所変われば、品変わる」ということわざの通り、慣習や文化は地域によって様々です。「文化」とは人類が長い年月をかけて生み出してきた生活慣習の総体であり、「文化学」とはそのような各地域の「文化」を研究対象とする学問です。そのため、文化学の研究対象は「衣」「食」「住」などの日常生活にとどまらず、世界中のあらゆる国、地域の文化、人間の生き方全般にまで及びます。例えば、「アメリカ社会における日系人の生活」「東南アジアの民族が持つアクセサリーの色や形の意味」「おばあちゃんの原宿、巣鴨の街づくり」なども研究の対象となります。文化学を学ぶことで、これまで知らなかった日本やその他の国々、地域の意外な一面が見えてくるかもしれません。代表的な研究分野には、次のようなものが挙げられます。

1.比較文化学

ある共通のテーマに基づいて複数の国や地域の文化を学び、それぞれの違いを検証します。例えば、寒い地域と暑い地域の「家のつくり」に関して、家の形や材料、建っている場所がその土地の気候とどのように関係するかを調べるといった研究もあります。

2.文化人類学

ある民族や特定の職業の人々などの慣習や生活スタイルを、実際に体験し調査すること(参与観察)で、文化をより深く理解し、人間の本質を捉えようとする研究分野です。参与観察では、以下のような点に着目していきます。

研究テーマ例

3.民俗学

庶民の生活文化、特に自分の国の伝統や伝承、昔話などを研究する学問です。言い伝えやわらべ歌など、文章として記録に残っていない素材が多いのもこの学問の特徴です。独特の研究方法として、現地の高齢者などに直接取材をして、自身の経験を語ってもらう「聞書き」というものがあります。戦争体験の取材がその一例です。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

どのような人が文化学に向いていますか?

A.

文化に興味をもっている人はもちろんですが、人間そのものに興味がある人、外国生活に関心がある人、外国文化のどのような部分が日本文化と違うのかを調べてみたい人にも向いています。身の回りの生活がすべて研究のテーマになる学問なので、どんな小さなことにも興味を示せる好奇心旺盛な人、積極的に現地調査ができる行動派にもピッタリでしょう。
それぞれの文化には、独自の歴史や伝統があります。日本の文化を当たり前と思わず、その地域の人々の立場になって研究に取り組む姿勢も大切です。

Q.

文化学が学べるのはどんな学科ですか?

A.

まず名前に“文化”と入っている学科で学ぶことができますが、学科によって研究対象が大きく異なるので注意が必要です。例えば、文化という大きなくくりの中から特に研究する対象を絞る学科(芸術文化学科・社会文化学科・言語文化学科・表現文化学科)、地域間の文化比較や1つの国の文化研究を行う学科(英米文化学科・日本文化学科・国際文化学科・地域文化学科・比較文化学科)、低学年時は文化学について広く学び、学年が上がっていくなかで自分の研究対象を絞っていく学科(文化学科、人間文化学科、人文学科)などがあります。また名前に“文化”と入っていない学科でも、社会学科やコミュニケーション学科、人間科学科などで文化学を学べる大学もあります。
いずれの学科を志望する場合でも、自分が興味をもっている分野の研究がしっかりできそうか、ホームページやパンフレットで必ず確認してください。

Q.

外国の文化に興味があるけど、英語が苦手。大丈夫ですか?

A.

英語が苦手という理由だけで不向きになるということはありません。ただ、外国の文化を研究する場合、その国の言語で書かれた文献を読む機会が多くなるのは事実です。英語以外の言語が必要となる場合もあります。そのため、多くの大学では第二外国語として英語以外の外国語を学ぶ授業を行っていますが、やはり基礎となるのは英語です。受験勉強で身につけた英語が土台となりますので、今しっかりと学んでおきましょう。

ひとことコラム

1つの国に1つの文化?

「日本文化」といっても、実は1つだけではないのです。例えば「言葉」。日本語といってもいわゆる標準語だけでなく、各地に方言があります。なかには、他の地域ではまったく通じないものさえあります。
それから「食」。例えば、そばやうどんは関西では薄味、関東では濃い味が好まれます。そのため関西と関東で味の濃さを変えているカップ麺のメーカーもあります。このような違いはなぜ、発生するのでしょうか。それは文化が地域ごとに異なった気候や歴史の中で形成されたものだからです。
つまり、ある地域の人にとっては当たり前のことも、別の地域に住む人には当たり前でないかもしれないのです。そういった違いや共通点を見つけ、その理由を探っていくことも文化学の面白さの1つです。

こんな研究もあるよ

海外の日本文化——「sushi」「karaoke」「anime」

お寿司を食べる外人近年、日本の文化が海外で注目されていることを知っていますか?「寿司」や「カラオケ」はアメリカでも人気があり、「sushi」「karaoke」としてそのまま英和辞書に載っています。また、日本のアニメ『ポケットモンスター』や『ドラゴンボール』などは、海外でも放送されています。さらに、日本で制作された映画『ゴジラ』や『リング』がハリウッドでリメイクされ、日本でも公開されました(こういった現象を「文化の逆輸入」と言います)。なぜ日本文化が海外で注目されているのでしょう?どのような点が海外で受け入れられているのでしょう?国際社会の中で日本文化がどのような役割を果たしているのかを読み解くのも文化学の重要な研究テーマです。

卒業後の主な進路

マスコミ、広告など幅広い職業選択
旅行関連や国際機関など、世界を舞台に
活躍する人も!

文化学を学んだ学生の進路は、実に様々です。多くの人は金融業界・保険会社・サービス業・情報通信企業・運輸などの様々な一般企業に就職しています。また、文化学の研究を活かして新聞や出版などのマスコミ業界・広告業界を目指す人もいますし、美術館や博物館の学芸員となり各地域の文化を紹介したり、旅行会社のツアーコンダクター、航空業界の客室乗務員、ILO(国際労働機関)やUNESCO(国連教育科学文化機関)のような国際機関に就職するなど、世界をまたにかけて活躍する人もいます。公務員や学校教員になる人、さらなる研究を続けるために海外へ留学をする人、大学院に進学する人もいます。

専門用語を知ってるかな?

クロスカルチュラル

複数の文化、価値観が共に存在している状況のこと。例えば、国際結婚した夫婦のもとに生まれた子どもは、父親の文化と母親の文化の両方を見て育つことになります。また、海外に移住したり移住先から帰国したりする場合、自分がそれまでもっている文化とは異なる文化を経験します。それもクロスカルチュラルの一例と言えます。

サブカルチャー

1つの国、社会の中で、正統派や大衆派ではなく、独自の文化や習慣をもった少数派のグループのことを指します。日本でいうと、「オタク」や「コスプレ」がこれに当てはまります。

表象文化

頭の中で考えられている目に見えないもの(思想・概念・記憶など)を他人にもわかるように、具体的に目に見える形で表現したものです。象徴・シンボルの意味もあり、表現の仕方の一例として「すがすがしさ=青色」「情熱=赤色」などがあります。

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