こんにちは、四谷学院の情報担当、田中です。
共通テストは、6教科30科目から7教科21科目に再編されます。そして必須の受験科目として「情報I」が新たに加わります。
この記事では、共通テスト「情報Ⅰ」について、具体的な内容と試験に向けて有効な対策を解説していきます。
なお、2025年度入試から新課程の共通テストが始まるため、この記事は大学入試センターが公表した試作問題や、その前身である「情報関係基礎」をもとに作成しています。ご了解ください。
参考:大学入試センター 令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等
目次
共通テスト「情報Ⅰ」出題内容
共通テスト「情報Ⅰ」は、大問4つで構成されています。試作問題では「情報Ⅰ」の4つの分野である、(1)情報社会の問題解決、(2)コミュニケーションと情報デザイン、(3)コンピュータとプログラミング、(4)情報通信ネットワークとデータの活用、の全ての分野から出題されました。
【試作問題の出題内容】 H30公庫等学校学習指導要領との対応
第1問 | 問1 | (1)情報社会の問題解決 |
問2 | (4)情報通信ネットワークとデータ活用 | |
問3 | (3)コンピューターとプログラミング | |
問4 | (2)コミュニケーションと情報デザイン | |
第2問 | A | (1)情報社会の問題解決 (2)コミュニケーションと情報デザイン |
B | (3)コンピューターとプログラミング | |
第3問 | (3)コンピューターとプログラミング | |
第4問 | (4)情報通信ネットワークとデータ活用 |
共通テスト「情報Ⅰ」配点
共通テスト「情報Ⅰ」の配点は100点です。試作問題では、第1問が20点、第2問が30点、第3問、第4問が各25点でした。
共通テスト「情報Ⅰ」試験時間
共通テスト「情報Ⅰ」の試験時間は60分です。
なお、2025年度入試では、「情報Ⅰ」は2日目の最後の時間に実施予定です。共通テスト本番では、それまでの疲労が蓄積している状態で、新科目の受験が控えています。「情報Ⅰ」という科目に限った話ではありませんが、本番で実力を100%発揮できるよう、長時間集中する体力づくりと体調管理を心掛けましょう。
共通テスト「情報Ⅰ」特徴
問題量と制限時間
試作問題ではページ数が30ページ程度、問題数は40題程度となっています。ページ数だけ見れば、現行の数学や理科よりも多く、英語のリーディングと同等の量となっています。単純な知識問題や計算問題ではなく、会話内容や状況を理解して解答する必要があります。これを試験時間60分で解ききらなければいけないので、時間に厳しい制約があるということが分かります。
問題ごとの特徴
第1問と第2問では、「情報関係基礎」と同様に、試作問題では様々なジャンルから出題されます。広い範囲から出題するように工夫されていたので、日ごろから偏りのない学習を意識しましょう。
また、試作問題や「情報関係基礎」でも、データの圧縮や暗号などをテーマとしたパズルのような問題が出題されていて、知識だけの問題ではなく、知識を活用する問題が出題されています。解答するのに時間がかかるように問題が作成されているので、時間を使いすぎないように注意しましょう。
第3問について、試作問題では『プログラミング』が出題されました。これは「情報関係基礎」でも同じ構成です。試作問題では、与えられた金額に対して、おつりも含めた硬貨の枚数を一番少なくするためには、どのように支払うのが良いのか、ということをプログラミングで求める問題が出題されました。なお、共通テストで使用される言語はPythonのような、実際に使用されるプログラミング言語ではなく、「共通テスト用プログラム表記」という独自のプログラミング言語で出題されます。問題冊子に「共通テスト用プログラム表記の例示」として、見本が掲載される予定です。
【共通テスト用プログラム表記の例示】
未知のプログラム言語だと不安に思うかもしれませんが、身構えることはありません。「共通テスト用プログラム表記」は実際のプログラミング言語(PythonやJavaScript、VBAなど)よりも日本語が多く分かりやすい内容となっています。
最後に第4問についてです。試作問題では『データの活用』が出題されました。15歳から19歳のスマートフォンとパソコンの使用時間と、勉強時間や睡眠時間などの生活行動時間のデータを比較する問題が出題となっており、実際に集計されたアンケートや調査の結果をもとに、問題を通してデータの分析をする、という内容でした。主に数Ⅰの「データの活用」と重複しているところが多いので、数Ⅰの該当範囲を学習することも対策につながります。
共通テスト「情報Ⅰ」の攻略法
丸暗記では通用
共通テスト「情報Ⅰ」は、丸暗記では通用しません。そのことは大前提としてありますが、まずは知識や考え方の整理・定着が共通テスト「情報Ⅰ」の攻略には必要です。知識や考え方の整理・定着を最優先で進めましょう。
そして、『プログラミング』と『データの活用』は現時点で必出です。試作問題では、この大問2つで50点分の配点でした。特にこの2項目は知識や考え方に漏れがないように注意しましょう。
試験時間への意識
最後に、共通テスト模試などでは、まずは「時間内に解ききる」ことを最優先としましょう。これは「情報Ⅰ」以外の科目にも同じことが言えますが、共通テストは時間との勝負です。『プログラミング』や『データの活用』といった必出の分野から解く、全体にざっと目を通して解けそうなところから解く、といった方針立ては事前にしておくとよいでしょう。
共通テスト対策「これだけはやめて!」
繰り返しにはなりますが、知識の丸暗記はよくありません。暗号、プログラミング言語、データの分析は本番でも出題される可能性が高い、かつ時間がかかる分野なので、それらを丸暗記することに意味はありません。「覚えた知識を使いこなせるようにする」ということを念頭に学習を進めていきましょう。
また、広い範囲から出題されるので、「プログラミングとデータの活用が絶対に出るからそこだけ勉強しよう!」といった偏った勉強も避けましょう。
過去問題の活用
共通テスト「情報Ⅰ」としての問題は、現時点では試作問題しかありません。しかし、「情報関係基礎」とおおむね大問構成や出題内容が同じなので、「情報関係基礎」の第1問~第3問を解く、ということもおすすめです。時間を計って解く場合は大問1つ分少ないので、30~35分程度で解ききるようにするとよいでしょう。
前身の「情報関係基礎」では、ページ数は20ページ程度で問題数は45題程度でした。「情報Ⅰ」になることで、同じ試験時間で解く問題数はそこまで変わらないものの、読まなければいけない文量は増えます。また、試作問題や共通テスト模試の問題を繰り返し解くことも十分効果があります。過去問などの問題が少ない、というのは受験生全員に言えることなので、やり方で工夫していくことが大切です。
秋から冬にかけて実践問題集も発売される予定なので、使えるものはすべて使い、万全の準備をしていきましょう。
高1高2の共通テスト対策
高校では「情報Ⅰ」を、1年生に学習する人が多いと思います。色々なところで言われているように、共通テストは教科書レベルの知識は必須なので、まずは学校の定期試験で高得点をとれるように勉強していきましょう。
高校2年生で高1の時に「情報Ⅰ」を学習した人は、初めての共通テスト模試まで、約1年間学校などでは「情報Ⅰ」の学習に触れなくなってしまうので、これまで勉強したことの内容を忘れないように、定期的に復習しておきましょう。他の受験生よりリードをすることができますよ。
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