こんにちは、四谷学院の受験コンサルタント田中です。
通信制高校のメリットとして「ほとんど通学することなく高卒資格が取得できる!」と聞いたことがあるかと思います。それと似た話に、「高認試験なら、自宅で勉強して合格すれば高認資格が取得できます」というものもあります。
「通信制高校で高卒資格を取る」「試験を受けて高認資格を取る」、この2つにはどのような違いがあり、どちらを選ぶのがいいのでしょうか?
この記事では「高卒資格」と「高認資格」について、それぞれの特徴や比較をしながらわかりやすく解説していきます。
目次
【通信制高校と高卒認定】得られる資格の違い
通信制高校で得られるのは「高卒資格」
まず「通信制高校」について確認しましょう。通信制高校とは、高等学校の通信制課程のことです。正式名称は「○○高等学校通信制課程」となり、「通信制高校」というのはいわゆる通称です。卒業すると、全日制高校や定時制高校などと同じ「高校卒業資格」を取得することができます。つまり、卒業証書には同じ「○○高等学校○○科卒業」と記載がされます。
履歴書に記載する時には、「学歴」の欄に「○○年3月○○高等学校卒業」と書きます。その後に「通信制課程」と書く必要はなく省略されるのが一般的ですから、履歴書を見た時には通信制かどうかはわかりません。
高認試験で得られるのは「高卒認定資格」
「高等学校卒業程度認定試験」は、文部科学省が実施する国家試験です。正式名称が長いので「高卒認定」とか「高認」と呼ばれることもあります。試験に合格すると、大学・専門学校や国家資格の受験資格を得ることができます。学歴というよりも資格に近いと考えるとよいでしょう。
なお、履歴書に記載する時には、「学歴」の欄に「○○年○月高等学校卒業程度認定試験 合格」と書くことができます。あるいは「資格」の欄に書いてもかまいません。
こちらの記事も参考にされてください。
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験:高認)に合格すると、高卒者と同じように大学や資格試験の受験資格が得られるため、「高認に合格すれば高卒資格が得られる(最終学歴が高卒になる)」と誤解している方が少なからずいらっしゃい …
【通信制高校と高卒認定】勉強の仕方の違い
通信制高校にはスクーリングがある
通信制高校は、自宅での学習がメインです。毎日校舎やキャンパスに通わなくてもいい、というわけです。また、自宅学習と言っても多様な学び方があり、最近ではインターネットなどを活用して学習を行います。
ただし、スクーリングと言って年間7~20日程度は校舎や学習センターなどに、通学して授業を受ける必要があります。また、合宿形式のスクーリングを行っている学校もあります。
なお、通信制高校での単位修得をサポートするための「サポート校」もあり、通信制高校入学と並行してサポート校にも入学する方が多くなっています。
サポート校については、後ほどお話しします。
高認試験は年に2回。8月と11月に受験
高卒認定試験は、試験当日だけ会場に行って受験し、合格すれば資格が取れます。試験は年に2回、8月と11月に行われ、2日間に渡ります。受験する科目の試験時間になったら教室に行き、終わったら帰ってくるだけです。
ただし、各都道府県に数か所しか会場が設定されていない場合もあるので、自宅から遠い場合には宿泊も必要となります。
普段の学習は必ずしもどこかに通う必要はなく、自宅で勉強することができます。通信講座を活用したり、予備校の高認コースに通ったり、苦手な科目だけ個別指導教室で教えてもらったりしている人たちもいます。
【通信制高校と高卒認定】青春を楽しみたいなら
通信制高校のサポート校に通う
通信制高校は通信教育なので自宅学習がほとんどです。なかなか一人で勉強するのは難しい・・という場合、サポート校を活用することができます。そこでの活動を通じて友達をつくり、青春をエンジョイすることもできます。
通信制高校への興味関心が高まり、近年学校数・生徒数が増えています。それに伴ってサポート校も増えてきました。通信制高校について語る上で欠かせないのが サポート校の存在です。 今回は、通信制高校のサポート校についてわかりやす …
高認生は時間が自由になる
高認試験を受けることの大きなメリットは、学校の授業がなく、また課題もないので、自由時間が圧倒的に多いということ。通信制高校生も学校による拘束時間は短いのですが、高認生はそれ以上に時間を自由に使えます。
たとえば、自分の好きなことや趣味に没頭したり、早めに大学受験の対策をしたりアルバイトをしながら勉強したりしている人もいます。
こうした学校以外での活動を通じて通じて友達ができたり、また、予備校や塾で友達をつくることも可能です。
【通信制高校と高卒認定】学生割引(学割)
通信制高校は「高校生」
