こんにちは。四谷学院国語担当、安藤です。
今回は、早稲田大学文化構想学部の入試問題「国語」大問1で毎年出題される、評論文と近代文語文の融合問題の対策について説明していきます。
生徒と先生のやり取りを通して、早稲田の文化構想学部にはどんな出題傾向があり、どのように対策を進めればよいのか、早速見ていきましょう
目次
近代文語文とは?
先生
お、今日も自習室に来てたんだ。直前の追い込み、頑張っているね。
生徒
はい。もうすぐ早稲田の入試が近いんで!
先生
早稲田の文化構想学部が第一志望だったね。文化構想学部の国語は、近代文語文や現古漢融合問題など、他ではあまり見ない形式の出題があるけど、対策はバッチリかな?
生徒
過去問を使った演習はしっかりやりましたけど、やっぱり第一志望だから緊張します。
先生
じゃあ今日は不安を払拭するためにも、文化構想学部の大問1で出題される近代文語文について、ポイントをおさらいしていこう。
生徒
お願いします!
先生
まず、そもそも近代文語文とは何かという基礎的なところの確認だね。
近代文語文とは簡単に言えば、明治時代に書かれた文語体の文章だ。明治時代にいわゆる「言文一致運動」が起きて、話し言葉とほとんど変わらない、今日の「書き言葉」の基礎が生まれた。ただ一方で、そうした時代にあえて文語体で書かれた文章もあって、それが近代文語文と呼ばれる文章だね。
近代文語文とは簡単に言えば、明治時代に書かれた文語体の文章だ。明治時代にいわゆる「言文一致運動」が起きて、話し言葉とほとんど変わらない、今日の「書き言葉」の基礎が生まれた。ただ一方で、そうした時代にあえて文語体で書かれた文章もあって、それが近代文語文と呼ばれる文章だね。
「近代文語文」とは
明治時代に書かれた文語体の文章
代表作:森鴎外『舞姫』、福沢諭吉『学問のすすめ』等
代表作:森鴎外『舞姫』、福沢諭吉『学問のすすめ』等
生徒
そういう移り変わりの中だったからこそ生まれたものだ、ってことですね。
先生
そうそう。一番有名なのはたぶん、森鴎外の『舞姫』だね。近代文語文については、この記事も参照してほしい。早稲田の文化構想と同じく、近代文語文を例年出題する一橋大学についての解説だ。
一橋大学の国語対策「近代文語文」とは?
こんにちは。四谷学院国語担当、安藤です。 今回は、一橋大学「国語」問題2の「近代文語文」について、生徒と先生のやり取りを通して解説していきます。一橋大学の入試問...
先生
言葉だけではなく、日本の社会全体が大きな過渡期の中にあったのが近代という時代なんだ。その中で生まれた近代文語文は、そうした社会や個人のありようを反映していることが多い。
生徒
そういう背景を頭に入れておけば、理解しやすくなるっていう話ですよね。
先生
うん。もちろん古典文法や漢文の句形の知識が必要にはなるけれど、文章の書き手自身が近代の人間……つまり、僕らに近い時代の人間だからね。古文や漢文の出題に比べれば、解釈はそこまで難しくないんだ。
文化構想学部の攻略ポイント①融合問題
先生
ではここからは、文化構想学部ならではのポイントについて確認していこう。
生徒
はい!
先生
文化構想学部大問1の特徴は、近代文語文と、その文章に関連の強い現代文の評論をセットで出題するというところだね。
たとえば2022年度は、坪内逍遥の『梅花詩集を読みて』という近代文語文と、その『梅花詩集を読みて』を解説している石田忠彦の『坪内逍遥研究』という評論がセットで出題された。基本的には現代文が先、近代文語文が後、という形で出題されるから、現代文で書かれた解説を前提として、その上で近代文語文を読解しなさい、という出題者側の意図がありそうだね。
たとえば2022年度は、坪内逍遥の『梅花詩集を読みて』という近代文語文と、その『梅花詩集を読みて』を解説している石田忠彦の『坪内逍遥研究』という評論がセットで出題された。基本的には現代文が先、近代文語文が後、という形で出題されるから、現代文で書かれた解説を前提として、その上で近代文語文を読解しなさい、という出題者側の意図がありそうだね。
生徒
確かに、考えてみればそれって大ヒントですよね!
先生
そうだね。ただ、近代文語文で語られている内容自体が受験生にとっては馴染みのないテーマであることも多いから、そういう意味では現代文の方も一筋縄ではいかないけれどね。
生徒
ヒントはあるけど油断は禁物、ってことですかぁ。
先生
それから、2つの文章の関連性を読み解かせる問題が多いのも特徴だ。よく出題されるのは、現代文の文章内の空欄に当てはまる内容を、近代文語文の方から抜き出す問題。2つの文章のどことどこが繋がっているのか、関連性をしっかり意識しながら読み進める必要があるね。
生徒
何度も読み返す時間はないですもんね。
先生
そうだね。文化構想学部の国語の試験は90分で大問3題。1題は現代文と近代文語文の融合問題、1題は現古漢融合問題だから、1題当たりの読解量はかなり多い。そして、1題にかけられる時間は単純計算だと30分だけど、見直しの時間も考えると実際はもっと短くなる。だから時間に余裕はないし、先に問題に目を通しておいて、本文を読みながら答えを出していくくらいのテンポ感も必要になるだろうね。
生徒
だからこそ、読解の段階で関連性を意識しながら読み進めないといけない……ということですね。
文化構想学部の攻略ポイント②穴埋め問題
先生
あとは、文章中で登場する概念についての穴埋め問題も多いね。さっき例に挙げた2022年度では、現代文の文章中の空欄5か所に、それぞれ「理想」と「世相」のどちらの言葉が入るかを聞く問題が出題された。
生徒
理想と世相ですか?
