東大現代文対策 評論問題の傾向と対策を解説

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こんにちは、四谷学院の国語担当の田中です。
「東大国語の対策はどうしたらいいんだろう?」とピンと来ていない受験生も多いかと思います。今回は、東大国語の「評論問題」について解説をしていきます。

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東大国語で試される力とは?

生徒
生徒
先生、二次試験の対策について相談しに来ました!
先生
先生
東大文一志望だったよね。
生徒
生徒
はい。でも、東大の過去問をやってみたんですけど、記述がなかなか書けなくて……。特に第一問の問四が難しくて、書く内容をまとめているうちに制限時間をオーバーしちゃいました。だからどうすればいいのか相談したくって!
先生
先生
確かに、東大の国語の入試は、単純計算だと、大問1題あたりにかけられる時間は30分~40分程度だけど……記述量を考えると、意外と余裕はないよね。

【東大国語 問題数と試験時間】

 問題数試験時間
文系大問4題 150分
理系大問3題 100分
生徒
生徒
そうなんですよ~!そもそも本文自体が難しいのに、そこから記述答案を作るってほんとに大変ですね。
先生
先生
でも、それこそが東大入試で求められる力だよ。東大の募集要項では、受験生に要求する能力として、『総合的な国語力』を挙げているんだ。
生徒
生徒
総合的な国語力?
先生
先生
うん。そして総合的な国語力を構成する要素として挙げられているのが、『文章を筋道立てて読み取る読解力』と、『それを正しく明確な日本語によって表す表現力』だ。
生徒
生徒
なんか、当たり前のことが書いてありません?ちょっと拍子抜けしますね。
先生
先生
そう思うかもしれないね。でも、読解力や表現力といった『当たり前』の能力を、いかに自在に使いこなすことができるか――東大の入試は、そういった能力を試す試験なんだ。
生徒
生徒
なるほど……?

東大国語 第1問 記述問題

先生
先生
じゃあ、難しかったと言っていた、第一問の最後の記述問題を確認していこうか。2023年度入試の第一問の問四の出題を見てみよう。こんな問題が出ているね。
(四) 「『異界』と自分自身とを、つかの間にせよ、可視的なかたちでつかみ取るための装置」(傍線部エ)とはどのようなことを言っているのか、本文全体の趣旨を踏まえて一〇〇字以上一二〇字以内で説明せよ(句読点も一字と数える)。

2023年入試問題 問四(出典:𠮷田憲司『仮面と身体』)

生徒
生徒
この『本文全体の趣旨を踏まえて』っていうのが難しいですよね。
先生
先生
そうだね。第一問の問四は例年、本文の最後に傍線が引いてあって、『本文全体の趣旨を踏まえて一〇〇字以上一二〇字以内で説明せよ』という問題が出題されている。本文全体のまとめとなる問題といっても過言ではないね。
生徒
生徒
つまり要約の問題、ってことですか?
先生
先生
そう思ってもらって構わない。ただし、ただ傍線の内容を説明するだけでは字数が余りがちだし、かといってやみくもに本文を要約しようとすると逆に字数が足りない。指示通りに本文全体を踏まえつつ、いかにスマートにまとめるかが腕の見せ所だね。
生徒
生徒
いや難しいですよ、そんなの……
先生
先生
そう感じるかもね。でもこの問題も、要求される基本的なテクニックは他の問題と変わらないよ。これは東大に限った話ではないけれど、記述問題で重要なのはいかに部分点をもぎ取るかなんだ。
生徒
生徒
記述で満点の答案を作るのは、結構ハードル高いですもんね。
先生
先生
だからこそ、その問題が最低限求めている要素を外さないようにして、部分点を稼いでいくことが重要になるんだ。そのためには傍線部自体の文構造を踏まえつつ、何を説明するべきかを考えていかなければいけないね。
生徒
生徒
今回で言えば……『異界』と『自分自身』が並列されていて、両方ともが『可視的なかたちでつかみ取る』の目的語になってますよね?
先生
先生
そうそう。まずは『異界を可視的なかたちでつかみ取る』と『自分自身を可視的なかたちでつかみ取る』がそれぞれ何を指しているのか、本文を踏まえて説明しなければいけない。これが最低限求められている要素だ。こういうポイントを外さないようにしつつ答案を作成する練習から始めていきたいね。
生徒
生徒
なるほど~。……でも、この問題は実質的には要約問題だから、本文全体を踏まえた内容も入れなきゃいけないんですよね?
先生
先生
うん、そこまで出来たら高得点も狙えるかもね。じゃあ、ここまでの話から更に発展させて、より点数の取れる答案を作るためにはどうすればいいか?というところまで話していこうか。
生徒
生徒
お願いします!

