令和6年度共通テスト「日本史A・B」総評 | 共通テスト解答速報2024

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このページでは、令和6年度(2024年度)の大学入学共通テスト「日本史」の出題について解説します。

日本史B

今年の共通テスト日本史Bでは、近世・近現代の対外関係史からの出題が目立ちました。
また、時期の判定問題や、史料や図表の読み取り問題、史料の特性を問う問題など、一問一答形式の暗記では対応できないような問題の出題も増えています。

難易度としては昨年並みですが、時期や分野に苦手を作らず、教科書レベルの基本的な知識について正しく理解していることが求められたため、対策が間に合っていない受験生には難しく感じられたかもしれません。

第1問

「印刷の歴史」をテーマに古代~近代について総合的に出題されました。

問1ではこれまでに出題例のなかった、年代順に並んだ表を用いた時期判断の問題が出題されました。
全体としてはやや細かい知識を必要とする問題や、注まで丁寧に読解する必要のある資料問題が出題されましたが、教科書レベルの知識が抜けなく身についているかが問われるものとなっていました。

第2問

「日本の古代の食物」をテーマにした出題でした。

問5では表の空欄補充の形式で8択の問題が出題され、共通テストでは初めての出題形式となりました。
第2問では、文化史が中心に出題され、問1の甕と甑の用途を問う問題や、問5の各資料の特性や関連事項を問う問題など、各用語の正しい理解、文化や歴史的事象の背景への理解、考察力が求められました。

第3問

「中世社会の特色」をテーマに、政治・社会・文化の各分野からの出題になっていました。

第3問では史料が合計5つ引用されていましたが、史料1,3,4,5は教科書や資料集にも掲載される有名史料のため、対策を行っていた受験生にとっては、解きやすい問題だったでしょう。
また設問文や会話文を手掛かりにすることで選択肢が絞りやすくなっており、これらを活用できたかがポイントになりました。

第4問

「近世の輸出入品と社会・経済との関係」に関する問題が出題されました。

第4問では対外関係に関する問題が多く出題されており、来年度からはじまる歴史総合を意識した出題だと考えられます。
単なる用語の暗記ではなく、出来事の流れや誰が何の目的で出した法令なのかをしっかりと理解していることが求められる出題が比較的多くみられました。

第5問

「明治時代に始まった生活様式・社会経済制度」をテーマにした問題が出題されました。

2024年度に新紙幣が発行されるため、対策をしていた受験生も多かったと思われますが、やはり紙幣や銀行に関する問題が見られました。
第5問は発表原稿やグラフ、史料の丁寧な読み取りや基本的な知識で対応が可能な問題で構成されており、難易度は比較的易しかったといえます。

第6問

「二度の世界大戦後の日本と国際社会の関係」をテーマに、大正~昭和戦後期の外交を中心とした出題でした。
昨年よりも戦後に関する問題が増えています。

問1,問6では条約の内容を問う問題が出題され、戸惑った受験生もいたかと思いますが、全体としては基礎知識で解けるシンプルな出題でした。

日本史A

2024年度の共通テスト日本史Aは、教育史や経済史といった頻出テーマからの出題が見られました。

過去問演習などで頻出テーマに関する演習を積んでいた受験生には比較的解きやすい内容だったといえます。
また、日本史Bと共通して、一問一答形式の用語の暗記だけでは答えにくい、その歴史的事象の意味や社会への影響、背景を踏まえた出題となっており、歴史を多角的に理解することが求められました。

第1問

「近現代日本の娯楽からみた人々の生活」に関する出題でした。

史料が多く引用されており、これらを正しく読解することが求められました。
また、そのうえで史料に関連する歴史的事項を想起し、正誤や時期を判断しなければならない問題もみられました。
自分の持っている知識を関連づけて解くことが求められる出題に戸惑った受験生もいたでしょう。

第2問

日本史Bの第5問と同一の問題で、「明治時代に始まった生活様式・社会経済制度」をテーマにした問題が出題されました。

2024年度に新紙幣が発行されるため、対策をしていた受験生も多かったと思われますが、やはり紙幣や銀行に関する問題が見られました。
第5問は発表原稿やグラフ、史料の丁寧な読み取りや基本的な知識で対応が可能な問題で構成されており、難易度は比較的易しかったといえます。

第3問

「明治時代以降の教育と社会の関係」をテーマにした問題が出題されました。

教育という頻出のテーマに対して、文化史、政治史などの観点から多角的に把握できているかがポイントになりました。
そして、それらがどの内閣のもとで主導されたものか、といった時期に関しても整理しておくことが求められました。

第4問

日本史Bの第6問と同一の問題で、「二度の世界大戦後の日本と国際社会の関係」をテーマに、大正~昭和戦後期の外交を中心とした出題でした。
昨年よりも戦後に関する問題が増えています。

問1,問6では条約の内容を問う問題が出題され、戸惑った受験生もいたかと思いますが、全体としては基礎知識で解けるシンプルな出題でした。

第5問

「近現代の日本経済」をテーマに、大正期~戦後にかけての経済史が問われました。

経済史に苦手意識を持つ受験生もいるとは思いますが、センター試験時代から頻出のテーマです。
全体としては、基本的な経済史の知識と、史料・グラフを読み取る力があれば解けるようになっていましたが、一部、経済における出来事の意味やあたえた影響まで理解が必要な問題もありました。

新高3生・高2生へのアドバイス

新しい学習過程では、「日本史探究・歴史総合」の組み合わせで選択するケースが多くなります。

「日本史探究」は従来の「日本史B」よりも、歴史的事象についての考察を重視した科目として位置づけられています。
つまり、「なぜそのような出来事が起きたのか」、「そのようになった背景に何があったのか」というような歴史を解釈する力が求められます。
そういった意味でも、これまで以上に考察問題が重視される可能性があるでしょう。

また、共通テストでは歴史総合との組み合わせになりますので、普段の学校の世界史の学習についても、特に近現代史はしっかりと勉強しておきましょう。

 
 

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