こんにちは。四谷学院の片野です。
毎年10月~11月は推薦入試、特に総合型選抜の出願ラッシュです。
出願や面接対策に関する悩みが増えてくるのも、この時期ではないでしょうか。
そのため、志望理由書の書き方について「学校でアドバイスをもらったが、具体的にどう書き直すべきか全然わからない」と慌てて予備校に駆け込んでくる生徒もいます。
そこで今回は、推薦入試における志望理由書の書き方や作成のポイントを、例文を交えて解説します。
目次
志望理由書とは?
志望理由書とは、大学受験において総合型選抜や学校推薦型選抜を受ける際に「なぜその学校を志望するのか」を記載する書類のことです。
志望理由書は「自己推薦書」や「エントリーシート」とも呼ばれ、多くの学校で出願時に提出が求められます。
一次選考やその後の面接試験で利用されることから、合否に影響する大切な書類といえるでしょう。
志望理由書とは大学へのラブレターである
大学側は、アドミッションポリシーで定める「求める学生像」に合う学生だけでなく、将来性や学習への意欲が期待できる学生を求めています。
そのため、受験生は最低限、以下のことを把握しておく必要があります。
- 大学の雰囲気やカリキュラム
- 自分のどういうところが大学に合っているか
十分な情報を集め、説得力を持って語ることは「この大学に絶対行きたいんだ!」という熱意を伝えることにつながります。
これは、四谷学院の先輩の名言です。熱い気持ちを込めて書くことが、志望理由書の作成において一番大切なことといえます。
嬉しいラブレター・嬉しくないラブレター
志望理由書をラブレターに例えましたが、実はとても的を射ています。
少し詳しく見ていきましょう。
以下の4つのうち、あなたが一番「もらって嬉しいラブレター」はどれでしょうか?
(1)好きだ!好きだ!好きだ!
(2)容姿端麗で、言葉遣いもきれい、話題も豊富で知的、そしてとても優しいあなたが大好きです!
(3)私は優しくて気配りもできます。ファッションセンスもあります。だから、あなたの恋人にぴったりです!
(4)遊園地に遊びに行ったとき、映画の話をしましたね。話が合ってとても楽しくて、あなたは魅力的です!
どのラブレターが一番心に響きましたか?
この中では(4)を選ぶ方が多いのではないでしょうか。
その理由を1つずつ見ていきましょう。
(1)好きだ!好きだ!好きだ!
短くて端的、熱意は伝わるような気がします。しかし、説得力はあるでしょうか。
単なる思い込みで突っ走っている印象です。
この後、お付き合いすることになっても「思っていたのと違う……」と言われてしまうかもしれません。
志望理由書でも、自分の思い、熱意ばかりを押しつけてはいけません。
志望「理由」書であるため「なぜこの大学なのか?」について言及する必要があるでしょう。
(2)容姿端麗で、言葉遣いもきれい、話題も豊富で知的、そしてとても優しいあなたが大好きです!
よいところを伝えてくれている点では、読んでいて嬉しいかもしれません。
しかし、やはりこれも「理由」ではありません。
「この条件に当てはまれば誰でもよい」とも読めてしまいます。なぜ「私」を選んだのかという点が不足しています。
(3)私は優しくて気配りもできます。ファッションセンスもあります。だから、あなたの恋人にぴったりです!
1つ前と正反対で、自分語りに終始しています。素晴らしい人であることはわかりましたが、ただそれだけです。
自分を売り込むセールストークになっており、なぜ「私(大学)」を好きなのか(入学したいのか)について一切触れられていません。
志望理由書に置き換えれば、大学研究がまったくなされていない状況だと、このような文章になりがちです。
(4)遊園地に遊びに行ったとき、映画の話をしましたね。話が合ってとても楽しくて、あなたは魅力的です!
この文章だけが、具体的なエピソードをもとにして、好きな理由が述べられています。
さりげなく、自分がどういう人なのか(映画が好き)も書かれています。
志望理由書は面接前にチェックされることが多いため、大学側に「もっとこの生徒について知りたい」、つまり「会って話してみたい」と思わせる志望理由書を書くということも意識できるとよいでしょう。
志望理由書の書き方
志望理由書を作成する際は、以下の内容を盛り込むようにしましょう。
- なぜその大学を志望したのか
- なぜその学部・学科を選んだのか
- 将来はどのようになりたいのか
なぜその大学を志望したのか
自分がなぜその大学を選んだのかを、まずは自己分析することが大切です。
「楽しそうだから」「何となくよさそうだから」のような漠然とした印象ではなく、具体的なエピソードを盛り込めるとよいでしょう。
◎「これまで打ち込んできた部活の影響から」
◎「関連する職業の人と接する機会があったことから」
なぜその学部・学科を選んだのか
大学の志望理由をもとに、なぜその学部・学科を選んだのかをまとめましょう。
例えば、「経済学を学べるから」という理由だとしても、経済学が学べる大学は多くあります。その大学ならではの内容にしていきましょう。
◎「大学固有の設備や環境に興味を持った」
◎「○○で活躍する教授のもとで研究したい」
将来はどのようになりたいのか
大学は入学がゴールではありません。入学がスタートです。
そのため、大学で学んだことをどのように活かしていけるかという意識で文章を考えることが大切です。
将来はどのようになりたいのか
志望理由を先述のラブレターに当てはめると、以下のようになります。
(1)合格したい!合格したい!合格したい!
(2)実験設備が整っていて、カリキュラムが充実している、すばらしい環境の貴学に合格したいです!
(3)私はコミュニケーション能力があり、積極的な人間です。語学も堪能です。だから、貴学にぴったりです!
