このページでは、令和6年度(2024年度)の大学入学共通テスト公民の「現代社会」の出題について解説します。
目次
現代社会
共通テストの現代社会では、政治・経済分野を中心とした現代社会の基本的な知識と、資料の読み取り問題、思想の問題が出題されます。
今年度の問題は、大問数に変化はなかったものの、マーク数が1つ増加しました。
また、選択肢の数が8肢など多岐にわたるものも散見されます。
ただ、オーソドックスな出題も多く、難易度は平年並みと言えるでしょう。
大問1(政治分野)
「大学の授業」をテーマに、安全保障・選挙制度・日本国憲法などに関する出題でした。
特に安全保障の分野は、近年の社会情勢を見据えて出題が増加する可能性もあるので、注意しておきたいところです。
問6は、統治行為論の意味を理解したうえで、それに対する批判となっている内容を考えさせる、思考型の問題と言えるでしょう。
大問2(政治分野・思想分野)
高校生のグループでの調査研究をテーマに、近年重要視される、調査手法に関する問題が出題されました。
問3の資料の読解問題も、項目がやや多く感じるかもしれませんが、一つずつ丁寧に読んでいけば対処できるでしょう。
問1・問4~6は青年期・思想家に関する問題が見られました。帰納法・演繹法といった受験生が混同しがちな用語はしっかり押さえておきましょう。
大問3(政治分野)
3つの場面をテーマに、選挙制度・司法制度など政治分野からの幅広い出題でした。
問3は地方自治に関する問題です。国政(国会制度)と異なる部分もあるので、正確に理解しましょう。
問5は予想利得に関する計算問題で、やや複雑な出題でしたが、自分が持つ知識とリンクさせながら丁寧に読み解けば大丈夫でしょう。
大問4(経済分野)
高校生の開発途上国に関するレポートをテーマに、問1や問6は受験生が苦手としがちな、経常収支や為替に関する問題が出題されました。
いずれも、用語の丸暗記だけではなく正確な理解が求められる分野です。
問3~5は地球環境問題に関する出題でした。対策が漏れがちなところなので、教科書や資料集を通してしっかり確認しておきましょう。
大問5(政治分野)
地方都市の探求課題をテーマにした問題でした。政策決定・資料の読み取りなど思考型の設問です。
問2~4にみられた「関係人口」に関する問題は最近話題になっている事柄と絡めた、時事的な出題と言えるでしょう。
問2は参照する資料が2種類と多く、若干読み取りに時間を要した受験生もいるかもしれません。
新高3生・高2生へのアドバイス
このように、共通テストの現代社会では、政治・経済・思想分野に関する基本的な知識だけではなく、資料の読み取り問題や計算問題、思考型の問題が出題されます。
まずは、学校の授業を通して各分野に関する基本的な知識を身につけましょう。
資料の読み取り問題に関しても、初見の資料に対していかに自分の持つ知識と結び付けられるかが重要です。
計算問題については、苦手とする受験生が多いですが、GDP・GNPに関する計算・国際収支(貿易・サービス収支、第一次/第二次取得収支)の計算など、頻出分野は決まっているのでむしろ対策しやすいはずです。
また、思考型の問題も過去問や模試を通して慣れておきましょう。
今年度に関しては、一部に複雑な設問もあったものの、頻出分野に関する基本的な知識が身についているかどうかがカギだと言えます。
新課程入試では「公共」が追加になりますが、学習内容は「政治経済」と大半が重なります。まずは正確なキーワード理解が大切です。
学校や四谷学院の授業を通して、教科書やクラステキストの内容をさらっておきましょう。