こんにちは、四谷学院の理科担当、田中です。
大学のグループとして「関関同立」を聞いたことがある方も多いと思います。関関同立とは、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の4校をまとめた呼び方です。いずれも関西を中心にキャンパスを構えていて、関東にキャンパスを構える有名私立大学6校まとめたGMARCH(学習院大学・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)と並び称される上位私大グループとして広く認識されています。
今回は、関関同立の入試科目の中から「化学」の傾向と対策をお話ししていきます。
目次
関西大学の化学
出題方式
関西大学「化学」の入試問題は、例年理科1科目選択方式では大問3題の出題で、試験時間は75分です。理科設問選択方式は物理3題・化学3題の計6題から3題選択して解答します。試験時間は100分です。出題形式が様々あるため、注意しておきましょう。
いずれも大問1題が2~3種類の小問になっています。空所補充形式が多く、一部マークシート方式になっています。有効数字指定のある計算値・用語・構造式などを記す問題も出題されています。
理論化学
理論化学が出題の中心となっており、どの分野からも偏りなく出題されています。そのため、苦手分野が残らないようにしっかり計画を立てて学習を進めていきたいものです。すべての単元にわたって、基礎~標準レベルの問題は解けるように演習をたくさん積んでおきましょう。
無機化学
設問数は多くないですが、毎年必ず出題されています。単独出題は少なく、理論化学と絡めて出題されます。性質の似た元素をまとめておき、単体や化合物の性質を覚えておきましょう。また、気体の製法・沈殿生成反応・金属と酸の反応については化学反応式を書けるように練習しておきましょう。
有機化学
有機化学は構造決定問題を中心に出題されます。特にエステルの加水分解が頻出です。また、元素分析の結果を踏まえて解く問題が多いため、ここで間違えると大きな失点につながる可能性があります。脂肪族化合物ではエチレン・アセチレン・エタノール、芳香族化合物ではフェノール・アニリン・サリチル酸などについては、自分で反応経路図を作成し、物質の合成や誘導される化合物を導けるようにしましょう。
関西学院大学の化学
出題方式
関西学院大学「化学」の入試問題は、例年大問3題の出題であり、試験時間は75分です。全問記述方式です。論述問題やグラフの出題もあるため、教科書に出てくる図やグラフを正しく読み取る練習や考えを自分で表現する練習をしておきましょう。論述は字数制限があるものとないものがあります。
理論化学
基礎がしっかりしていれば得点できる問題が多いですが、文章量や情報量が多く思考力を要求される問題も目立ちます。過去には、ギブスエネルギー、標準電極電位、水素吸蔵合金、アレニウスの式などのように、教科書の発展事項で紹介されるテーマも出題されています。
まずは教科書に出ている法則・理論を確実に理解しておき、そのうえで問題演習を行って応用力と思考力を身につけていく意識をもちましょう。特に、酸塩基・電池・電気分解・気体の法則・反応速度・化学平衡は頻出分野であり、計算力も必要なため、問題演習をたくさんしておきましょう。
無機化学
単独で出題よりは理論化学と絡めて出題されることが多いです。扱われている物質の性質や反応は常に意識しておきましょう。特に気体の製法・性質・金属イオンの沈殿・溶解反応が重要分野です。代表的な化学反応式は書けるようにしておきましょう。
有機化学
出題量は比較的多いです。特に構造式・異性体・反応機構に関しては思考力が試される問題も出題されています。まずは有機化合物の合成法をしっかりと覚え、それに関連する反応や実験法も合わせて学習しておきましょう。天然高分子・合成高分子も必ず出題されているので、基本知識は押さえておきましょう。
同志社大学の化学
出題方式
同志社大学「化学」の入試問題は、例年大問3題の出題で、試験時間は75分です。一部選択式の問題ですが、大部分は記述形式です。また、論述問題やグラフの作図も出題されているため対策が必要となります。教科書に出てくる図やグラフを正しく読み取る練習や考えを自分で表現する練習をしておきたいところです。
なお基本的には論述問題に字数指定はありません。計算問題は特に過程を問われることはなく、答えのみ記す形です。理論分野を中心に、無機・有機分野を絡めて出題されることが多くなっています。
理論化学
大問3題は理論化学を中心に出題されており、全体の約70%を占めています。無機分野や有機分野と絡めて出題されることが多くなっています。計算問題の出題頻度が高く、化学平衡・熱化学・気体の状態方程式・溶解度積が頻出分野です。化学反応を用いた量的関係・電気分解・電池・中和滴定もしっかり押さえておきたいところです。
無機化学
単独での出題よりは、理論化学と絡めて出題されることが多くなっています。特に重要な物質を中心に出題されています。金属はアルミニウム・銅・鉄・亜鉛、非金属ならハロゲン・窒素・炭素あたりが多く出題されています。
有機化学
幅広い分野で出題されます。多くの問題で計算が含まれており、理論分野の知識・考え方も必要です。脂肪族化合物や芳香族化合物は構造決定問題が中心ですが、化学反応式を書かせる問題も多く出題されています。高分子化合物では、天然有機化合物を対象とするものが多く、かなり詳しい構造も聞かれることがあります。
立命館大学の化学
出題方式
立命館大学「化学」の入試問題は、例年大問4題の出題で、マークシート方式と記述方式の併用です。試験時間は、学部個別配点方式の理科2科目型は2科目120分、その他は1科目80分です。マークシート方式では、空所補充や化学式、計算結果に合う数値を選択肢から選ぶ形式が中心です。記述式では、計算数値や化学反応式を書くもの、一部論述や描図が出題されることもあります。
理論化学
計算問題が多く出題されており、素早く正確に計算する訓練が必要です。気体の状態方程式・濃度・中和・酸化還元反応・pHなどの計算が頻出です。また化学平衡や電離定数など多少煩雑な問題も出題されるため、演習量を確保しておきたいところです。空所補充も出題されるため、法則名や語句はしっかり覚えておきましょう。
無機化学
無機化学の単独出題は少なく、理論化学と絡めて出題されます。気体の製法や金属イオンの性質、工業的製法など基礎内容で失点しないように知識の整理や理論化学との関連づけをしっかりしておきたいところです。記述対策として、代表的な化合物や錯イオンの化学式、化学反応式を正確に書けるようにしておきましょう。
有機化学
有機化学では、脂肪族化合物や芳香族化合物を中心に出題されています。基礎的な化合物や反応は確実に覚えつつ、代表的な化合物の構造式や反応式を系統的に覚え、酸化やエステル化など典型例は確実に理解しておきましょう。問題文が長かったり、解答の注意点が書かれていたりするので問題をよく読む癖をつけておく必要があります。高分子化合物も頻出のため、十分時間をかけて理解しておきましょう。
まとめ「 関関同立の「化学」出題傾向を徹底比較!頻出分野は?難易度は?」
今回は関関同立の入試問題から「化学」について紹介しました。各大学特徴や出題形式が異なっているため、志望する大学の特徴・出題形式をよく確認して、効率よく対策を進めていきましょう。
なお、どの大学においてもまず理論化学を対策することが必須です。法則や化学式など重要なものは覚えておきましょう。そのうえで単元ごと様々な問題に挑戦し、基礎から標準レベルの問題は解けるようにしておきましょう。
その時に意識するべきことは、考え方の過程に抜けがないかを確認することです。解き方を覚えるのではなく、「なぜこのように考えるのか」、「どうしてこの答えになるのか」など常に疑問を持ちながら演習をしておきましょう。最終的に「誰かに教えられる」レベルで理解できたら完璧です。
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