このページでは、令和5年度の大学入学共通テスト「世界史」の出題について解説します。
世界史B
昨年度と比べて、大問数は5問、問題数は34問で変わりませんでしたが、会話文や資料の分量が増加しました。
これまで以上に、会話文や資料から読み取った内容を知識と結びつけて解答する力が求められた分、難しくなりました。例えば、第1問 B 問4の問題では、資料から北方民族の風習に由来することが読み取れますが、平城が北魏(ほくぎ)前期の都であったことが分からなければ解答できませんでした。また続く第1問 B 問5の問題では、根拠をもって解答するために、会話文中の「中国の女性皇帝」が中国史上唯一の女性皇帝である則天武后を指していることと、唐を建てた一族が北魏を建てた鮮卑(せんぴ)拓(たく)跋(ばつ)部の出身であったことを分かっている必要がありました。
しかし、求められている知識自体は基礎的なものが中心であり、普段から歴史的な流れや当時の社会背景などを意識して学習できている受験生はそれほど苦戦しなかったでしょう。例年通り、普段からそれらを意識して学習できていたかどうかがカギを握るテストでした。
世界史A
昨年度と比べて、大問数は5問から4問に、問題数は31問から30問に減少しました。
昨年度と同様に、会話文と資料から読み取った内容を知識と結びつけて答えさせる問題がみられました。そのような問題では会話文や資料が示している時代がどのような時代なのかを考えながら取り組む必要があります。例えば、第3問 B 問4は、1800年頃にギリシアを領有していた国がオスマン帝国であったことが分からなければ解答することができませんでした。これは1821~29年に、ギリシアがオスマン帝国からの独立を目指してギリシア独立戦争が起こしたことを知っていれば分かったことでしょう。
出題範囲については昨年度と同様に近世以降が中心でしたが、それ以前の時代についての問題も散見されました。また、昨年度と同様に戦後史からの出題も多くみられたため、戦後史の学習もしっかりとする必要がありました。
求められている知識自体は基礎的なものが中心であり、普段から歴史的な流れや当時の社会背景などを意識して学習できている受験生は高得点をとれたことでしょう。例年通り、普段からそれらを意識して学習できていたかどうかがカギを握るテストでした。
新高3生・高2生へのアドバイス
共通テスト世界史Bを攻略するためには、普段から歴史的な流れや当時の社会背景などを意識して学習することが非常に重要です。一問一答等で単に用語を覚えるにとどまってしまっている方は勉強方法を見直してみましょう。また、現代史からの出題が減少したものの、広い分野から出題されているため、満遍なく学習するようにしましょう。そのうえで、共通テスト世界史B独特の問題形式に慣れるために、過去問題や予想問題に取り組んでみましょう。
共通テスト世界史Aを攻略するためには、普段から歴史的な流れや当時の社会背景などを意識して学習することが非常に重要です。一問一答等で単に用語を覚えるにとどまってしまっている方は勉強方法を見直してみましょう。また、近世以降を中心に広い分野から出題されているため、満遍なく学習するようにしましょう。戦後史は対策不足になってしまう受験生が多いため、注意してください。そのうえで、共通テスト世界史A独特の問題形式に慣れるために、過去問題や予想問題に取り組んでみましょう。