【古文読解】知らなきゃ解けない和歌の常識とは?大学受験対策古文

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こんにちは。四谷学院国語担当、田中です。
今回は、共通テスト古文に登場する「古文常識」について紹介します。
そもそも、共通テストにおいて、単語と文法だけではなく、「古文常識」も重要ということを知っていましたか?先生と生徒のやり取りを一緒に見ながら、古文常識の重要性について知っていきましょう。

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古文常識とは?

生徒
生徒
先生、共通テストで国語が必要なんです。けど、勉強する内容についてよくわからないことがあって・・・。
先生
先生
おお、やる気になってきたか。えらいえらい。
生徒
生徒
そろそろ古文の勉強を本格的に始めようと思って!
先生
先生
それで、何がわからないのかな?
生徒
生徒
単語と文法をやる必要があるのは分かるんですけど、古文常識って何ですか?
先生
先生
よくある疑問だね。古文常識っていうのは、「現代とは異なる古文特有の世界観や価値観」のことだよ。
生徒
生徒
へえ?例えばどんなのですか?
先生
先生
結婚形態の違いって聞いたことあるかな?
生徒
生徒
あれ、今と同じじゃないんですか?
先生
先生
実は全く異なっていて、当時は一般的には一夫多妻制だったんだ。全員が同じ家で同居することは出来ないから、別居している男性が女性の家を訪れる「通い婚」という形式だったんだよ。
生徒
生徒
通うんだ…だいぶ違いますね。こういうのを知らないと、読んでも全然違う解釈をしてしまいそうです。
先生
先生
そうだね。逆を言えば、古文常識を知っていると読解の助けになることは多いよ。

古文常識の過去問題を解説!

先生
先生
せっかくなので、実際に共通テストの本文を例にして見てみよう。

人々が船遊びをしている時に、ある僧(良暹)が「その場にふさわしい連歌(※)を詠め」と言われて上の句を詠む。それに対しての人々の反応だ。

※連歌とは?
五・七・五の句と七・七の句を交互に詠んでいく形態の詩歌。前の句に続けて詠むことを「句を付ける」という。

人々、これを聞きて、船々に聞かせて、付けむとしけるが遅かりければ、船を漕ぐともなくて、やうやう築島をめぐりて、一めぐりの程に、付けて言はむとしけるに、え付けざりければ、むなしく過ぎにけり。「いかに」「遅し」と、たがひに船々あらそひて、二めぐりになりにけり。なほ、え付けざりければ、船を漕がで、島のかくれにて、「かへすがへすもわろきことなり、これを今まで付けぬは。日はみな暮れぬ。いかがせむずる」と、今は、付けむの心はなくて、付けでやみなむことを嘆く程に、何事も覚えずなりぬ。
出典:2023年度共通テスト『俊頼髄脳』第四段落
先生
先生
これは簡単に言うと、僧が詠んだ上の句に対して、人々が下の句をなかなか付けることが出来ず、最終的に気力を無くして呆然としてしまう場面だ。
赤字に注目しよう。
人々、これを聞きて、船々に聞かせて、付けむとしけるが遅かりければ、船を漕ぐともなくて、やうやう築島をめぐりて、一めぐりの程に、付けて言はむとしけるに、え付けざりければ、むなしく過ぎにけり。「いかに」「遅し」と、たがひに船々あらそひて、二めぐりになりにけり。なほ、え付けざりければ、船を漕がで、島のかくれにて、「かへすがへすもわろきことなり、これを今まで付けぬは。日はみな暮れぬ。いかがせむずる」と、今は、付けむの心はなくて、付けでやみなむことを嘆く程に、何事も覚えずなりぬ。
出典:2023年度共通テスト『俊頼髄脳』第四段落
先生
先生
歌の返答が遅いのは良くない、ということが前提として書かれているね。
これが古文常識であり、知っているとスムーズに読解できる。
生徒
生徒
なるほど!
先生
先生
当意即妙って聞いたことあるかな?
生徒
生徒
どこかで聞いたことある気がします。アドリブが利くみたいな感じですか?
先生
先生
それに近いね。その場に応じた機転、という意味だ。これ自体は古文単語ではなく四字熟語なんだけど、古文の和歌の世界では常識とされている。
生徒
生徒
和歌で機転が必要なんですか?
先生
先生
そう。ただ良い歌を詠めばいいというだけではなく、状況に応じた歌を素早く返答することが大事なんだ。
生徒
生徒
それを知っていると、上の文章でなぜ人々が焦ったり言い争ったりしたのかがすぐに分かりますね。
先生
先生
その通り。知らなかった場合、この場面における人々の行動や心情を読み違える可能性だってあるんだ。
生徒
生徒
知らなかったら間違えちゃいますね。

