こんにちは!四谷学院 受験コンサルタントチームの伊達です。
面談で進路について話していると、こんな相談を受けることがあります。
『将来は人の助けになるような仕事がしたい。でも、どんな形で働くのが自分に合ってるのかわかりません。』
「医療系」の仕事を志す人は多いですよね。ドラマで憧れを持ったり、小さい頃に自分がお世話になっていたり…様々なきっかけがあります。
ただし、「医療系」と聞いて真っ先にイメージするような「医師」や「看護師」以外にも、実に多くの職種が存在します。
病院では数多くのプロフェッショナルたちが、私たちの体や心を支えてくれているんですね。
しかし、「臨床検査技師」や「保健師」と言われても、具体的な仕事内容やなり方をイメージできている人は多くないでしょう。
そこで今回は、質問されることが多い「理学療法士(PT)」と「作業療法士(OT)」の違いをまとめていきます。
進路に迷っている人は、参考にしてくださいね。
目次
それぞれの仕事内容を徹底比較!
理学療法士と作業療法士は、いずれもリハビリテーションを専門とする医療従事者です。
国家資格であり、言語や発声に携わる「言語聴覚士(ST)」や、視覚や視機能のスペシャリストである「視能訓練士(CO)」と共に、リハビリテーション職(リハビリ職)と呼ばれます。
それぞれの分野に専門家がいることからもわかる通り、リハビリと言っても、その内容は症状や目的によって大きく異なります。
特に混同されやすい理学療法士と作業療法士については、違いをしっかり理解し、自分の適性ややりたいことにマッチする職業を選択しましょう。
① 目標の違い
まず大前提として、理学療法士と作業療法士の役割や業務内容は大きく異なりますが、「患者の回復」を目標とする点では共通しています。
お互いに不足している部分を専門分野で補い合いながら、医師の指示の下で医療行為を行います。
同じ病院で、同じ目標に向けて働くことになる訳ですから、お互いの役割を理解して連携がとりやすくなると良いですね。
② 業務内容と目的の違い
たとえば「歩く」「立つ」や「寝返りを打つ」など、人間が生きていく上で欠かせない基本動作ができる状態を目指します。
その基本動作を妨げる身体の障害について、原因を把握し、「運動療法」や「物理療法」で患者の回復を促進するのが、理学療法士の仕事です。
運動療法は、その名の通り、運動をすることで身体機能の回復や症状の軽減を目指す治療法です。
ウォーキングなどの有酸素運動や、筋トレなどの無酸素運動、ストレッチといったメニューを組み、筋力強化や麻痺の回復につなげます。
物理療法は、電気や音波、熱といった物理的なエネルギーを利用する治療法です。
微弱な電流を流して、筋肉のコリや痛みの解消を図る「低周波治療」などが有名ですね。
応用的動作能力とは、日常生活を送るために必要な動作のこと。「食事」や「掃除」「着替え」などが当てはまります。
社会的適応能力とは、「学校」「会社」や「地域活動」での役割を果たす能力のことです。
理学療法が目指す「基本的動作能力」だけでなく、少し先の段階を目指していると言えるかもしれません。
編み物や油絵などの創作活動を始めとした、様々な「作業」を積み重ねることで、患者が日々を過ごしやすくなるようにリハビリを行います。
③ 対象の違い
②でまとめた「基本的動作能力」が充分でない患者、つまり病気や事故で障害が残ってしまった人や、先天的な障害がある人、要介護者などにリハビリを行います。
デイケアセンターでの治療やホームヘルパーへの指導など、病院外でも活躍しています。
精神科での役割も大きく、生活リズムを整えたり自己肯定感の向上につながったりと、社会復帰への足掛かりになっています。
「座る」「手を動かす」といった基本動作はできる患者が多く、そこから日常生活を送りやすくするため、または豊かな日常を過ごすためにリハビリを行います。
病院や介護施設だけでなく、児童福祉施設で体や心の支えになっている作業療法士も少なくありません。
④ なり方(資格取得方法)の違い
その試験を受験するには、大学や専門学校などの「養成校」で3年以上学ぶ必要があります。
対象となる大学は現在120校ほど。保健医療学部のなかでも、作業療法士がなく理学療法士のコースのみ設置している大学も多いです。
試験はいずれもマークシート形式で、医療知識を問われる「一般問題(160問×1点)」と、様々な症例のデータを基に正しい治療法を選ぶ「実地問題(40問×3点)」に分かれており、時事的な話題を含むこともあります。
午前・午後で各100問をいずれも2時間40分で解くことになるため、素早く問題を理解して処理する能力や、集中力に体力も求められます。
合格基準点は年により異なりますが、合計点(約60%)だけでなく、実地問題のみでも合格最低点(約35%)が設定されています。
また、「不適切問題」というものが、毎年数問存在します。
