成蹊大学 理工学部 理工学科 浅野 雅子先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

宇宙も含む自然界のあらゆる事象の理解を目指す

成蹊大学 理工学部 理工学科 教授
浅野 雅子 先生


ブラックホールでミクロな粒子はどう振る舞うのか。

私の研究は、分野としては「素粒子論」にあたります。学問分野を大きな分類から細かい分類へと並べると、自然科学>物理学>理論物理学>素粒子論という関係になります。私の研究内容を一言であらわすのであれば、「自然界のあらゆる物質の成り立ちや性質を理論的な立場から理解する」ことを目指しています。これは非常に難しい問題です。
今までの科学・物理学研究の歴史を振り返ってみても、研究の進展は、ある問題や疑問の解決に見通しが立ち、理解が進んで視界が開けたところで、次のより難しい問題が立ちはだかり、それを解決するとまた新たな課題が現れる…、ということを繰り返してきました。
素粒子物理学にとって、1世紀ほど前に「量子論」と「一般相対性理論」が確立した後の最も大きな問題の1つは、ブラックホールのように重力が非常に強く、光が真っ直ぐに進まないような領域では、ミクロな粒子(素粒子)はどのような理論で表されるのか、というものです。地球上のように、重力がそれほど強くなく光がほぼ真っ直ぐに進むような領域での素粒子の振る舞いについては、既に多くの事柄が解明されており、「標準理論」と言われる理論で表されることがわかっています。(とは言え、標準理論では表せない現象や未解決問題もまだたくさんあり、研究が続けられています。)
一方、重力が強い場合の素粒子の振る舞いを表す理論(=「量子重力理論」)についてはほとんどわかっていませんので、この理論を構築することは重要な課題です。有力な候補の1つとして考えられているのが「超弦理論」ですが、この「超弦理論」自身も、すべてを明らかにするのは非常に困難な問題で、未完成です。多くの研究者が、それぞれの問題認識に応じて多方面から研究を続けています。
私自身、「量子重力理論」の構築を遠くに見据えつつ、「超弦理論」の中に見え隠れする豊かな性質を少しずつでも解明するための研究を行っています。理論研究ですので、文献を参照して発表された研究成果を手掛かりにしながら、アイデアの検討や議論を行ったり、手やコンピュータでの計算を行ったり…というような形で行っています。

謎に満ちた物理の世界をずっと追究したかった。

私は、子どもの頃から、定義がはっきりしていて、問いに対する答えが明確に与えられる「数学」は得意でしたが、「理科」は覚えないといけないことが多い上に、教科書などでも、様々な概念や法則については、簡単化あるいはモデル化して説明されるため、本当にそうなのか、なぜそれでよいのかと悩み、「わかった」という実感を得られないことが多かったです。中でも「物理」については、数学を使って理解したり応用したりすることが多いため、最も馴染みやすかった一方で、やはりすっきり理解できず、なぜこの仮定をしてよいのだろうか、というような根本的なところで引っ掛かることが多かったです。
受験勉強の際は、このような疑問は一旦しまいこんで、問題を解くことに専念しましたが、いずれは理解できるようになりたい、という思いを抱え続けていました。大学で専門的に物理を学ぶようになってからは、解決できた疑問点もありましたが、新たな疑問も増えてしまい、もう少し知りたい、もっと深く理解したい、という思いのままに、修士課程、博士課程へ進み、研究を続けたい、と考えるようになりました。

目標は壮大。道のりは険しいが達成感も。

この研究の魅力は、やはり宇宙も含めた自然界のあらゆる事象の理解を目指すという目標の壮大さです。目標が壮大である分、到達点がどこにあるのかも、いつ到達できるのかも、(さらに言えば、そもそも到達点は存在するのかも)わかりません。また、現在知られている具体的な未解決問題についても、非常に難しく、簡単に解決できるものではありません。その中で、一研究者としての実際の研究は、同じ目標を目指して研究を続けている世界中の研究者による成果を学んだり、議論を深めたりしながら、自らの問題意識に基づいて、地道な研究を少しずつ進めていくことになります。なかなか思うような成果が出ないことの方が多いですが、小さくてもずっと考えていた問題が解決したり、パズルのピースがはまったように綺麗な結果が得られたりしたときは達成感があります。

浅野先生からのメッセージ

私自身の大学受験を思い返すと、まったくの自己流で勉強していましたし、あまり効率のよくない勉強の仕方をしていたように思います。一方、受験勉強という意味での効率はよくなくても、その過程で自分なりに理解しようと試行錯誤したことは、後でプラスになったようにも思います。受験勉強は大変ですが、目標に向けて集中的に勉強する貴重な機会でもありますので、ぜひ前向きに頑張ってください。理解の仕方は一人ひとり違いますので、焦らずに自分のペースで進めていくことができると、結果にもつながると思います。

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