令和7年度共通テスト 「地理総合、歴史総合、公共」総評 | 共通テスト解答速報2025

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このページでは、令和7年度(2025)の大学入学共通テスト公民の「地理総合、歴史総合、公共」の出題について解説します。

新「地理総合」

第1問と第2問は「地理総合、地理探究」と共通問題で、解きづらい問題が数問ありました。
第3問と第4問は「地理総合」独自問題で、特に第3問は比較的解きやすい問題が多く、全体の難易度は標準的でした。

大問4題・解答数16問は試作問題通りで、出題形式も旧課程地理Aと大きな変化はなく、新課程とはいえそこまで大きな変化があったわけではありませんでした

令和7年度共通テスト地理総合、歴史総合、公共 正解 | 共通テスト解答速報2025
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第1問 地球的課題(食料の生産や消費)※「地理総合、地理探究」と共通

農業と自然環境、生活文化や歴史的背景などが問われ、正確な知識と考察力が求められました。

特に問2は気候分布と各農業の特徴を正確に把握しているかが問われ、問3は自然環境と歴史的背景をもとに考察する力が問われており、選択肢をなかなか切れなかった人も多かったのではないでしょうか。

第2問 地域調査(愛知県東三河地域)※「地理総合、地理探究」と共通

問1は新旧の地形図をしっかり比較すれば解答できます。

問3は聞き取り調査結果で与えられている情報をもとに考えましょう。

問4は資料1で与えられていた位置関係や交通網をふまえ、総合的に考察すれば解答しやすかった問題です。

第3問 日本の自然災害と防災

資料の読図と思考力が問われる大問です。

問2は降水量ではなく月別降水日数という見慣れない資料が使われていますが、問われていることは北海道の日本海側、本州の太平洋側、南西諸島の降水量とほぼ同義なため、複雑に考えすぎなければ正解できます。

問3でも地すべり地という見慣れない地形が使われていますが、地すべり地の知識がなければ解けないわけでなく、与えられた情報を正しく読み取れば正解にたどり着けます。

第4問 世界の生活文化

見慣れない資料が多く使われており、正しい知識と深い思考力が問われる大問でした。

問1は降水量が多いB=熱帯=「ウ」と安易に考えるのではなく、気温の年較差にも注目して考えなければ引っかかってしまいます。

問6も普及が早い「サ」がアメリカ合衆国と安易に考えるのではなく、すでに与えられている日本を参考にし、経済成長などもふまえて総合的に判断する必要がありました。

新「歴史総合」

大学入試センターが公表していた試作問題と同様、大問数は2でした。
問題数は試作問題と比べて、第1問が9から8に減少、第2問は同じく8問でした。

試作問題と同様、第1問は「歴史総合、日本史探究」の第1問、第2問は「歴史総合、世界史探究」の第1問と同じ問題でした。

難易度については試作問題と同程度でしたが、第2問に難易度の高い問題が含まれていました。
また試作問題と比べて、第1問では世界史分野からの出題が目立ちました。

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第1問

歴史上における境界をテーマにした大問でした。
基礎が固まっていれば、問題なく解答できたことでしょう。

問1では地図問題が出題されましたが、このような問題に対応するために、普段から地図を意識して学習する必要があります。

問6ではグラフに関する問題が出題されました。
グラフの読み取りは容易ですが、各出来事がおこった時期を理解しておかなければ解答することができませんでした。

問6や問7を解けるようにするためにも、各出来事がおこった時期は大まかで構いませんので、理解しておきましょう。

第2問

身の回りの諸事象と、歴史のつながりをテーマにした大問でした。
全体的には標準的な問題が多かったですが、問4と問5の難易度が高かったです。

問4を解答するためには、力織機が布を織る装置、紡績機が綿糸を生産する装置であったことを理解しておく必要がありました。

また問5では、京城が現在のソウルであることを分かっている必要があり、難易度が高かったです。

新「公共」

今年度からの新しい科目なので、出題がどうなるか不安な受験生も多かったと思われますが、総じて基本的な知識・内容があれば解答できる問題でした。
旧「政治・経済」などで出題された要素・用語を、よりかみ砕いて平易にして問われているパターンも散見されます。

