こんにちは。四谷学院の岩佐です。
本日は、「古文の勉強法①~単語編~」に続いて、「古文の勉強法~文法編~」です。
前回の記事「古文の勉強法①~単語編~」はこちら!
文法を読解に生かす
古典文法というと、暗記テストや暗唱テストをイメージする人もいるかもしれません。
ですが、そもそも、古典文法を学ぶのは古文を正確に読解するためです。
どのように文法を読解に生かすのか、例題を見ながら確認していきましょう。
Ⅰ.文(ふみ)を書きぬ。
Ⅱ.文(ふみ)を書かぬ人
ヒント
この2つの文を正確に現代語訳するためには「ぬ」の正体を明らかにする必要があります。
正解は…
Ⅱ.手紙を書かない人
でした。
ヒントにも書いた通り、「ぬ」の正体を明らかにすることが現代語訳の鍵です。
助動詞は活用が大事
では、これをどういう風に見極めるのか、解説していきます。
まずは「ぬ」の直前の単語を見てみましょう。直前には「書く」という動詞がありますね。
Ⅰでは「書き」となっており、Ⅱでは「書か」となっているのがわかります。
ここで思い出して欲しいのが動詞の活用です。
※動詞などが形を変えることを「活用する」と言います。覚えておきましょう。
「書く」はカ行四段活用の動詞でした。みなさん覚えていましたか?
※表の右の列に書いてあるのは「活用形」と言います。
それぞれの形の名前です。これもしっかり覚えましょう。
この活用表にあるように、か/き/く/く/け/け と変化していきます。
よって、
Ⅰの「書き」は「書く」の連用形
Ⅱの「書か」は「書く」の未然形
ということがわかりました。
次に必要なのが助動詞の知識。
実は、例題で登場した「ぬ」はどちらも助動詞なんです。
「ぬ」という形で登場する助動詞は2つあります。
打消の助動詞の「ず」
完了の助動詞の「ぬ」
それぞれ意味が全く違いますよね。だから「ぬ」の正体を見分ける必要があったのです。
『例文では「ぬ」って出てきたのに、「ず」ってなんですか!?』
という声が聞こえてきそうですが、こちらについても活用表を見てみましょう。
こちらが完了の助動詞の「ぬ」と打消の助動詞の「ず」の活用表です。
打消の助動詞「ず」の連体形を見てください。
「書く」が「書か」「書き」と変化したように、「ず」も姿を変え、「ぬ」や「ね」、「ざら」という形で登場します。
そして、今回は「ず」が「ぬ」になって登場したために、完了の助動詞「ぬ」と同じ形になってしまった、ということだったんです。
では、ここまでで確認した内容をいったんまとめましょう。
①Ⅰの「書き」は「書く」の連用形
Ⅱの「書か」は「書く」の未然形
②「ぬ」の正体は、打消の助動詞の「ず」もしくは完了の助動詞の「ぬ」
助動詞は接続も大事
この2つの内容に、もう1つ助動詞の知識を加えることで「ぬ」の正体が明らかになります。
その知識とは助動詞の『接続』です。
古文の教科書や文法書を見ると、助動詞ごとに「未然形接続」や「連用形接続」などと書いてあります。
これはその助動詞の前に、どの活用形が来るか、を表しているものです。
例えば、「未然形接続」の助動詞であれば、その助動詞の前には必ず「未然形」が来ます。
今回、登場した2つの助動詞の接続は以下の通りです。
完了の助動詞の「ぬ」は「連用形接続」(=「ぬ」の直前は連用形)
例文Ⅰ・Ⅱは「ぬ」の前に、どちらも「書く」がありましたが、その活用形は
Ⅰの「書き」は「書く」の連用形
Ⅱの「書か」は「書く」の未然形
でしたね。これを接続の知識と組み合わせると
Ⅰ 「書き」は「連用形」だから、そのあとの「ぬ」は完了の助動詞
Ⅱ 「書か」は「未然形」だから、そのあとの「ぬ」は打消の助動詞
ということがわかり、よって、現代語訳は
Ⅰ.手紙を書いた。
Ⅱ・手紙を書かない人
となる、という論理でした。
今回、使った知識をまとめると
- 動詞の活用
- 助動詞の活用・接続・意味
です。
これらは学校の暗記テストなどで「覚えさせられた」という人も多いかと思います。
英語の学習でも同じなのですが、文法の知識は文法問題を解くためだけではありません。
読解にも活かして、論理的な読解ができるようにしましょう。
次回は「古文の勉強法~古文常識編~」です。
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