(4)貴学のオープンキャンパスに参加して、海外留学のカリキュラムを知りました。自分の希望している留学先や学び方と合致しており、とても魅力を感じました。
書き方のコツを押さえないまま志望理由書を作成すると、多くの場合(2)や(3)のように、知っていることを書くだけ、自己アピールだけ、といった内容になってしまうでしょう。
(4)のように具体的なエピソードを盛り込めると、より説得力のある志望理由書になります。
志望理由書の例文
ここからは、志望理由書のサンプルを学部別にいくつかご紹介します。
経済学部志望の場合
以下は、経済学部を志望する場合の志望理由書の例文です。
私が貴学の経済学部を志望した理由は、将来、生まれ育った街の経済政策に携わり、社会貢献をしていきたいと考えているためです。
私が幼い頃は活気に溢れていた駅前や商店街も、近年はすっかり静かな場所となってしまいました。しかし、今後は町おこしに力が入れられていくことを広報で知り、地域社会の経済に興味を持ちはじめたことがきっかけで経済学を学びたいと思いました。
貴学を志望した理由は、少人数制授業と充実した教育制度を通して先生方や仲間たちと密接的に学べ、将来に活かせる知識が身につく環境だと考えたためです。
先日のオープンキャンパスで実際の講義を体験し、入学後は○○教授のゼミに参加して仲間たちと地域経済について学ぶ4年間にしたいと考えています。
そして将来は、地方公務員として地域社会の経済を支える人材を目指していきたいです。
法学部志望の場合
次に、法学部を志望する場合の例文をご紹介します。
私が貴学の法学部を志望した理由は、将来、弁護士として紛争に悩む人たちの助けになりたいと考えているためです。
きっかけは、高校時代のアルバイト先で店長からのパワーハラスメントに悩んでいたとき、弁護士相談を通じて無事解決へ至ったことです。
当時アドバイスをしてくれた弁護士の先生のおかげで自分の悩みを解決できただけでなく、同じように困っていた友人にアドバイスができ、この経験から将来弁護士になりたいと思うようになりました。
貴学を志望した理由は、貴学独自の人材育成プログラムに大きな魅力を感じているためです。受講制限がなく学びの幅が広い点や、大学院所属の教員による講義を受けられる点も魅力に感じています。
入学後は周囲の学生たちと切磋琢磨しながら学び、将来は、国内だけでなくグローバルに活躍できる弁護士になりたいと考えています。
理学部志望の場合
続いて、理学部を志望する場合の例文を見ていきましょう。
私が貴学の理学部を志望した理由は、小学生の頃から天体に興味があり、将来は宇宙や宇宙技術について研究したいと考えてきたためです。
近年は、科学技術の発展とともにロケットや無人探査機に注目が集まる機会も多く、宇宙の成り立ちを研究することは、今後の科学技術の発展において大きな役割を果たすのではないかと考えています。
貴学を志望した理由は、最新設備が整った環境での天体観測や実験、実際の隕石を用いての講義など魅力的なカリキュラムが豊富に用意されているためです。
先日のオープンキャンパスでは○○教授の講義を聴き、これまでに考えもしなかった視点にあらためて天体の楽しさを覚えました。
入学後は○○研究室で宇宙の成り立ちを学び、将来は最新技術の実用化に向けた研究に携わって、社会に貢献していきたいと考えています。
工学部志望の場合
最後に、工学部を志望する場合の例文をご紹介します。
私が貴学の工学部を志望した理由は、小学生の頃からプログラミングに興味があり、将来は情報工学やコンピュータ科学について研究したいと考えてきたためです。
建築現場や医療現場などあらゆる場面で機械が活用される現代では、人々の暮らしとコンピュータには密接なかかわりがあり、その基盤に情報工学やコンピュータ科学があると考えています。
貴学を志望した理由は、最新鋭のロボット技術に触れられる○○研究室があると知ったためです。また、3年次からマンツーマンで取り組めるカリキュラムは研究に集中しやすく、情報工学への理解を深められる環境が整っていると感じました。
入学後は、貴学で学んだ知識と技術を活かして学生のうちから有用なシステム開発を行い、将来は最新技術の実用化に向けた技術開発に注力して社会に貢献していきたいと考えています。
まとめ:四谷学院で志望校合格を目指そう!
大学の志望理由書は、総合型選抜や学校推薦型選抜で提出する大切な書類です。
志望理由書を書く際は「なぜその大学を志望するのか」を具体的なエピソードとともにまとめ、その大学で学びたいことや将来の展望を盛り込みましょう。
例文を参考にしながら自身の言葉や思いを込め、「気持ちが伝わるラブレター」を目指して作成してみましょう。
四谷学院では、学校推薦や総合型選抜にも万全の対策で挑めます。作成に時間が取られやすい志望理由書ですが、夏期講習の志望理由書作成講座や個別指導などを活用すると、志望理由書の作成がスムーズに進みます。
また、四谷学院では「科目別能力授業」と「55段階個別指導」を組み合わせたダブル教育で、理解力と解答力の向上が目指せます。
定期試験対策から学校推薦・総合型選抜対策まで幅広いサポートが可能な四谷学院で、志望校合格を目指しましょう。
失敗しない予備校選びは説明会・相談会への参加が重要!
志望校合格に向けて予備校を探す際は、口コミやWebサイトの情報を見るだけでなく実際に説明会・相談会に参加して、学習環境や指導方針、サポート体制を確認しましょう。
いくつかの予備校へ実際に足を運んで、校舎の雰囲気や設備を確認しておくことも大切です。予備校説明会について詳しくは以下の記事も併せてご覧ください。