【面接試験対策】2024年ノーベル賞と過去の日本人受賞者について知っておこう!

この記事は約13分で読めます。

10月14日に、2024年ノーベル経済学賞の受賞者が発表されました。
これで「物理学」「化学」「生理学・医学」「文学」「平和」「経済学」の6分野すべての発表が終わり、
今年は日本原水爆被害者団体協議会ノーベル平和賞を受賞しています。

大学入試の面接において、ノーベル賞について質問されることがあるのを知っていますか?
何事も準備が肝心。予想外の質問をされて焦ってしまうことがないよう、自分の進む分野に関係ある賞については、一通り頭に入れておくと安心です。
今回は、各分野の2024年受賞者と、直近の日本人受賞者についてまとめていきます。

2023年の受賞者についてはこちらの記事で確認できます!

2023年ノーベル賞と過去の日本人受賞者について知っておこう!【大学受験の面接対策】
10月9日に、2023年ノーベル経済学賞の受賞者が発表されました。これで「物理学」「化学」「生理学・医学」「文学」「平和」「経済学」の6分野すべての発表が終わり...

そもそもノーベル賞とは?

ダイナマイトの発明で知られる、スウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベルの遺言から始まった、100年以上の歴史を持つ栄誉ある賞です。
受賞者にはメダルと1億円ほどの賞金が贈られ、かつては故人も表彰の対象でしたが、1974年以降は存命の人間のみとなっています。

ノーベルは破壊力のあるダイナマイトが戦争の抑止力になると考えていましたが、結果的には戦争の激化を加速させてしまい、「死の商人」と称されることもありました。
意図せぬ形で評価を下げてしまったために死後の評価が気にかかり、遺言という形で未来の発明家や研究者たちのためにノーベル賞を設立した…というわけです。

元々遺言にあるのは「物理学」「化学」「生理学・医学」「文学」「平和」の5分野でしたが、1968年に「経済学」賞が設立されました。
後発の「経済学」については、正式にはノーベル賞としては認められておらず、「アルフレッド・ノーベル記念 スウェーデン国立銀行賞」と称されています。

面接によく出てくる話題は?

日本人が受賞した年は、特によく質問されます。『○○さんがノーベル賞を受賞しましたが、知っていますか?』という形式が多いでしょう。
もちろん「知っています」という確認や、「すごいと思います」という単純な感想を求められているのではありません。
聞かれることの多い『最近気になったニュースはありますか?』という質問と同様、その事例を知って、「自分の考え方がどう変わったか」「何を初めて認識することができたのか」ということを聞きたいのです。

焦らず返答するには、事前に準備して内容を把握しておく必要があります。
日本人の受賞者や、自分が進学する分野に関連する内容については、必ず確認しておきましょう。

ノーベル物理学賞

 

物理学賞は、「天文学(宇宙)」「原子物理学」「素粒子物理学」などの研究から選ばれ、日本人の受賞者が一番多い分野です。
近年は「気象学」や「地球科学」といった領域からも選出されており、改めて物理学というのは、身の回りのあらゆるものや現象に関連する学問だということがわかります。

今年の受賞者

2024年 ジョン・ホップフィールド(アメリカ) & ジェフリー・ヒントン(イギリス)

2人は、「人工ニューラルネットワーク」の分野における研究開発が評価され、受賞しています。
「人工ニューラルネットワーク」とは、人間の脳内にある神経細胞を真似たネットワークであり、機械でも人間と同じように認識や記憶をできるようにする仕組みです。

現代ではChatGPTやGeminiといった生成AIが、違和感のない会話や文章を作り上げるようになりました。
その礎となるのが、この「人工ニューラルネットワーク」というシステムであると考えれば、私たちの生活に深く関わり、大きく変化させた研究であることがわかるのではないでしょうか。

ホップフィールド教授は、「ホップフィールド・ネットワーク」というモデルを提唱しました。
特定のパターンを記憶させることで、それとは少し異なるようなケースでも修正ができる「連想記憶」という手法を開発し、データや画像の修復を可能にしています。

ヒントン教授は、「ボルツマンマシン」と呼ばれるネットワークを開発するなど、「ホップフィールド・ネットワーク」を基に、統計物理学の理論から研究を発展させました。
大量のデータを機械に記憶させ、統計からデータを分類できるようにするだけでなく、新たなパターンを生み出すまでに進化したのです。