「正答と言い切れる選択肢がない」「難易度が高すぎて試験に適していない」などの理由から、複数の選択肢が正解になったり、採点からその問題自体が除外されたりということが起きます。
答えがどうしても導き出せない問題に長時間悩んでしまったが、「実はどうがんばっても答えを出せる問題ではなかった」というケースも珍しくないため、難問には時間をかけすぎず、引きずらないでほかの問題でしっかり得点できるように切り替えましょう。
2023年度の合格率は87.4%(11,312/12,948名)。2022年度が79.6%、2021年度が79.0%とバラつきはありますが、8割ほどで推移しています。
難易度や受験者層が違うので単純比較はできませんが、医師や看護師の国家試験合格率が毎年90%程度であることを考えると、対策をしていても不合格になる人が比較的多い医療職である…と言えます。
大学合格をゴールとして満足せず、進学後も勉強を継続していきましょう。
その試験を受験するには、大学や専門学校などの「養成校」で3年以上学ぶ必要があります。
対象となる大学は現在90校ほど。最近3年で10大学がリハビリテーションに関連する学科を新設しており、専門学校よりも大学に進学する人が増えていると考えられます。
試験はいずれもマークシート形式で、医療知識を問われる「一般問題(160問×1点)」と、様々な症例のデータを基に正しい治療法を選ぶ「実地問題(40問×3点)」に分かれており、時事的な話題を含むこともあります。
午前・午後で各100問をいずれも2時間40分で解くことになるため、素早く問題を理解して処理する能力や、集中力に体力も求められます。
合格基準点は年により異なりますが、合計点(約60%)だけでなく、実地問題のみでも合格最低点(約35%)が設定されています。
また、「不適切問題」というものが、毎年数問存在します。
「正答と言い切れる選択肢がない」「難易度が高すぎて試験に適していない」などの理由から、複数の選択肢が正解になったり、採点からその問題自体が除外されたりということが起きます。
答えがどうしても導き出せない問題に長時間悩んでしまったが、「実はどうがんばっても答えを出せる問題ではなかった」というケースも珍しくないため、難問には時間をかけすぎず、引きずらないでほかの問題でしっかり得点できるように切り替えましょう。
2023年度の合格率は83.8%(4,793/5,719名)。2022年度が80.5%、2021年度が81.3%とバラつきはありますが、8割ほどで推移しています。
難易度や受験者層が違うので単純比較はできませんが、医師や看護師の国家試験合格率が毎年90%程度であることを考えると、対策をしていても不合格になる人が比較的多い医療職である…と言えます。
大学合格をゴールとして満足せず、進学後も勉強を継続していきましょう。
⑤ 有資格者数や雇用先の違い
国家試験の合格者数を見てみると、20年前は6,000人前後の合格者だったのに対し、近年は1万人以上の合格者が毎年出ており、理学療法士の有資格者が急激に増えていることは明らかです。
また平均年齢は約35歳で、より若い世代の数が増加していることを考えると、2040年には資格者数が需要を大きく上回り、1.5倍程度になるだろうと懸念されています。
「国家試験に合格すればOK!」ではなく、実際に職に就いた後のことを考えて、コミュニケーション能力や観察力を養っておきましょう。
国家試験の合格者は毎年4,000~5,000人ほどで、理学療法士よりも緩やかではありますが、総人数は増加しています。
医療施設だけでなく、介護施設や福祉関連でも作業療法士の力は必要です。
高齢者が増えていることを考えると、今後も作業療法士によるリハビリ支援は、変わらず需要が高いままでしょう。
⑥ 名称の違い
国家資格であり、免許を持った人でなければ名乗ることはできませんが、特別な試験で認定を受けた看護師などの医療従事者であれば、理学療法の一部業務に携わることも可能です。
「みなしPT」と呼ばれることもありますが、「柔道整復師」など既に別の資格を持っている医療従事者が対象のため、実際にその試験を受けたり業務内容を変えたりする人は、多くないようです。
身体的なリハビリに限らず、精神状態を回復させる役割を担うことも多く、様々な場所で活躍しています。
治療(訓練)には、ボードゲームやダンスなどを用いることもあり、障害に悩む患者にも前向きな気持ちになってもらえるよう工夫されています。
理学療法士と作業療法士の違い まとめ
いかがだったでしょうか。
どちらの仕事もリハビリテーションを専門にした医療従事者であり、障害のある患者を支えていく役割を担っているという点では同じです。
しかし、治療法や目的は少しずつ違いましたね。お互いの専門分野で補い合いながら、患者を支えているのです。
それぞれの違いをしっかりと理解して、あなたが自身の適性ややりがいに合致した選択をできるよう願っています。