思想分野もどこまで問われるか動向が読みづらかったですが、旧「現代社会」で問われたような、代表的な思想家が公共でも問われていました。

難易度は平易だといえるでしょう。

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第1問

近年議論されることの多い、男女共同参画社会についての出題でした。

問2や問3は表の読解が求められていますが、理解に時間がかかる項目などは見受けられないシンプルなタイプで、正確に読み取れば正解は導けたと思われます。

問4のリード文にあるクオータ制は、今年度の旧「政治・経済」などでも問われていました。

第2問

社会関係資本と社会的共通資本に関するメモの読み取り、日本銀行による金融政策や為替など経済の基本概念が問われています。

問3の円高・円安についての考え方は苦戦する受験生が多い分野なので、自分の言葉で説明してみるなど、丸暗記ではなく理解重視でしみこませましょう。

問5の日本銀行による金融政策は、今年度の旧「政治・経済」などでも問われていましたが、こちらのほうが誘導は丁寧で解きやすい印象です。

第3問

司法制度が主なテーマの出題でした。

問1の選挙における一票の格差の問題は頻出です。
必ず押さえておきましょう。

問2・問3も、裁判所の役割や違憲審査に関する基本知識があれば正解にたどり着くことができます。

第4問

生徒が「現実社会の諸課題の解決に向けて、人と人とが対話や議論をする公共空間を持続的に形成するには、どのようなことを考えるべきか」という議題について話した探究活動をテーマに、思想への理解や図表を読み取る力が問われています。

問1の肢にあるアーレントやハーバーマスは、いずれも押さえておきたい思想家です。

問2は表が2種類あり読解が大変です。
一応、「読取りに関する部分には下線を付している」とはありますが、結局肢のほとんどに下線が引かれているので、リード文をもとに正確に読み取るほかありません。

問3のような帰納⇔演繹の概念も頻出なので押さえておきたいです。

新高3生・高2生へのアドバイス

新「地理総合」

共通テストは基本事項の組み合わせで解ける問題が多いため、普段の学校・予備校での授業や教科書・参考書の内容理解を最優先しましょう。
このときに、穴埋め形式で用語や地名などを暗記するのではなく、原理や背景知識を理解することが重要です。

また、場所・分布の確認や統計問題も頻出なため、地図帳と統計集も活用しましょう。

今後まだまだ変化する可能性はありますが、今年度の出題をみる限り、旧課程地理Aと大きく変化はしていません
旧課程地理Aの過去問対策も有効です。

新「歴史総合」

今年度の本試験では、難易度が高い問題が含まれていたものの、基礎的な事項を中心に出題されていましたので、基礎を固めることが何よりも重要です。

また、単純に用語名を覚えているだけでは太刀打ちできない問題が多数みられました。
用語の意味・内容や、各時代・地域の歴史の流れ・社会情勢、地図、各出来事がおこった大まかな時期までをしっかりと理解しておきましょう。

新「公共」

今年度からの新科目なので、対策が不安な生徒も多いと思いますが、必要知識はかつての公民とさほど変化はありません

しっかり基本的な用語を押さえることと、特に経済分野において複雑な単元(需要・供給曲線、日銀の金融政策、円高・円安などの概念)は、しっかり自分で繰り返し図起こしをして理解しましょう。

時事的な出来事に対する知識も問われています。
学校の図書館やスマートフォンのアプリなどで新聞を読む習慣をつけるとよいでしょう。

新聞各社の社説欄にひとまず目を通してみて、大まかに1日のニュースの概要を知り、自分なりの意見をつくってみるのもおすすめです。

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