これまで「情報科学」の領域から選出されたケースがなかったため、物理学での受賞となったことに驚きの声を挙げている専門家も少なくありません。
また、この分野においては、日本人の甘利 俊一(あまり しゅんいち)さんや、福島 邦彦(ふくしま くにひこ)さんもよく知られており、同様に受賞する可能性があるのではないかと予想されていました。

直近の日本人受賞者

2021年 真鍋 淑郎(アメリカ/日本) & クラウス・ハッセルマン(ドイツ) & ジョルジョ・パリージ(イタリア)

日本出身の真鍋 淑郎(まなべ しゅくろう)さんは、1975年にアメリカ国籍を取得し、プリンストン大学で気象学を長年研究してきました。
現在では広く知られている二酸化炭素と地球温暖化の関連性ですが、真鍋さんは50年以上も前から研究を始めていました。コンピューターを使ったシミュレーションにより、地球温暖化や気候の変化を予測するための先駆者となったことが評価され、受賞に至ったということです。

気象や気候の研究分野がノーベル物理学賞の対象となったのは、今回が初めてだったこともあり、話題となりました。
また、受賞インタビューにおいて、日本を離れアメリカ国籍を取得して研究を続けていることについて聞かれ、「日本では周りとの調和が求められ、好きな研究ができないこと」「研究に使える予算が少ないこと」を挙げていたのも、日本国内の研究者育成において考えさせられる印象的なシーンでした。

豆知識

物理学賞は、2015年にニュートリノの研究で受賞した梶田 隆章(かじた たかあき)さんや、2014年に青色発光ダイオードの発明が評価された、赤﨑 勇(あかさき いさむ)さん・天野 浩(あまの ひろし)さん・中村 修二(なかむら しゅうじ)さんなど、12人の日本人が受賞しています。
日本人のノーベル賞受賞者は全分野合計でも29人と欧米諸国に含まれない地域では最多であり、その半数ほどが物理学というのを考えると、偉大な物理学者を多数輩出している国と考えられるかもしれません。
※日本出身で外国籍取得者を含む

ただし、真鍋さんのように渡米し、日本ではなくアメリカに活躍の場を移す研究者も少なくありません。
2014年の中村さんや、2008年に自発的対称性の破れで受賞した南部 陽一郎(なんぶ よういちろう)さんは、研究の拠点とするアメリカの国籍を取得し帰化しています。
自分が関心を寄せるものについてとことん追求したい場合は、海外にも目を向ける必要があるのかもしれませんね。

ノーベル化学賞

化学賞は、「有機化学」や「無機化学」をはじめ、非常に幅広い分野から受賞者が選ばれます。
元々化学者であるノーベルが、遺言の中で物理学に続く2番目に挙げている分野であり、化学者にとって非常に栄誉ある賞と言えるでしょう。
「キュリー夫人」として伝記でもよく知られるマリ・キュリーが、1911年ラジウムの発見により受賞した賞でもあります。(1903年には、放射能の研究により物理学賞も受賞しています)

今年の受賞者

2024年 デイヴィッド・ベイカー(アメリカ) & デミス・ハサビス(イギリス) & ジョン・M・ジャンパー(アメリカ/ロシア)

3人は、コンピューターやAIを駆使し、それぞれ「タンパク質」に関する研究を行いました。

ベイカー教授は、タンパク質を構成するアミノ酸の配列に注目しました。
「ロゼッタ」というソフトウェアを開発し、アミノ酸配列からタンパク質の構造を予測できるようにしたのです。
2003年には、アミノ酸を組み合わせることで、完全に新しいタンパク質を生み出すことに成功しました。

ハサビスさんジャンパーさんは、タンパク質の立体構造をAIで予測するために、「アルファフォールド」の開発を行いました。
元々はハサビスさんが作り出した”囲碁AIソフト”である「AlphaGo(アルファ碁)」のAIモデルを基にしています。
そこにジャンパーさんのアイディアを交えて改良が進められ、2020年には2億個のタンパク質の立体構造まで予測できる「アルファフォールド2」が完成しました。
2024年の5月には、「タンパク質と薬剤の複合体」の構造が予測できる「アルファフォールド3」が発表され、話題となっています。

