大学受験の古文では、仏教がテーマになっていることがあります。例えば、登場人物が出家しようとしていたり、主人公や重要人物が僧だったり。古文常識として仏教は欠かせません。
今回は古文の常識「仏教思想」について解説していきます。
目次
古文と仏教
この世のものに執着するのは極楽浄土に生まれ変わる時の足かせになると考えられていたんだね。それは家族や恋人でも、食べ物や自然や音楽でも同じことだ。だから、何ものにも執着しないことが善いこととみなされ、そのような人物こそが極楽浄土に行くことができると信じられていたというわけなんだ。
仏教思想 押さえておきたい単語
古文読解のためには、どうしても知っておくべき単語があります。逆に言えば、この単語の意味を理解していれば、読解において有利になるということ。
何となく聞いたことがあることばもあると思いますから、これを機会にしっかり理解しておきましょう。
因果応報(いんがおうほう)
四字熟語としてよく知られているかと思いますが、そもそもは仏教用語です。
過去や前世の行為の善悪に応じて、現在の幸不幸の果報があり、現在の行為に応じて未来の果報がある、という考え方です。それが転じて仏教以外でも、「応報」つまり「報いには因果関係がある」という意味で使われます。
出家(しゅっけ)
出家とは、世俗を離れて僧になること。出家の際には髪を切ることから「かしらおろす」「御髪(みぐし)おろす」という表現や「様を変ふ」「形を変ふ」などの言い方もあります。また、古文の世界では死と同様か、それと近い行為とされたので、「世を出づ」「世をそむく」「世を捨つ」など、色々な言い換えがあります。
三世(さんぜ)
三世とは、過去・現在・未来もしくは前世・現世・後世(来世)のことを言います。仏教では因果応報のようにこうした繋がりに注目することが多くあります。
なお、「前(さき)の世」「後(のち)の世」などの言い方もありますので、間違えないように覚えておきましょう。
末法思想
釈迦の死後1000年経つ1052年以降は、仏教が衰滅して修行も悟りも得られなくなる「末法」の世になる、という仏教史観です。
仏教説話の代表作は?
仏教説話集は仏教を広めるために書かれたものなので、話の前か終わりに教訓となることが書かれているのも特徴です。
日本霊異記(にほんりょういき)
日本最古の仏教説話は「日本霊異記」(にほんりょういき)で9世紀初めに成立したものです。正式名称は「日本国現報善悪霊異記」です。
今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)
「今昔物語集」は、平安時代末期に書かれた説話集です。
発心集(ほっしんしゅう)
「発心集」は鎌倉時代初期に書かれました。作者は鴨長明です。
沙石集(しゃせきしゅう/させきしゅう)
「沙石集」は鎌倉時代に成立した仏教説話集です。作者は無住と言われています。