こんにちは、四谷学院の奥野です!
2021年1月より、センター試験が大学入学共通テスト(以下、「共通テスト」)へと移行されました。
ですが、そもそも「共通テストって、センター試験と何が違うの?」「思考力や判断力が重視されるって、具体的に何をどう勉強したらいいの?」という疑問がある方も多いでしょう。
今回は、共通テストとセンター試験の違いや、2024年度科目別共通テストの出題範囲から見る科目別対策を解説します。
目次
共通テスト導入の背景
2021年に、センター試験は共通テストへと変更されました。
変更の理由は、「知識・技能」だけでなく、これからの社会において重要となる「思考力・判断力・表現力」を持っているかを判断するためです。
独立行政法人大学入試センターでは、共通テストの問題作成について以下のように述べています。
- 大学教育の基礎力となる知識・技能や思考力、判断力、表現力等を問う問題作成
平成 21年告示高等学校学習指導要領において育成することを目指す資質・能力を踏まえ、知識の理解の質を問う問題や、思考力、判断力、表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視した問題作成を行います。
引用:独立行政法人大学入試センター 共通テストの役割
センター試験とはどのような試験だったのか
センター試験は正式名称を「大学入試センター試験」といい、高校卒業段階での基礎的な学習達成度を判定することを目的としていました。
共通テストと比較すると、知識や技能を問うことに重きを置いた試験だといえます。
試験は共通テストと同じく1月中旬に2日間実施されていましたが、数学の試験時間が60分であったり、英語は筆記200点・リスニング50点の配点であったりと、共通テストとは異なる部分がありました。
共通テストとセンター試験の違いまとめ
共通テストとセンター試験の違いをまとめると下表のようになります。
センター試験 | 共通テスト | |
日程 | 1月中旬 | 1月中旬 |
英語の出題内容 | 発音やアクセント、文法問題や読解問題、リスニングなど (英語の読み取りを重視した出題) | 読解問題、リスニング (英語の聴き取りを重視した出題) |
国語の出題内容 | 1つの大問に文章は基本的に1つ | 複数の文章を比較検討する問題もあり |
数学の出題内容 | 出題される数式から答えを導き出す形式が基本 | 高度な読解力が求められる問題や日常的な題材における数学的な考察試験時間が10分延長して70分に |
地歴公民の出題内容 | 知識をストレートに問う形式が中心 | さまざまな資料の読解や考察が中心 |
理科の出題内容 | 知識をストレートに問う形式 | 実験をもとにした考察問題が増加 |
共通テストとセンター試験の難易度の違いは?
どちらの試験も難易度は年度によって変動しますが、センター試験よりも共通テストのほうが全体的に難易度は高めです。
これは、知識量次第で解答できる問題が多いセンター試験と違い、共通テストでは知識をもとに思考力や判断力などが必要になるからです。
暗記だけでは対応できない問題が多いぶん、共通テストは対策をしっかりと行う必要があります。
2024年度科目別共通テストの出題範囲と対策
2024年度の共通テストの出題範囲は、以下のとおりです。
教科 | 出題科目 | 出題範囲 |
国語 | 「国語」 | 「国語総合」の内容を出題範囲として、近代以降の文章や古典(古文・漢文)を出題する。 |
地理歴史 | 「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」
「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理,政治・経済」
※上記から最大2科目選択 ただし、同一名称を含む科目を2科目選択することはできない | 「倫理,政治・経済」は「倫理」と「政治・経済」を総合した出題範囲とする。 |
公民 | ||
数学 | 「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」 ※上記から1科目選択 | 「数学Ⅰ・数学A」は「数学Ⅰ」と「数学A」を総合した出題範囲とする。 ただし、「数学A」の「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」のうち、2 項目以上を学習した者に対応した出題とし、選択解答させる。 |
「数学Ⅱ」「数学Ⅱ・数学B」「簿記・会計」「情報関係基礎」 ※上記から1科目選択 | 「数学Ⅱ・数学B」は「数学Ⅱ」と「数学B」を総合した出題範囲とする。 ただし、「数学B」の「数列」「ベクトル」「確率分布と統計的な推測」のうち2 項目以上を学習した者に対応した出題とし、選択解答させる。
「簿記・会計」は「簿記」「財務会計Ⅰ」を総合した出題範囲とし、「財務会計Ⅰ」は、株式会社の会計の基礎的事項を含めて、財務会計の基礎を出題範囲とする。 「情報関係基礎」は専門教育を主とする農業・工業・商業・水産・家庭・看護・情報・福祉の8教科に設定されている、情報に関する基礎的科目を出題範囲とする。 | |
理科 | 「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」 「物理」「化学」「生物」「地学」※上記から1~3科目選択 | |