タンパク質の構造が高精度で予測できるようになり、独自のタンパク質を設計できるようになった功績は非常に大きく、マラリアのワクチン開発など、様々な研究に貢献しています。
また、前日発表された物理学賞に続き、今回もAIを活用した研究開発であることから、今後もカテゴリーを問わず研究分野を支えていくことを予感させる受賞となりました。

直近の日本人受賞者

2019年 吉野 彰(日本) & ジョン・グッドイナフ(アメリカ/ドイツ) & スタンリー・ウィッティンガム(イギリス/アメリカ)

名城大学 大学院教授の吉野 彰(よしの あきら)さんが、リチウムイオン電池の発明により受賞しています。

ニッケル電池など従来の電池は、まだ容量が残っている状態での充電をくり返してしまうと、電池自体の容量が減ってしまう現象(メモリー効果)が起こってしまいました。
しかし、リチウムイオン電池はそれがないため、何度もくり返し充電できます。また、時間が経つにつれて自然と消費されてしまう電力も少なく、電池そのものの寿命をのばすことができたのです。

今ではコンセントにつなぐだけですぐに充電できる携帯用ゲーム機も、20年ほど前までは使い捨ての乾電池を毎回交換していました。
パソコンや携帯電話をはじめ、現在も多くの電子機器に搭載されているリチウムイオン電池が、IT機器の普及にどれだけ貢献してきたかがよくわかりますね。

豆知識

日本人のノーベル化学賞受賞者は、1981年にアジアで初めて受賞した福井 謙一(ふくい けんいち)さんを始め、唯一大学院を出ずに受賞したことも話題になった2002年の田中 耕一(たなか こういち)さんなど、物理学賞に次ぐ8人です。

過去の受賞者に目を向けてみると、現在も化学の教科書に名前を残している研究者が少なくありません。「ハーバー・ボッシュ法」を開発した、フリッツ・ハーバーカール・ボッシュもそれぞれ受賞しています。(ボッシュは、ハーバーの13年後に高圧科学的方法の発明により受賞)

物理学や生物学の研究・開発につながるような発見も多く、化学系統以外に興味がある人も、過去の内容を調べてみると興味深い研究が見つかるかもしれません。

ノーベル生理学・医学賞

面接を必須とすることが多い医療系の学部では、ノーベル賞について聞かれることが少なくありません。
生理学・医学賞のみ、別の記事にまとめているので、ぜひ確認してみてくださいね。

【大学受験】医学部面接でも聞かれる?!2024年ノーベル生理学・医学賞をおさえておこう!
10月7日に、2024年のノーベル生理学・医学賞の受賞者が発表されました。 今年は、ヴィクター・アンブロスさんとゲイリー・ラブカンさんの2人が受賞しています。 ...

ノーベル文学賞

文学賞は、その名の通り文学において顕著な貢献を果たした作家に送られます。
『老人と海』で知られるアーネスト・ヘミングウェイや、日本人で初めて受賞した川端 康成(かわばた やすなり)など、小説家や詩人が選ばれることが多いですが、2016年にはアメリカの歌手であるボブ・ディランが選ばれ話題となりました。
過去にも哲学者であるバートランド・ラッセルや、政治家のウィンストン・チャーチルが受賞しており、いわゆる文学作品以外が対象になることもあるようです。

今年の受賞者

2024年 韓江(韓国)

今年の文学賞は、韓国の小説家である韓江(ハン・ガン)さんが受賞しました。
韓江さんは、2007年に発表された『菜食主義者』という小説が有名で、2016年にはアジア出身者として初となる「ブッカー国際賞」に輝いており、受賞は有力視されていました。

『菜食主義者』は、菜食主義者となった主人公の女性を、3人の家族それぞれの目線で描いています。(連作・続編を含みます)
元々は詩人としてデビューしている彼女の作品は、いずれも読み手に感情や悲哀を想像させるだけの表現力があり、ユニークな題材選びとともに評価されているポイントと言えるでしょう。

ノーベル文学賞を受賞したのもアジア出身の女性として初めてであり、韓国人のノーベル賞受賞者も、2000年の金大中元大統領(平和賞)以来、2人目となりました。

直近の日本人受賞者

1994年 大江 健三郎(日本)

