令和7年度共通テスト「地理」総評 | 共通テスト解答速報2025

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このページでは、令和7年度(2025年度)の大学入学共通テストの「地理」の出題について解説します。

新課程

新「地理総合、地理探究」

試作問題と同様の大問6題、小問数計30問でした。

出題内容は試作問題で出題されなかった地域調査が出題され、日本の国土像に関する問題は小問として出題されました。
出題傾向はまだまだ変化すると考えられますが、出題内容は旧課程地理Bを踏襲しており、扱われている知識も基本的なものが多く、求められている学力に大きな変化はないといえます。

しかし、正確な知識と考察力が求められる問題が昨年よりも増加したため、昨年の旧課程地理Bよりも難化した印象です。

令和7年度共通テスト地理 正解 | 共通テスト解答速報2025
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第1問 地球的課題(食料の生産や消費)

「地理総合」と共通問題でした。

農業と自然環境、生活文化や歴史的背景などが問われ、正確な知識と考察力が求められました。

特に問2は気候分布と各農業の特徴を正確に把握しているかが問われ、問3は自然環境と歴史的背景をもとに考察する力が問われており、選択肢をなかなか切れなかった人も多かったのではないでしょうか。

第2問 地域調査(愛知県東三河地域)

「地理総合」と共通問題でした。

問1は新旧の地形図をしっかり比較すれば解答できます。

問3は聞き取り調査結果で与えられている情報をもとに考えましょう。

問4は資料1で与えられていた位置関係や交通網をふまえ、総合的に考察すれば解答しやすかった問題です。

第3問 世界の自然環境と自然災害

問題文で与えられている考察のヒントをふまえ、何が聞かれているかを把握することが重要でした。

問1は②と③で迷った人が多かったと思いますが、問題文の「地形」もふまえることで判断できます。

問5は問題文の「海氷面積の増減は気温上昇に影響を与える」をふまえ、北極海の海氷減少と結び付けられるかが重要でした。

第4問 エネルギーと産業

問われているポイントがわかりやすく、正確な知識があれば判断しやすい問題が多かったです。

問3は卸売と小売の違いを把握しているかが重要でした。

問5はファブレス企業がそもそもどういった形態かを知っていれば、容易に判断できました。

第5問 産業構造の変化に伴う都市の変容

いずれの問題でも変化が聞かれているため、歴史的背景を踏まえ考察する力が求められましたが、問われている内容は基本的なものが中心でした。

問4は、出版が情報指向・市場指向の傾向が強いという正確な知識が必要でした。

第6問 環インド洋地誌

なじみが薄い地域・国が聞かれ、出題も自然・農業・貿易・移民・宗教など分野の範囲も広く、特定の地域に絞った対策ではなく、全ての範囲を網羅できているかが試されていました。

問1は熱帯低気圧が赤道上では発生しないという知識が、問3はインドから中東の産油国への移住・出稼ぎが多いという知識がないと判断が難しかったです。

旧課程

旧「地理B」

例年通りほぼ全ての問題で図表・統計などの資料が用いられ、思考力に加え情報処理能力のスピードが求められていました。

また、第1問では島が、第4問の地誌では寒冷地域と高山地域といったなじみの薄い地域がテーマとなったため、全ての範囲を網羅し、正しく理解・把握できているかで点数に差がついたと思われます。

細かく正確な知識が求められる問題もあり、昨年よりやや難化した印象です。
(昨年がやや易化だったため、標準の難易度という印象)
※受験者は主に高卒生となるため、平均点は上がる予想です。

