Interview
仕事をしながら旅行も楽しむ!
コロナ後の新しい「働き方」と「観光」とは?
山梨大学 生命環境学部 地域社会システム学科 教授
田中 敦 先生
コロナ禍をきっかけに広まった
新しい働き方
私は現在、「デジタルノマド」と「ワーケーション」に焦点を当てた研究を行っています。デジタルノマドは、“IT技術を活用し、場所に縛られずノマド(遊牧民)のように旅をしながら仕事をする人”のこと。ワーケーションは、”work”(仕事)と”vacation”(休暇)を組み合わせた言葉で、テレワークを利用して普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすことです。例えば、休暇中に旅行先などで仕事をするスタイルや、通常の勤務中に新しい場所で活動するスタイルなどがあります。旅行中に一部仕事をすることで従来よりも長期間の滞在が可能となったり、通常の勤務日に日常とは異なる地域に出向き、地域での活動に参加することができるようになったり、ワークスタイルやライフスタイルに大きな変化をもたらしています。特に、2020年のコロナ禍において、日本政府もこのスタイルを推進し、多くの人々に受け入れられるようになりました。
「ワーケーション」×「観光」
新しい分野に魅力を感じて研究をスタート
私は山梨大学に来るまでは、旅行関連の企業であるJTBグループに勤務していました。JTBグループ時代に働き方や人事に関心をもち、ワークモチベーションやキャリア支援に関連するプロジェクトに携わった経験があります。この背景から、ワーケーションという新しい働き方の概念を知ったときに、こうした分野と自分の現在の専門である観光や地方創生とを掛け合わせたら新たな領域を創り出すことができる、と強く感じて、研究をスタートしました。
研究で出会う人たちにワクワクし、
最先端の政策づくりにも関われるやりがい
ワーケーションを積極的に行っている人たちは、いわゆる「イノベーター」「アーリーアダプター」と呼ばれるタイプの、社交的で学びの意欲が高い人たちが中心です。企業や地域のこうした人たちとの出会いや交流の機会が面白く、ワクワクのタネが増えました。
また、ワーケーションはコロナ後の新たな観光形態として、日本政府や海外でも観光政策の柱の1つとなってきており、最先端の政策づくりに直接関われることにもやりがいを感じています。
VUCA(ブーカ/将来の予測が困難)な時代と言われて久しいですが、不確実で答えがない時代だからこそ、いろいろな現場に足を運び、実際に人に会って直接コミュニケーションを取ることの重要性がますます高まっています。特に私の専門である観光分野では、観光客や受入れ地域について肌で感じることが大切です。山梨大学の観光政策科学特別コースは、全国の国立大学でも数少ない観光を専門にしながら経営、経済、行政、法律、まちづくり、国際分野やデータサイエンスなどについて幅広く学ぶことができるユニークなコースです。実際に観光地に出向き学ぶ「観光実習」なども科目も充実しており、観光を通じてさまざまな事象について学びたい方、興味を持っている方に、ぜひチャレンジして欲しいと思います。
山梨大学 生命環境学部 地域社会システム学科
https://www.ss.yamanashi.ac.jp/