大江 健三郎(おおえ けんざぶろう)さんは、『万延元年のフットボール』などの作品で知られる作家で、川端 康成以来26年ぶりに日本人の受賞者となりました。30年近く経つ2023年現在も、日本人受賞者はこの2人だけです。

2017年には、『わたしを離さないで』などで知られる、カズオ・イシグロさんが受賞しました。
イシグロさんは長崎県で日本人の両親のもと生まれましたが、小学生の頃にはイギリスで暮らすようになり、英文学作家として評価されています。
ただし、幼少期に見た日本映画の影響も受けていて、日本を舞台とした作品も存在しており、日本でも人気の作家となっています。

豆知識

歴代の受賞者を見ても欧米の作家が大半を占めており、やはり世界中で読まれている作品が評価される傾向にあります。
川端 康成が受賞したのも、当時「受賞者が西洋の作家に偏りすぎているため、日本の作家に賞を与えるべきだ」という批判を受けていたことが、理由の一つだとされています。

ノーベル賞の選考課程は、発表後50年間公表されないため、実際にどういった作家が当時評価されていたのかはわかりません。ここ十数年の間、受賞するのではないかと期待されている村上 春樹(むらかみ はるき)さんが、どう評価されているのか…が具体的にわかるのは、少なくとも今から30年後になるでしょう。

ノーベル平和賞

残した業績について時間が経ってから評価されることが多い科学系の3分野と比べ、平和賞は現在進行形で活動している人物が評価されることもあり、受賞後の活動で評価を下げてしまうケースも少なくありません。
また、「個人だけでなく団体も対象になる」「スウェーデンではなく隣国のノルウェーで授賞式が行われる」など、ほかの分野とは異なる特徴があります。
平和賞については各国で議論されるデリケートな内容を含むため、今回の記事では筆者の思想を挟まないよう、簡潔にまとめます。

今年の受賞者

2024年 日本原水爆被害者団体協議会(日本)

今年の平和賞は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が受賞しました。
日本被団協は、広島や長崎で被爆した人々が、原爆投下から11年後に立ち上げた団体です。

世界で唯一の被爆者という立場から核兵器廃絶を訴え続け、国際署名を行い「核兵器禁止条約」の採択にも貢献したことが、受賞の理由とされています。

日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元首相以来、2度目となりました。

直近の日本人受賞者

1974年 佐藤 栄作(日本)

非核三原則」で知られる佐藤 栄作元首相が、唯一の日本人受賞者でした。

ノーベル経済学賞

先述の通り、遺言にはなかったため「厳密にはノーベル賞ではない」とされていますが、賞金額などは変わらず、経済学において最も権威ある賞の一つに数えられています。
研究内容がすぐに評価されるわけではなく、後発の研究に与えた影響が評価されるため、研究発表から数十年経った後に受賞するケースが少なくありません。

今年の受賞者

2024年 ダロン・アモセグル(トルコ/アメリカ) & サイモン・ジョンソン(イギリス/アメリカ) & ジェームス・A・ロビンソン(イギリス)

今年の経済学賞は、マサチューセッツ工科大学のアモセグル教授とジョンソン教授、そしてシカゴ大学のロビンソン教授が受賞しました。

3人は、ヨーロッパの植民地の歴史から、「社会制度と国家の繁栄」の関係性について研究しており、政治的な制度が国の貧富や発展を左右する…としています。

直近の日本人受賞者

受賞者ナシ

2024年時点で、日本人の経済学賞受賞者はいません。
歴代の受賞者を見ても圧倒的にアメリカの経済学者が多いことがわかります。

四谷学院なら面接試験対策もバッチリ!

四谷学院では、大学受験のエキスパートである受験コンサルタントが面接練習を行います。

大学ごとに異なる内容についても、実際にその大学の面接を受験した卒業生から得た情報やデータを使用しているため、本番さながらの形式や緊張感のなかで練習することができますよ。

筆記試験の対策に集中して全力を注げるよう、面接対策も四谷学院で効率よくプロと一緒に行いましょう!

面接対策はこれで完璧!受験生がよく読んでいる人気記事をご紹介!
この記事では、推薦入試や医学部入試のカギを握る面接試験の対策として、 よく読まれているものを一気に紹介します。 すべての内容を理解すれば、もう面接試験は怖くあり...

タイトルとURLをコピーしました