通信制高校に通っている生徒の場合、全日制高校と同じく「高校生」の扱いとなりますので、各種学生割引(学割)を利用することができます。こうした割引を利用して、お得にイベントや外出を楽しむこともできます。
高校生は、公共交通機関や映画館、最近では携帯電話の使用料などでも学生割引(学割)が使えます。では、通信制高校の高校生も同じように学割が使えるのでしょうか? 今回は、電車やバスといった公共交通機関を中心に「学割」について解 …
高認の受験生は所属による
高認試験を目指している場合、もし予備校や塾に通っていれば「学生証」を持つことも可能です。その場合「学生割引」使えるかどうかは、施設やイベントによって扱いは異なります。
【通信制高校と高卒認定】かかる時間の違い
通信制高校は卒業まで最短3年
通信制高校を卒業するためには、3年以上高校に在籍する必要があります。つまり、最短でも3年かかります。比較的柔軟にカリキュラムが決められますが、たとえ1年生のうちにたくさんの単位を取ったとしても、3年未満で卒業することはできません。
また、通信制高校の多くは「単位制」を取っており、決められた単位数を取得するために特別活動やスクーリングに参加しなければ、卒業することができません。そのため、卒業までに3年よりも多くかかってしまうケースは珍しくありません。
高認資格は最短4か月で取得できる
高認は年2回、受験のチャンスがあります。試験に合格さえすればいつでも「高認資格」を取得することができます。例えば、4月に学習をスタートして8月の試験で合格すれば、その年の大学受験を目指すことも可能です。
(※ただし、大学受験には年齢制限があります)
高認合格後は、大学受験コースに合流することができます。
四谷学院 高認コース
【通信制高校と高卒認定】費用の違い
通信制高校は年間およそ○○万円
公立の通信制高校の場合は年間5万円程度、私立の通信制高校の場合10万円以上で、30万円ほどかかることもあります。公立よりも私立の方が断然高くなりますが、その分充実したサポート体制や豊富な学習コースが用意されています。
また、サポート校に入学する方も多く、その場合には別途学費や交通費等が必要となります。
なお、公立・私立を問わず、高等学校等就学支援金制度を利用することが可能で、対象となれば授業料が無料になることもあります。
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高認試験は受験料と教材費だけ
高認試験の受験料は、科目数によって異なりますが、全科目受験の場合は8,500円です。
教材は自分で用意する必要があり、書店等で購入することが可能です。
また、高認試験対策専門の予備校や塾、通信講座を受講する方も多く、その場合には別途学費や交通費等が必要となります。
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【通信制高校と高卒認定】大学進学を目指すなら
通信制高校からも、高認生も、大学進学はもちろん可能です。
多くの高校生が予備校や塾に通っているように、大学受験対策のために予備校に通うと効率的に学習ができます。予備校に通うことで、一緒にがんばる友達ができた!という声もよく聞きます。
また、学習内容やレベルについて、通信制高校・高認試験と大学受験の溝を埋めていく必要があります。
たとえば、高認試験の出題レベルは高校1,2年生程度と言われいますし、通信制高校の場合も「単位取得」が目的であるため大学受験問題とは形式も難易度もギャップがあります。
いずれの場合にも、いきなり大学受験の塾や予備校に入ってしまうと大学受験対策の授業についていくことが難しいと言えます。
学習の基礎作りが必要
学校や資格対策の勉強から、受験勉強へと移行するためには「基礎固め」が欠かせません。
通信制高校であれば、1年目2年目の在学中から塾や予備校に通うケースも多く、
高認生であれば、高認試験合格後にできるだけ早く基礎固めを行い、その後大学受験コースに合流するとよいでしょう。
進路指導サポートを活用する
高認生の場合、特に独学で合格した場合には、大学受験に関する情報は自分自身で集めなければならず、負担も大きくなります。
また、通信制高校の場合、大学進学のための進路指導が十分にサポートされていない場合があります。
大学入試に関する情報は、今やインターネットなどで簡単に集めることができますが、そこから何を選ぶべきか迷ってしまった時の相談先がないのは大きなデメリットとなります。
受験生は精神的にもプレッシャーがかかりますから、予備校や塾でアドバイスをもらったり、相談にのってもらったりすることで、志望校合格が現実的になってきます。
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