このページでは、令和5年度の大学入学共通テストの「地理」の出題について解説します。
地理B
例年通りほぼ全ての問題で図表・統計などの資料が用いられ、思考力に加え情報処理能力のスピードが求められていました。最初の問題(大問1問1)が、「時間スケールと空間スケール」という見慣れない資料が使われたため、焦ってしまいペースが乱された人や、大問5は会話文の分量や資料数が多く、深い考察が必要な問題もあったため、時間内に解ききれなかった人も一定数いたと思われます。見慣れない資料が使われることは毎年のようにありますし、文章量や資料数が多いことも例年通りとなっていますので、模試や過去問などを通してこの形式に慣れるということは必須です。また、大問3の問5(従属人口指数の問題)は深い思考力が必要な問題です。このような思考問題に慣れるためにも、地理は演習量が重要だといえます。
ただし、深い思考力が必要な難問は少なく、ほとんどの問題は基本知識を組み合わせて考えれば解けるので、普段の学校・予備校での授業や教科書・参考書の内容理解が最優先となります。この時に、穴埋め形式で用語や地名などを暗記するのではなく、原理や背景知識を理解することが重要です。また、大問4問1(森林率の問題)のように、細かい場所も聞かれるため、地図帳を使った学習も不可欠です。
地理A
昨年同様、ほぼ全ての問題で資料が使われており、知識と思考力が問われています。大問5は地理Bとの共通問題でした。
大問1での地図の特徴と災害に関する問題や大問4の環境問題に関する出題はお馴染みになっていますので、ここで失点しないようしっかり対策をしましょう。大問1の問2では等高線の読み取り方が聞かれているため、地形図読解に慣れることも必要です。大問2の問3は移動手段の目的という馴染みがない問題だったため、苦戦した人が多かったと思われます。単なる知識ではなく、思考力が試されていると言える問題でした。
深い思考力が試される問題が1・2問ありましたが、その他の問題は基本知識と、問題文と会話文にあるヒントを踏まえ、与えられた資料を丁寧に読み取れば解答できますので、慌てずに取り組みましょう。
新高3生・高2生へのアドバイス
演習は受験学年の夏以降に始めても間に合うので、まずは
・普段から原理や背景知識を意識した学習
・地名や都市名が出てくるたびに地図帳を確認
を徹底していきましょう。
地理の共通テスト出題形式の特徴
ほぼ全ての問題で何かしらの図や資料が使われており、読解力・資料を通して考える力・判断力が必要です。共通テスト地理の攻略において最も重要なことの1つとして、普段から正しい勉強ができているかということになります。原理や背景知識をおさえることを意識して、わからないところは先生に質問できる環境を整えましょう。
思考力が培われたら、センター試験含む共通テストの過去問を使った演習や予想問題による対策が効果的です。