外国語 | 「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」 ※上記から1科目選択 | 「英語」は「コミュニケーション英語Ⅰ」「コミュニケーション英語Ⅱ」「英語表現Ⅰ」を出題範囲とし、【リーディング】と【リスニング】を出題する。 【リスニング】では、聞き取る英語の音声を2 回流す問題と1 回流す問題がある。 |
参照:独立行政法人大学入試センター 令和6年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等
上記参照資料内の「出題教科・科目の問題作成の方針」を参考に、以下では科目別に対策をまとめました。
国語
国語では、言語活動の過程を重視し、文章から得た情報の多面的解釈や、目的などに応じて文章を書くスキルが求められます。
異なる種類や分野の文章など、複数の題材を使用した問題が出される可能性もあり、文章を見比べて整理する力も必要でしょう。
対策として、共通テスト形式の演習を重ねることをおすすめします。
地理歴史
地理では、地理についての多面的・多角的な考察のほか、地理的な課題の解決に関する構想が求められる問題構成となっています。
統計表や写真などの資料を用いた問題が増えているため、資料を読み解く力が必要です。対策としては、日頃から資料集を見る習慣をつけるとよいでしょう。
歴史も、資料を用いた出題が多い傾向にあります。
また、メモや会話文、説明文の読み取りが必要です。資料や知識の活用が求められるため、教科書や図説などの知識を押さえたうえで、演習問題をこなしましょう。
公民
現代社会では、社会の課題や人間の在り方について、多面的に考察する過程が重視されます。
多くの問題では、複雑な条件が付けられていたり、問題文が長かったりするため、与えられた情報や図表を読み取る力を鍛えておくことが大切です。
倫理も同様に、多面的に考察する過程が重視されます。暗記に頼らず、内容を理解することに徹してください。
政治・経済の出題内容は大きく、基本的知識を必要とする問題と、資料・図表を読み取る力を求める問題に分けられます。
教科書で基本事項を押さえつつ、問題集を解くなどして読解力・思考力を鍛えましょう。
数学
数学では、数学的な問題解決の過程が重視されます。教科書では触れられていない定理などを、身に付けた知識を活用して答えを導き出す問題も出題されます。
自力で解法を考える個別学力検査対策用の問題で学習を進めるとよいでしょう。
理科
理科基礎(物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎)では、身近な課題について科学的に探究を行う問題や、データを整理する過程で数学的手法を利用する問題などが出されます。
基礎的な解法を利用する問題も出されるため、教科書の内容を押さえておく必要があるでしょう。
理科(物理・化学・生物・地学)では、科学的に探究する過程が重視されます。
実験結果や提示された条件をもとに論理的に考える力を求める問題が出されるため、実験結果などを分析する力や知識を統合して考える力などが必要になります。
外国語
共通テストの外国語については、受験者が特に多い英語について解説します。
英語では、4技能のなかでも「読むこと」「聞くこと」において、音声・語彙・表現・文法などの知識を活用できるかどうかを問われます。
リーディングでは長文の読解力をつけ、さまざまな形式の文章に慣れておくことが大切です。
リスニングでは、資料を読み込んだうえで回答しなければならない問題もあり、聴き取る力だけでなく情報処理能力も求められます。
英語を聞いて要点がすぐにつかめるように、耳を慣らしておきましょう。
共通テストに向けた学習とは
共通テストに変更されたことで資料の読み取りや考察する問題が増え、試験が難しくなったとすると、普段からどのように学習をしていくことが必要になるのでしょうか?
共通テストに向けた学習のなかで大切になるのは、「各科目の土台となる基本知識を習得すること」です。単純な丸暗記だけでは対応しきれないため、注意しましょう。
次に、共通テストで求められる思考力の伸ばし方です。
思考力を伸ばすには「1つの事象により、どのような結果になるのか」「自分の解答が間違っていたときに、どこが間違っているか」を考えること、何よりも「普段から情報を整理し読み解く習慣をつけておくこと」が大切です。
見たことのない問題であっても、与えられた情報を読み解いて自分の知識を組み合わせることで、その問題を解いたり、解答の糸口を見つけたりすることができるようになります。
普段の学習から「なぜ、そうなるのか?」を意識して勉強することが今まで以上に重要になるといえるでしょう。
特に考える力は、ただ授業を聞いているだけ、ただひたすらに問題を解くだけではなかなか身に付けられません。
そのため、実際に自分が解いた答案をもとに、
「自分の考え方やプロセスのどこに間違いがあるのか」
「次に間違えないようにするには、何を修正する必要があるのか」
を考える、この経験を繰り返すことが大切です。
2024年度共通テスト対策も!四谷学院におまかせください
共通テストはセンター試験に比べて、単純に知識のみを必要とする問題は激減し、身に付けた知識をもとに考える問題や考察する問題が増えています。複数の情報を比較検討するような問題も見られます。
そのため、共通テストに向けた学習では、
- なぜその解答になるのか、なぜそのように考えるのか、といったことに目を向ける
- 自分の答案を振り返り、思考プロセスの穴や次に間違えないようにする方法を考える
という2点を意識しましょう。
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