このページでは、令和5年度の大学入学共通テスト「国語」の出題について解説します。
国語
22年度と同様に、今年度も複数テクストの読解が求められました。メインの課題文の主旨やポイントと、資料とのあいだの類似点・相違点を正確に読み取ることのできた受験生は高得点を取ることができたでしょう。設問中には紛らわしい選択肢もあり、昨年度と比較するとやや難化したと言えます。
第1問 評論
昨年と同じく二つの課題文(柏木博『視覚の生命力―イメージの復権』・呉谷充利『ル・コルビュジエと近代絵画―二〇世紀モダニズムの道程』)が出題されました。二つの文章は、いずれも同じ題材・テーマを扱っていて、また同じ著者の本から引用が行われています。しかし、その引用の仕方は少し異なっていて、その違いが、それぞれの文章全体の主張の違いと連動していました。
第2問 小説
メインの課題文(梅崎春生「飢えの季節」)は一つでしたが、問7で本文と同時代の【資料】として本文中で言及された企業の広告が提示され、本文全体の主旨を踏まえて、その資料との共通点を読み取ることが求められました。受験生が意識すべきポイントとしては、課題文全体の主旨を正確に読み取ること、そして、そのうえで文中に出てくる文物について、その意味を本文の主旨や時代背景と共に理解すること、が挙げられます。
第3問 古文
課題文のジャンルは歌論(『俊頼髄脳』)でした。課題文でも、問4で引用されている同じ作者の別の出典の文章(『散木奇歌集』)においても、そのなかで詠まれている和歌では「掛詞」が用いられており、その内容を正確に理解できていれば高得点が狙える問題でした。
第4問 漢文
体裁としてはメインの課題文は二つ(白居易『白氏文集』【予想問題】【模擬答案】)でしたが、それらは内容的には連続しており、課題文が一つのケースと読解の仕方を変える必要はさほどありませんでした。ポイントは、文中で出てくる比喩(具体例)が、作者の主張(【模擬答案】で示されている答え)とどのように関係しているかを正確に読み解くことでした。
新高3生・高2生へのアドバイス
現代文「評論」について、次年度以降も、同じテーマを扱った二つの文章における異同を正確に、素早く確認する力が試されると予想されますので、そうした点に注意しながら学習を進めるとよいでしょう。
古文について、受験生は、和歌の修辞法として最も出題率が高い「掛詞」に慣れること、そして和歌の前後のストーリー(地の文)を踏まえて解釈する姿勢を身につけることを意識しながら対策するとよいでしょう。
漢文について、受験生としては、そうした細部を本文全体の主旨を踏まえて解釈するように意識しながら学習に取り組むべきでしょう。
国語の共通テスト対策
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