先生
この言葉は近代文語文の方で、詩人の2通りのスタンスとして説明されている。
生徒
なるほど、これがヒントになる、と。
先生
ただしその説明は、
「理想を宗(むね)とする者は我を尺度(ものさし)として世間を度(はか)り、自然を宗とする者は我を解脱して世間相を写す」
などと書かれていて、何となく意味は理解できるだろうけど、かみ砕いて理解するのはやっぱりちょっと難しい。そこで今度は、この近代文語文を理解するために、現代文がヒントになる。
生徒
2つの文章の対応関係を理解して読解していく中で、「理想」と「世相」がそれぞれどういう概念なのかが見えてくる、ってことですね。
先生
そういうこと。文化構想学部は、「文化」という多様な在り方をもつものに対する複合的・多角的なアプローチを通じて、学びを深めていく学部だ。そうした姿勢を持って学べる素養があるかどうかを、複数の、しかも時代の異なる文章を比較検討させる入試問題で確かめているのかもしれないね。
生徒
なるほど。正直、難しそうに聞こえますけど……、でもちゃんと文章同士の対応関係が読み解ければ、お互いがお互いのヒントになるわけですもんね!
先生
その通り! お互いのテキストをヒントにしあいながら、本文で登場する概念に対しての理解や、筆者の主張に対する理解を進めていくことが必要だ。
生徒
よく分かりました!
文化構想学部の攻略ポイント③記述対策
先生
それから、これは年によるんだけど、記述問題が出題されることもある。2022年度だと、文章の空欄に入る適切な表現を、自分の言葉で20字以上25字以内で記述しなさい、という問題が出題されたね。
生徒
自分の言葉で、って言われると、答えを考えるのが大変そうに聞こえますけど……。私、私立専願だから記述の対策はあんまりしていないし……。
先生
でもこの問題は、「「叙情派」「造化派」「詩人」の語句を必ず用いて、末尾を「~こと」という形でまとめる」という指示があった。指定語句3つと末尾の「こと」で合計10文字分だ。つまり最大25文字だと考えても、全体の40%の字数は既に指定されているわけだから、あとは指定語句をどう組み合わせればいいかを考えるだけ。
生徒
そう聞くと、記述問題としての難易度はそんなに高くなさそうですね!
先生
そうだね。出題される可能性があることは頭に入れておいてほしいけど、そこまで身構える必要はない。落ち着いて本文を読み進めていけば、自然と答えが出るはずだ。
生徒
時間との戦いにはなるけど、だからこそ落ち着いて、ですね!
先生
本番は焦ったり緊張したりするかもしれないけど、そういうときほど深呼吸。読解のポイントを念頭に置きつつ、落ち着いて読んでいけば、解けない問題はないからね。
生徒
ありがとうございます、入試頑張ってきます!
……ところで先生は焦らなくていいんですか? 他の先生たちがみんな会議室に行っちゃったみたいですけど。
……ところで先生は焦らなくていいんですか? 他の先生たちがみんな会議室に行っちゃったみたいですけど。
先生
……そういうときほど深呼吸。
生徒
言ってる場合ですか?
先生
うん、そんな場合じゃないね! じゃあまた今度!
まとめ「早稲田大学文化構想学部 入試問題「国語」近代文語文の攻略ポイント」
今回は、早稲田大学文化構想学部の近代文語文の攻略ポイントについて解説しました。他の大学ではあまり見ない、現代文・古文・漢文の総合的な力を必要とする問題ですが、ポイントを押さえた読解が出来れば十分高得点が狙えます。
そのほかの科目について、こちらの記事で詳しく解説していきます。合わせてチェックしてみてくださいね。
→ 早稲田の英語 入試対策 学部別の特徴と難易度を解説!
→ 早稲田大学の日本史【学部別】傾向と対策
→ 早稲田の世界史 入試対策 学部別の特徴と難易度を解説!
早稲田入試の特徴とは?試験の傾向やデータから見る受験勉強対策
「早稲田入試の特徴は?」「早稲田の受験勉強対策はどうしたらいい?」と思い悩んでいる人もいるでしょう。早稲田の入試は、高難易度であるばかりでなく、独特のクセがある...
読解の方法を学んでいくための「科目別能力別クラス授業」と、実際に問題を演習していく「55段階個別指導」により、合格のための力を効率よく身につけていくことができます。
↓↓ クリック ↓↓