大学教授
インタビュー

「途上国の所得向上のため
解決策を探る」

中野 優子 先生Yuko Nakano

筑波大学 社会・国際学群 国際総合学類 教授

中野 優子 先生

アフリカで農業の生産性を高めるには?

世界銀行の推計によれば、2021年時点で7億人もの人が1日1.9ドル以下で生活しています。開発経済学は、開発途上国における貧困の原因を明らかにし、途上国の経済成長や貧困撲滅を可能にする開発戦略の在り方を探求する経済学の一分野です。私は開発経済学の中でも、アフリカ農家を対象としたミクロ実証の研究をしています。具体的には1回の調査で数百家計の農家にインタビューをして、統計データを構築し、「アフリカの農家はなぜ新しい品種や肥料を使わないのか?」や、「新しい農業技術は本当に農家の所得向上の役に立つのか?」といった疑問にデータ分析を通じて答えるのが仕事です。また、最近ではウガンダに逃れてきた南スーダン難民の方々の所得向上のために、どのような解決策があり得るのかも研究しています。この研究の魅力は、何と言ってもアフリカの農家の方々と直接対話できることです。フィールドでの農家の方々との対話やデータ分析から、アフリカ農家の現状を理解し、そこから得られた農業生産性、所得向上のための方策を途上国政府、援助関係者、研究者や農家の方々と共有できることにやりがいを感じています。

現実の社会を多角的な視点でとらえるツールとしての学び

大学ではミクロ経済学と開発経済学を担当しています。ミクロ経済学は一見難解なモデルに見えますが、実はシンプルな概念の集合体です。一つの概念を学ぶだけでも、世の中への見方が変わって、政策を様々な側面から考えられるようになります。開発経済学では統計データから発展途上国の現状や課題、その解決策を分析する方法について講義しています。統計データは一見無機質に見えますが、その解釈の仕方を学ぶと、とてもビビッドに現実の社会を映していることがわかります。学生の皆さんには、たくさん新聞や本を読んで、自分が理想だと思う社会と現実のズレ、「これは解決すべき問題では?」という感覚を大切してもらいたいです。

高校時代の勉強は確実に人生を豊かにしてくれる

私は高校生の時から、アフリカの食糧問題に興味がありました。食糧を廃棄している国がある一方で、飢餓や栄養不足が深刻な国もあるという現状を何とかできないかと思ったことがきっかけです。高校までの勉強は筋トレのようなもので、しっかり勉強しておくと、将来得をすると思います。実際、どの科目も今の研究活動の支えになっていますが、高校時代には想像できませんでしたね。

※ミクロ経済
消費者(家計)や生産者(企業)が経済的な取引を行う市場を分析対象とし、その行動や意思決定がどのようになされるかを扱う経済学の分野。個々の経済主体の意思決定について分析を行うことから、「ミクロ経済学」と呼ばれる。国単位の経済分析を行う「マクロ経済学」と対になる分野。

メッセージ メッセージ Message

私は進路に迷った時は「ドキドキする方」を選んできました。何かをする上で「好き」以上のモチベーションはないと思うので、「これは萌える」と思えるものを見つけてほしいです。私は第一志望に合格できたものの、その大学には自分のやりたい途上国開発の研究をされている先生がおらず、途方に暮れる経験をしました。偏差値だけ で決めるのではなく、どんな先生がいて、何を勉強できそうかしっかり調べ、夢に向かって頑張ってください。

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