こんにちは、四谷学院の数学担当、浜田です。
「整数問題」は得意ですか?不定方程式をはじめとして、入試で出題される整数問題では、素因数分解や剰余など整数の性質の活用にとどまらず、数学Ⅱや数学Bで学習する2項定理や数学的帰納法など、様々な分野で学習した事項が必要になってきます。さらに、難関校で出題される整数問題では正解への道が見通しにくいものが多く、「整数問題は苦手だな」と感じる受験生も多いようです。
そこで今回は、大学入試の「整数問題」に対する苦手意識を克服するにはどうすればいいのかを最新の入試問題を題材に話していきます。
整数問題のよくあるつまずき
まずは実際の問題を見てみましょう。
前半は教科書にもよく載っているタイプの問題です。ここでは親切に素因数分解も与えられているので解きやすいと思います。
では後半はどうでしょうか。この問題になると途端に出来が悪くなる印象です。
なぜ解けないのか?
では、なぜ前半の問題は解けるのに、後半の問題は解けないのか?理由を探してみましょう。
おそらく多くの人が「解いたことがあるかどうか」と言うでしょう。しかし、実際の入試問題ではもちろん初めて見る問題をその場で解く必要があります。そのような勉強方法では、入試当日数学で安定した点数を取ることができません。
前半の解説
前半の問題もなぜ求めることができるのでしょうか。
「素因数分解したときの(指数+1)のかけ算で求められる」とただ暗記しているのでは役に立ちません。これが「正の約数の中で3の倍数であるものの個数」とほんのちょっとひねられると、解法暗記では太刀打ちできなくなります。
基本的な原理は、「正の約数の個数は、素因数分解したときの各素数について、可能な指数がそれぞれ何通りかを考えれば良い」ということです。
たとえば18 = 2 × 3² の正の約数は、2の指数が 0, 1 の2通り、3の指数が0, 1, 2の3通りなので、2 × 3= 6個と求められます。これが「3の倍数であるような正の約数」となると、3の指数が1か2でなければならないので2 × 2 = 4個となります。
後半の解説
では後半の解説に移りましょう。
aとbの最小公倍数が n = 2310 ( = 2 ∙ 3 ∙ 5 ∙ 7 ∙ 11 ) になると与えられているので、まずは最大公約数をgとして、a = g × a’ , b = g × b’ とおくと、 最小公倍数は g a’ b’とあらわすことができます。すなわち、 ga’ b’ = 2 ∙ 3 ∙ 5 ∙ 7 ∙ 11 を満たしているので、2 , 3 , 5 , 7 , 11 を g , a’ , b’ のどこに入るかという場合の数の問題に帰着されます。ぞれぞれの素数の入り方は3通りなので、 組 ( a , b ) は3の5乗 = 243 組と求めることができます。
経験値がひらめきを生む
さて、振り返ってみると、後半も場合の数の問題として似たような考え方のものを、一度は解いたことがありませんか?
この入試問題を通して痛感してほしいのは、「解法を知っているかどうかではなく、いかにその解法を使いこなせるかが大切である」ということです。
それは解法暗記で数学の問題を淡々とこなしていくのではなく一つの問題に自分なりの考え方を巡らせてどこまで深くその問題に向き合ってきたか、その経験値が試験本番でひらめくということにつながっていきます。
四谷学院では解法暗記ではなく考え方、発想の仕方を丁寧に教えてくれる環境が、科目別能力別授業でも、55段階個別指導でも整っています。ぜひ四谷学院で勉強し大学でも通じる思考力を養っていきましょう!