漢文の正しい勉強法

漢文の正しい勉強法

漢文は国語の中で最も偏差値を上げやすい科目です。すなわち、漢字や重要語句、句形の知識を身につけ、それらを活かして読解力を養成していけば、必ず短期間の勉強で高得点が取れるようになるのです。それでは見ていきましょう。

問題

知識力を問う問題は句法の把握

漢文には重要語句と呼ばれるものがあり、特定の漢字について、その読みや意味を覚える必要があります。上記の問1はそうした基本的な知識が問われているケースと言えます。また、それらの中には、複数の読みや意味を持つため、文脈を押さえながら適切に解釈すべきものもあります。問2(1)はそうした力を問う問題です。「何」は「なんゾ」と読みますが、本文を見ると結びが「蕭せう森タル」と連体形になっているため、まずは〈疑問〉の意味で解釈することになります。しかし、「どうしてひきしまって美しいのか」と〈疑問〉で訳しても、意味が通りません。ここでは第一句で「私には一日に千里を走る駿馬があり」と、作者が自身の馬を誇っていることがわかりさえすれば、もう一つの用法、すなわち〈詠嘆〉で解釈して、「なんとひきしまって美しいことよ」と自身の馬の美しさを褒め称えているのだと理解できるでしょう。

次に、問4のような返り点の付け方と書き下し文を問う問題については、傍線部が、何らかの基本的な句法上の特徴ないし句形を含んでいないかを確認します。傍線部Bの場合、「欲」は、「~ント欲ス」のように返読し、また「所」も「~スル所ト為ル」のように返読するものであることに気づきます。こうした知識は、文章を何度も音読することを通じて磨かれます。すると、返り点は「所レ欲レ適(ゆかんとほっするところ)」(行こうと思う場所)となるのではないかと推測できます。傍線部の次の句は「九州(中国全土)周あまねく(広く・全てにわたって)尋ぬべし(行くことができる)」という内容が続くので すが、これを加味すれば、答えとして④を選ぶことができます。

先輩の体験談先輩の体験談

東京大学文科三類 くん問題を解いたらすぐに間違いを正してもらい、疑問点を解消することが大切だと思います。自分 が解いた記憶が新しいうちに先生と話せれば、記述表現におけるニュアンスで迷った点など、時間を置いたらわからなくなってしまうこともちゃんと聞くことができます。レスポンスが早ければ落とし込みも早くなりますから、自分ひとりで勉強していくのとは全く効果が違います。

読解力を問う問題は主題の把握

問題

さらに、上記サンプル①の問6のような内容合致問題については、【問題文Ⅰ】と【問題文Ⅱ】のそれぞれの主題を正確に理解したうえで解く必要があります。漢文読解のうえで最も大切なことは、重要単語や句法(句形)に関する基本的な知識を用いながら、ある一つの文章の主題や主張を正確に押さえることです。今回は問題文の引用を省いていますが、サンプル①の場合、二つの問題文には〈馬を駆る御術において重要なのは御者と馬とが一体となることだ〉という共通の主題があります。したがって、答えは③になります。特に共通テストについては、今後も複数の文章が出題されることが予想されます。それらの共通点や相違点を素早く指摘できるよう、演習の際には各文章の主題・主張を正確に把握することを心がけましょう。

記述力を問う問題は対句の表現に注目

問題

次に、上記サンプル②の問題を見ながら、漢文の記述問題に必要な力を確認してみましょう。ここでは(二)「庸愚之主必無二斯憂一」(傍線部b)とあるが、なぜなのか、簡潔に説明せよ。」を取り上げます。この部分に関しては、まずは、「必無A」(必ずAはない)という全否定の句形についての基本的知識が必要です。すると、傍線部bは「暗愚な君主には必ずこうした憂いがない」と訳すことができます。しかし、これでは理由を「説明」したことになりませんね。

まず、「こうした4444憂い」というのが、どのような憂いであるのかは、直前の内容を参照することで「事を性急に成そうとしても成就しない」ことの憂いだと推測できます。さらに傍線部bよりも後の部分にも着目してみましょう。すると、「聡明之主」という言葉があり、これが傍線部内の「庸愚之主」と対比の関係にあることがわかります。念のため「聡明之主」を含む文(「唯聡明之主恃二其材一者、或至二一旦行レ之、不 有レ所レ顧。」)の内容を確認します。「恃」は〈頼みとする・頼りとする〉といった意味で、「自恃」や「矜恃」などの熟語でも使われていますね。また、「材」は、これは聡明な君主が頼みとするものですから、自身の「才能」「才覚」などと訳すのが良いでしょう。したがって、この文全体としては、「ただ聡明で自身の才能を頼りにする者だけが、どうかするとたちまち事を行い、顧みて心配することがないという域に達する」といった意味になります。すると、「庸愚之主」はその逆ですから、「頼みにする才覚がない」ということになります。ちなみに、この逆にするという作業は、現代文の空欄補充問題を解く際などにも有効です。

これらのことを考え合わせて再度傍線部bのようになる理由を「説明」するのなら、答えは「暗愚な君主には、事を速やかに行おうとする才覚が必ず欠けているから。」などとなるでしょう。

以上のように、漢文の記述問題においては、まずは基本的な句形の知識をベースにして正確に文脈をたどりながら、傍線部の前後で文構造や語句の意味などを対比させる対句表現がないかどうかを確認して、自然に訳出したり、過不足のない説明を行ったりできるように訓練をすることが大切です。また、漢文の答案についても、指導者に添削してもらうことが重要です。

まとめ まとめ Summary

漢文は何よりも音読が大切です。重要語句の意味や読み、そして頻出の句形を何度も復唱して覚えるようにしましょう。また、その知識を用いながら、同時に対比など、文章の構造にも注意して個々の文脈を押さえていきます。そして、最終的には本文全体の主題を正確に理解するための演習を積むように心がけましょう。

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