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第1問 世界各地の島の自然と人間生活

単純な知識ではなく、地形や気候の成因から分布まで聞かれており、例年通りこの大問に難問が多い印象でした。

特に問4は資料から読み取れる風向きと、寒流の分布を正確におさえられているかを問う難問でした。

問1はホットスポット、安定陸塊、狭まる境界の沈み込み帯に位置する海域であることに気付けるかどうかが重要でした。

第2問 資源と産業

基本知識で解ける問題が多く、比較的取り組みやすかった大問でした。

問3は表のみで判定すると判断に迷いますが、文章を使って判断することで解答は選べます。

問6は繊維業が衰退し、機械工業(特に自動車)が日本の主幹産業となったことに着目すれば判断できます。

第3問 人口と都市・村落

こちらも基本知識で解ける問題が多く、比較的取り組みやすかった大問でした。

問3はなじみの薄い統計でしたが、巨大企業の増加数、本社の首都への集中度合を考えれば判断できます。

問4もあまり見ない形式でしたが、古くから発展している都市は、都心部に旧市街地区が残されていることを考慮すれば判断できます。

第4問 寒冷地域と高山地域

なじみの薄い地域かつ、地形や気候、位置関係など様々な情報を処理し考察する問題があり、やや難問が多い大問でした。

問1は緯度や東西分布など様々な気候因子から考察する問題でした。
問2は植生だけではなく、水域の面積割合に注目すると判断しやすい問題でした。

問4はネパールの南北どちらにヒマラヤ山脈があるかという知識がないと、判断に迷ってしまう問題でした。

地理は思考問題が多いですが、正しい思考をするためには正しい知識が必要だと再認識させられる問題が多かったです。

第5問 地域調査(北海道ニセコ地区)

例年通り資料の読み取りを中心とし、読解力や考察力が試される問題でした。
特に問4と問6は与えられた資料を正しく読み取り、論理的に考察することが求められており、判断に迷った人も多いのではないでしょうか。

ただし、こういった考察問題は近年の特徴となっているため、過去問対策でこの手の問題に慣れている人はしっかり得点できたでしょう。

旧「地理A」

昨年同様、ほぼ全ての問題で資料が使われており、知識と思考力が問われています。
第5問は地理Bとの共通問題でした。

第1問での地図の読み取りと災害に関する問題や、第4問の環境問題に関する出題はお馴染みになっています。
単なる知識ではなく、思考力を試されている問題が多いという点も例年通りです。

第2問の問5など細かい知識と思考力を要する難問もありましたが、基本知識で解ける問題が多く、難易度は標準という印象です。

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第1問 地理的技能とその活用、および日本の自然環境と防災

例年通りの傾向でした。
難易度も例年並みという印象です。

問2は「ア」の経路は尾根に沿って進んでいることが読み取れるかどうかがポイントでした。

問6はXとYどちらが上流か下流かを読み間違えると正解を選べません。
支流の向きや文章から正しく判断できるかがポイントでした。

第2問 世界の生活・文化

例年通り生活・文化に関する大問でしたが、特定のテーマのみではなく、小問ごとに分野が変わったため、全ての範囲を網羅していることが求められていました。

問5の保存食の問題は、気候や産業をふまえ、総合的に考察する力が必要な難問でした。

第3問 南アジア

問2と問3は細かい知識と思考力が必要な問題でしたが、その他は基本知識で解ける問題だったため、難易度は例年並みでした。

第4問 地球的課題(生物)

基本事項を組み合わせて解ける問題が多く、例年並み~やや易化という印象です。
地球的課題は新課程「地理総合」でも重点的に扱われる分野です。

問2はタイとラオスどちらが経済発展しているかという点や、どちらが山地林が多いかを資料から読み取れるかという点がポイントでした。

第5問 地域調査(北海道ニセコ地区)

地理Bとの共通問題です。

例年通り資料の読み取りを中心とし、読解力や考察力が試される問題でした。
特に問4と問6は与えられた資料を正しく読み取り、論理的に考察することが求められており、判断に迷った人も多いのではないでしょうか。

ただし、こういった考察問題は近年の特徴となっているため、過去問対策でこの手の問題に慣れている人はしっかり得点できたでしょう。

新高3生・高2生へのアドバイス

見慣れない資料が使われることは毎年のようにありますし、文章量や資料数が多いことも例年通りとなっていますので、模試や過去問などを通してこの形式に慣れるということは必須です。

また、単純な知識で解ける問題はほぼ出題されず、思考力が試される問題がほとんどです。
思考問題に慣れるためにも、地理は演習量が重要だといえます。

ただし、深い思考力が必要な難問は少なく、ほとんどの問題は基本知識を組み合わせて考えれば解けるので、普段の学校・予備校での授業や教科書・参考書の内容理解が最優先となります。
このときに、穴埋め形式で用語や地名などを暗記するのではなく、原理や背景知識を理解することが重要です。
また、場所が分かっている前提の問題も出題されるため、地図帳を使った学習も不可欠です。

演習は受験学年の夏以降に始めても間に合うので、まずは
・普段から原理や背景知識を意識した学習
・地名や都市名が出てくるたびに地図帳を確認
を徹底していきましょう。

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