このページでは、令和5年度の大学入学共通テストの英語(リーディング・リスニング)の出題について解説します。
目次
英語(リーディング)
テストの形式は例年通りすべて読解問題で、大問6つという構成も昨年同様でしたが、合計の解答数は昨年から1つ増えて49個となりました。本文の題材は、学校で配布されるプリントやウェブサイトの情報、広告といった日常生活と関係の深いものから、物語や論説文など入試でよく目にするタイプの英文まで、様々なものが取り上げられていました。テストの分量は本文が約4,500語、リード文や設問・選択肢まで合わせると約6,000語で、こちらも昨年とほぼ同じでした。
テストの難易度について
それぞれの英文自体はやや易~標準レベルの読みやすいものが中心でした。ただし、個々の設問に目をむけると、複数の英文や資料の情報から必要な情報をつかむ必要があるものや、出来事を時系列に沿って並べ替えるものなど、共通テスト特有の、解答に時間を要する設問が例年同様に複数見られました。また、今回のテストでは選択肢の細かい点での正誤判定を要求される設問も多く含まれていたため、全体としては昨年よりやや難しいテストであったと考えられます。
共通テストのリーディングは、試験時間80分で全て読解問題という、受験生にとっては厳しい内容です。その上、私大や国公立大の一般的な読解問題では目にしないような、共通テスト特有の設問がいくつも出てきます。これらの点から、速読力の強化や共通テストに特化した問題演習という点に目が向きがちですが、どのようなテストであれ、英語の読解問題で結果を出すためには「英語を正確に読める」ということが大前提になります。まずは文法や構文,単熟語の知識をもとに一つひとつの英文の意味を正しく理解することを意識した学習に取り組みましょう。次いで、正確な読みを重視しながら、様々なトピックの英文にたくさん触れていくことで、共通テストで要求される総合的な読解力が磨かれていきます。
英語(リスニング)
大問6つで合計解答数37というテストの構成は、昨年度と全く同じでした。大問ごとで扱われる問題の内容も昨年度とほぼ同じで、聞いた英文の内容に一致する英文やイラストを選択する問題や会話を聞き取る問題、聞いた内容を踏まえて図表や講義シートの空欄を埋める問題などが出題されました。聞き取る本文の分量も約1,500語で、やはり昨年と同程度でした。
テストの難易度について
第1問~第4問は昨年と同程度でした。これまで難易度が高く苦戦した受験生も多かったと思われる第5問・第6問も、今回は解答しやすいように調整が加えられており、テスト全体で見た場合、これまでよりもやや易しい内容であったと言えます。テスト内容に大きな変更はない一方で、難易度は下がったため、過去問や予想問題で入念に準備をしていれば、落ち着いて対応できたでしょう。
共通テストは、一般的なリスニングのテストで採用される会話の聞き取りだけでなく、バラエティ豊かな形式を取り入れた内容になっています。今年は例年より易しかったとは言え、類似する複数の情報を正しく聞き分ける問題や、音声を聞きながら図表やワークシートを完成させる問題、さらに4人の話し合いでそれぞれの発言内容を正しく区別する問題などでは、高いリスニング力に加えて迅速に情報を処理する力まで要求されるという点で、やはり難易度は高いと言えます。
新高3生・高2生へのアドバイス
英語(リーディング)
共通テストのリーディングは特徴的ではありますが、一般的な大学入試と比較して、何か全く別の学力が要求されているわけではありません。基礎を重視した読解力を伸ばしていくことが、結局は共通テストの成績に直結すると考え、地に足をつけた学習を進めていきましょう。
英語(リスニング)
共通テストのリスニング問題に適切に対応できるようになるためには、リーディングと同じように、共通テストだけを意識した学習ではなく、英語を聞き取り、聞き取った内容を素早く理解していく力を伸ばすような学習を継続的に行っていく必要があります。