この春、高校に入ったばかりの1年生にとって、2年以上も先におこなわれる大学入試は「自分にはまだ関係のない話」のように感じられるかもしれません。
ですが、国が主導する改革によって大学入試の仕組みが大きく変わる2020年以降は、1年生のうちから取り組むべき学習準備が、今まで以上に増えることになります。
この記事では、大学入試改革の概要と、高校1年生の今から取り組んでいただきたい対策をわかりやすく解説します。
※この記事は、2020年5月8日時点での情報です。最新の受験情報は大学入試センターなどの公的なホームページで必ずご確認ください。
目次
大学入試の仕組みが変わるって本当?
2020年度、つまり2021年1月実施の大規模な大学入試改革によって、大学入試センター試験は廃止され、形式もまったく異なるものに生まれ変わります。
センター試験が「共通一次試験」という名前で呼ばれていたのは、今から30年以上昔のことになります。(ちょうど、みなさんの保護者の方の世代ですね)共通一次試験が現在の大学入試センター試験になったときにも、報道などではやはり「大規模な入試改革」と言われました。そして2021年1月にも、当時と同じようなことが起こるのです。
センター試験に代わる「大学入学共通テスト」とは
センター試験の廃止によって新たに誕生するのは、大学入学共通テストと呼ばれる試験です。これは、大学新テストとも呼ばれています。
当初の予定では、大学入試センター試験がマークシート方式だったのに対して、共通テストには記述式の問題が加わることで、両者は全く異なる試験になると言われていました。
しかしながら、記述式問題の採点における公平性や、受験生の自己採点とセンター側の採点結果に開きが生じる可能性などが問題視されたことで、大学入試改革の大きな柱とも言える記述式の導入は見送られることになっています。
2020年度(2021年1月実施)の大学共通テストでは、各科目の出題方針においても変更があります。ですから、記述式問題がなくなったとしても、新旧の試験にはとても大きな違いがあります。
大学入試改革で浪人回避が増加!現役志向が強くなる!?
今回の大学入試改革で注意したいのは、大学入試センター試験が長く続いた時代と比べて、浪人回避傾向や現役志向が強くなるということです。
これは、大学共通テストにおける記述式問題や、同じく大学入試改革の2本柱だった英語における民間試験の活用が見送りになったことからも想定される注意点となります。
共通テストの再検討から見えてくる現役・浪人の問題
文部科学省では2020年1月15日に、延期を決めた記述式の在り方などを話し合う検討会議の初会合を開催しています。ということは、延期を決めた2019年の時点で問題視されていた公平性などの懸念事項が解消すれば、第2回目(2022年)以降の大学入試共通テストに、記述式などが導入される可能性も出てきます。
このように、第1回の試験まで1年をきった現段階でも、有識者などによる検討会議が続いている大学入試改革は、安定的な運用ができるまで、まだ少し時間のかかる取り組みであることがわかります。
ですからたとえば、初回の共通テストであまり良い点数がとれずに浪人をした場合、次回以降の試験には、記述式のように前回とは全く異なる形式の問題が出てくる可能性も考えられるのです。
私立大学にもおよぶ浪人回避の傾向
また近年では、人気私立大学の受験においても、従来と比べて安全志向が高まっています。ですから今後は、国公立大学だけでなく、大学入試共通テストを利用しない私立大学を受ける場合においても、なるべく現役合格するための準備が求められると捉えたほうが良さそうです。
現役合格するために必要な対策とは?
現役合格に向けて高校1年生のうちから取り組んでおきたいのは、以下3つの戦略です。
1.志望大学、志望学部を早めに決める
まず、浪人せずに現役で合格するためには、受験のゴールとなる大学や学部を早めに決める必要があります。この作業を1年生のうちに終わらせておくと、2年以上の長い時間を使って必要科目の勉強を進められるようになるでしょう。
2.1年間の勉強時間を決める
ゴールに向かって確実に学力を上げるには、単純に意気込むだけでなく、具体的な勉強時間数を設定し、1年生のうちに学習習慣をつける心掛けも必要です。毎日デスクに向かうことが苦にならなくなると、「継続は力なり」で徐々に成績も上がりやすくなります。
3.受験勉強を実際に進めるために学習計画を立てる
学習計画を立てれば、行きあたりばったりの勉強を回避できます。また、勉強を始める前に計画を立てておくと、進捗状況などのチェックも容易にできるようになるでしょう。
共通テストにおける主要教科の出題方針も要チェック
高校1年生からできるもうひとつの対策は、大学共通テストにおける主要教科の変更点や出題方針などを早めにチェックしておくことです。
2020年度(2021年1月実施)の共通テストでは、廃止となった大学入試センター試験と比べて、以下の点が変更になることがわかっています。
・英語:アクセント発音問題の消滅、全設問が英語になる、リスニングの配点変更
・国語:契約書などの書類や資料といった実社会で目にする実用文からの出題
・数学:数学だけの知識では解けない思考力を問う出題
たとえば、従来と比べて50点から100点に配点が上がる英語のリスニング問題は、対策の有無によって最も差のつきやすいカテゴリです。また、対策開始から結果が出るまで、最も時間がかかることでも知られています。
このように、出題方針における変更点をひとつずつ確認していくと、その中には高校1年生からの対策が必要な分野も非常に多いことがわかると思います。
また、大学共通テストでは「思考力・判断力・表現力」を評価する問題も出題される予定です。そのため、2020年度以降の共通テストに臨む高校生は、大学入試センター試験の頃と同じように知識や技術の暗記をするだけでなく、それらを使って応用力を高める演習も対策の中に盛り込む必要があるでしょう。
大学入試改革後の現役合格を目指すなら四谷学院
大学共通テストの主要科目となる「英語・国語・数学」には、他の教科に比べ圧倒的に学習すべき範囲が広い特徴があります。
(英語なんて、1つの言語です。私たちが何年かけて日本語を話せるようになっているのかを考えたら、ゾッとしますね)
そして学習すべき範囲が広いということは、受験に必要な知識を習得するのに、それだけ多くの時間がかかることを意味します。そんな主要科目の学習を高校3年生から本格化するというのは、現役合格を目指す上で非常に無茶な話であると考えられます。
ですから、大学受験の勉強はなるべく高校1年生のうちに始めてみてください。そして、主要教科の中で苦手なもの(もしくは分野)がある場合は、まずはそれを克服することから始めてみましょう。
具体的には、文系に進むのであれば英語・国語、理系であれば英語・数学、まだどちらにしようか考え中の場合は、とりあえず英国数の中で苦手なものから勉強を始めるのが理想です。そして、学校でまだ習ってない範囲を先取りするよりも、学校で習った範囲に抜けている部分がないかどうかを確認していくのがおすすめです。
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※この記事は、2020年5月8日時点での情報です。最新の受験情報は大学入試センターなどの公的なホームページで必ずご確認ください。