東大入試で点数の取れる答案を作る方法

先生
先生
ここからは、『本文全体の趣旨を踏まえて』という指示に従って、本文を総括していく必要がある。この文章の主題は、人類にとっての『仮面』の意義だ。
生徒
生徒
なんだか難しそうですね、仮面なんて馴染みもないし。
先生
先生
いや、意外と馴染みはあると思うよ。本文では仮面の一例として『ウルトラマン』が挙げられているんだ。
生徒
生徒
あ、僕も小さいころはそういうヒーローものが好きでした!戦隊ものとか、『仮面ライダー』とか。そう考えると、ヒーローって素顔を隠しているのがお約束ですよね。
先生
先生
いい着眼点だね。実際に本文でも、仮面の機能について、ヒーロー番組を踏まえた言及があるんだ。ヒーローの仮面というのは、ただ正体を隠すだけではなくって、人知を超えた力をコントロールして『変身』している証でもあるんだよ。
生徒
生徒
へえ、そう聞くとなんだか面白そうですね。
先生
先生
でしょ?東大の評論で出題される文章は抽象度の高いものが多いから、かみ砕いて理解するためには、具体例に引きつけて捉えていくのも一つの手段だね。
生徒
生徒
なるほど。
先生
先生
そして筆者はここから、更に『仮面』についての議論を展開させていくんだけど……。『仮面』は、古代から現代に至るまで広く見られる。そして、人間にとっての『仮面』の意義にも一定の共通項がある。……というのが筆者の主張なんだ。本文の冒頭部分を読んでごらん。
生徒
生徒
ふんふん……。あ、最初の方に傍線部アがあって……問一で問題になってますね。
(一) 「その意味で、仮面の探求は、人間のなかにある普遍的なもの、根源的なものの探求につながる可能性をもっている」(傍線部ア)とはどういうことか、説明せよ。

2023年入試問題 問四(出典:𠮷田憲司『仮面と身体』)

先生
先生
問題になっているから、否が応でも傍線部アには着目しなければいけないわけだけど、それは逆に言えば、本文全体を理解する上でここに着目すべきだという出題者側のヒントなのかもしれないね。
生徒
生徒
本文の中でも大事なところだから、問題として聞いてきてるわけですもんね。
先生
先生
そうだね。そして、『仮面』の持つこの『普遍性』・『根源性』こそが、筆者が文章全体を通して伝えたいことでもあるんだ。
生徒
生徒
あ~、言われてみれば、本文の冒頭に書かれてる以上は話題提起ですもんね。本文の最後の方には、『普遍』とか『根源』って言葉が出てこないから分かりづらいけど。
先生
先生
でも、改めてこの話題提起部分を念頭に置いて本文を読んでいけば、筆者が一貫して『仮面』のありようから人間の普遍的な特徴について考えているのが分かるはずだ。だから、古代の仮面から現代の仮面まで、幅広く言及しているわけだね。
生徒
生徒
それを読み取って、『仮面の普遍性や根源性』まで答案に盛り込まないと、高得点は狙えないわけですね……。そこまで出来ての『読解力』ってことかあ。

東大入試は読解力だけでは足りない!○○力が必要

先生
先生
その通り。もちろん、これはすぐに書けるようになるものじゃない。本文全体の論旨を捉える練習や、自分の書きたいことを端的にまとめる練習を積み重ねていかないといけないね。そしてそれと同時に、語彙力も重要だ。
生徒
生徒
語彙力ですか?
先生
先生
例えば、ここまで当たり前に使ってきたけれど、『普遍』って何? この言葉の意味を、自分なりに説明できる?
生徒
生徒
何となく意味は分かりますけど、説明できるかと言われるとわかりません。
先生
先生
自分で意味を理解していない言葉を、他人に向けて使うのは難しい。それに、本文に出てくる言葉でいちいち『これってどういう意味だっけ?』と立ち止まっていては時間が足りなくなるよね?
日ごろから、文章内に出てくる言葉の意味を説明できるかどうか、自分でも使いこなせるかどうか、そういうところに敏感になっておきたいね。『正しく明確な日本語によって表す表現力』は、こういう日ごろの積み重ねから生まれてくるものだ。
生徒
生徒
地道な努力が必要ってことですね。でも、道筋は見えてきた気がします。僕も頑張ってみます!

まとめ「東大現代文対策 評論問題の傾向と対策を解説」

今回は、東大の国語の入試問題について解説しました。
制限時間も厳しく、受験生に求められるもののハードルの高さに戸惑うかもしれませんが、地道な努力による積み重ねで、二次試験で安定した高得点を得る記述力が養われるはずです。

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