社会で活躍する先輩への
インタビュー
株式会社テレビ新潟放送網
さん
2014 年に立教大学文学部ドイツ文学科を卒業後、同年4月に日本テレビ系列「株式会社テレビ新潟放送網」に入社。アナウンサーとして勤務し、ニュースキャスター・天気予報・番組進行・ナレーション・スポーツ実況・災害現場中継のフィールドキャスターなど、多岐にわたって活躍している。
自分の声で、人の心を動かせる仕事
――岡田さんにとって、アナウンサーというお仕事の魅力は何でしょうか?自分の声で、ヒト・モノを魅力的に伝えられる、そして人の心を動かせることです。私の主な仕事の一つが、スポーツ中継です。特にサッカーの実況では、Jリーグのアルビレックス新潟のホームゲームの実況を担当しています。背番号・選手名・今シーズンの成績、さらには選手にまつわるエピソードまで…頭に全て入れて試合に臨みます。その瞬間に最適なフレーズ、言葉を伝えられるかが腕の見せどころです。大きなスタジアムを見渡せる特等席で、ヘッドセットをつけて喋る…歴史的シーンに自分の声を乗せる瞬間が、この仕事をやっていて一番ワクワクする大好きな瞬間です。「言葉で伝え、誰かの役に立つこと」には、何にも代えがたい喜びとやりがいがあります。
大学は人生の可能性を広げる
ターニングポイント
――熱い実況に心揺さぶられた経験、誰しもあると思います。最初に「言葉で誰かの役に立てている」と感じたのは、大学生のときでした。ボランティアに興味を持って、視覚障碍者に映画を楽しんでもらう「音声ガイドボランティア(映画のシーンを、目が見えない方に言葉でガイドしていくもの)」を経験したのですが、ある映画のガイドが終わったとき、実際に目が見えない方に言われたのです。「あなたの声で、楽しませてもらった。あなたの声は、誰かを救っているのよ。ありがとう」。その一言を言われたときに「これだ!」と思いました。声を使って、誰かの役に立てる仕事がしたいと。その理想に自分の中で一番近かったのが、アナウンサーでした。
――大学時代の経験が、現在のお仕事に繋がっているのですね。大学生活は、人生の可能性を広げる、選択肢を増やすターニングポイントです。高校卒業から12年という月日が流れましたが、あのとき大学受験を選択していなかったら、絶対にアナウンサーという職業選択はありません。あのときに目が見えない方に声をかけられなかったら。大学のボランティアセンターへ訪れていなかったら…すべては大学に入学したことで生まれた縁です。大学へ行くと、本当にいろいろな分野の学問に触れることができて、そして自分にはなかった発想や知識が広がります。海外の友人から異文化を教えてもらうこともありますし、気の合う一生の仲間にも出会いますし、綺麗な彼女やイケメンの彼氏だって見つかるはずです。それだけダイバーシティな空間です。いつ、どこで、どんなきっかけで自分の人生を左右する出会いが訪れるかわからない。刺激的な日々です。
大学受験で「やればできる!」を発見し、自分が好きになった
――岡田さんが大学で「ドイツ文学科」を選択したのはなぜですか?当時、外国語に興味がありました。また、恥ずかしながら高校生当時の私の夢は「有名な大学へ行って、語学を活かした有名スポーツ選手の通訳…もしくは目立つ仕事がしてみたい」でした。そのためにまずは有名大学へ行くことだと、さらには大学名を言って皆から一目置かれてみたいと、そればっかり考えていました。それが受験勉強をして次第に「合格したら、大学で英語以外も語学堪能になりたい」「大学の後は、海外サッカーとかメジャーリーグとかに関われたら最高だな」という将来の自分の姿のイメージへと広がっていきました。将来のなりたい自分・理想の自分が受験勉強のモチベーションになっていたのです。今思えば、大学受験は自分の夢を決める、そしてそれに突き進む作業だったと思います。
――自分の夢を叶えるための大学受験、ですね。はい、そして同時に、私にとって大学受験は自分が好きになった期間でした。というのは、「オレって、やればめっちゃできるじゃん!」という発見ができた期間だからです。最初は自分の苦手や欠点の多さに、そして果てしない量の課題に呆然としたことを思い出します。それでも、不思議と嫌ではなかったんです。受験勉強を通じた発見と刺激のおかげでした。「あっ、自分はこの箇所が苦手なんだ、知らないんだ」と発見するだけで、少し道が開ける、到着地点が見つかる感覚です。知識が増えて、大学合格が近づく。大学の過去問題を前にしても「この問題わかる!」が増えてくる。「自分は、やればできる人間なんだ!」と感じるほどに、自分が好きになっていきました。自分がわかれば、自分が変わります。大学受験は、自分の可能性を発見できた貴重な期間でした。
自分に向き合い、
自信を持つことが大切
―― 大学受験が自分と向き合う機会になったのですね。そうです。そしてその中で大事なのは、得意分野を見つけて、自分に自信を持つことです。大学受験は、自分が決めた将来の夢を、自分の力で手繰り寄せる作業に他なりません。受験勉強は全教科の履修範囲を俯瞰してみようとすると、あまりにも膨大で「自分は、すべて覚えられるだろうか? 大丈夫だろうか?」と不安になるものです。まずは自分と向き合って、できる・できないを整理し、得意分野を見つけて自信をつける。これは私自身、大学受験だけでなく、アナウンサーをしている今でも大切にしていることです。
取材をきっかけにアウトドアが趣味に。 家庭では育児に奮闘中です。
私が担当する「自然派」というコーナーでは、山の中で自然と共に暮らしている方を取材しています。それが転じて、アウトドア・キャンプといった屋外で過ごすことが自分の一番のリフレッシュになりました。写真はロケでの一コマ。2021年に長女が誕生しました。会社の厚意で、1カ月育休を取得。抱っこから始まり、沐浴やミルクなど慣れない作業の連続でした。娘ができたことで、仕事にもより責任感が芽生えた気がします。育児の様子は私のInstagramでも更新していますので、育児の様子やアナウンサーの仕事に興味がある方は、ぜひ覗いてみてください。