古文常識を知らないと解けない問題も!

先生
先生
そして共通テストのような選択問題では、こういう「読み違え」を誘う選択肢が用意されていたりするんだよね。
生徒
生徒
模試の時、自信満々に選んだ選択肢が間違ってたことあります。
先生
先生
でも、古文常識をちゃんと把握していれば、そういう選択肢に引っ掛からなくて済むことがあるよ。この問題を例にとって説明するね。

第四・五段落の状況説明について、適当なものを選ぶ問題だ。誤りの選択肢を一つ見てみようか。

①誰も次の句を付けることができなかったので、良暹を指名した責任について殿上人たちの間で言い争いが始まり、それがいつまでも終わらなかったので、もはや宴どころではなくなった出典:前述問4(ⅲ)より
先生
先生
「たがひに船々あらそひて」となった理由についてだ。
「遅し(すぐ歌を返さないといけないのに遅いぞ。早くしろ)」という理由で言い争いになっている訳だけど、良暹を指名した責任について言い争っている、という読み違いをしているね。
生徒
生徒
確かにそうですね。読み違えているとついひっかかりそうな選択肢ですね。
先生
先生
古文常識を知っていれば、こういう選択肢に引っかからなくてすむよね。
正解の選択肢は以下だ。
③殿上人たちは良暹の句にその場ですぐに句を付けることができず、時間が経っても池の周りを廻るばかりで、ついにはこの催しの雰囲気をしらけさせたまま帰り、宴を台無しにしてしまった出典:前述問4(ⅲ)より
先生
先生
「すぐに句を付けることができず」が本文の「付けむとしけるが遅かりければ」「遅し」「かへすがへすもわろきことなり、これを今まで付けぬは」に該当する。
「時間が経っても池の周りを廻るばかり」は本文の「一めぐりの程に、付けて言はむとしけるに、え付けざりければ」「『いかに』『遅し』と、たがひに船々あらそひて、二めぐりになりにけり」に該当するね。池の周りをぐるぐる二周しても、結局歌を返答できなかったということだ。
生徒
生徒
わかりました!
先生
先生
実際に解く際は選択肢の後半部分(ついにはこの催しの~)や他の選択肢も細かく吟味する必要があるけど、このように古文常識が大きなヒントになるんだ。
生徒
生徒
古典常識を知っていると一歩リードって感じですね。
先生
先生
単語と文法の陰に隠れがちだけど、古文常識もしっかり身につけていこう!

まとめ【古文読解】知らなきゃ解けない和歌の常識とは?大学受験対策古文

正しい勉強法

古文常識を知っていると、問題を解くうえで有利になるということを解説してきました。しかし、古文常識だけを単独で学ぶ、ということはなかなか難しいでしょう。過去問や今まで受けてきた模試をしっかり確認・復習する中で自分が今まで身につけてきた古文常識を「実際にどう活かすか?」を確認してほしいと思っています。

 四谷学院では、古文読解の授業でその文章や設問に付随する「古文常識」を伝えています。  古文常識を知っていると「読める」「解ける」というのを実感することができます。また、55段階個別指導にも古文常識が55テストに含まれています。

さらに、冬期講習・直前講習では、「共通テスト古文」で文法事項・読解法・出題傾向・解き方とともに、古文常識も扱います。さらに、「古文重要事項完成ゼミ」で文法事項・文学史を集中的に確認することができます!共通テスト、そして二次試験・私大試験対策に不安があるならば、四谷学院でラストスパートをかけませんか?
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