こんにちは!四谷学院の奥野です。
日本医科大学は、東京都文京区に本部を置く最古の私立医科大学です。医学部医学科のみの単科大学になります。設立者である長谷川泰の思想や建学の精神は、源流である済生学舎の創設から140年以上経った今でも、日本医科大学に引き継がれています。
この記事では、日本医科大学の入試の特徴や難易度、倍率、合格するための効率的な勉強方法をご紹介します。日本医科大学の受験を考えている方、勉強しているのに成績が伸び悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事に記載されている情報は2023年3月27日現在のものです。最新の情報は大学公式ホームページにて必ずご確認ください。
目次
日本医科大学の入試問題で問われる能力
はじめに、日本医科大学が求めている人物像と、入試の難易度について解説します。
日本医科大学はどのような人材(学生)を望んでいるのか
日本医科大学の学是は、「克己殉公」です。これは、「己に克ち、広く人々のために尽くすこと」を意味します。
また、日本医科大学では、教育理念として「愛と研究心を有する質の高い医師と医学者の育成」を掲げており、これまでに多くの臨床医、医学研究者、医政従事者を輩出してきました。
日本医科大学では、この学是、理念、また、歴史ある私立医科大学という特徴を基盤に、最新の医学を教育・研究し、広く国際的な視野に立った見識と豊かな人間性を備えた医師、医学研究者の養成に努めています。
さらに、人々の健康の維持・増進、社会に貢献することを使命と考えていることから、学是、理念、使命を理解・尊重し、豊かな資質を持つ以下のような人材を求めています。
日本医科大学のアドミッションポリシー
- 医学を学ぶ目的意識が明確で、医師、医学者となるに必要な知識・技能の獲得のために自ら努力する人
- 生命倫理を尊重し、医学を学ぶための知識・知性および科学的論理性と思考力を備えた人
- 病める人の心を理解し、相手の立場で物事を考えることができ、主体性を持ちつつ協働して学ぶことのできる人
- 社会的な見識を有し、周囲との協調性を尊重しながら、自らを表現し、判断できる人
- 世界の医学・医療の進歩と発展に貢献する強い意欲のある人
なお、日本医科大学では、アドミッションポリシーのほかに、カリキュラム編成の方針であるカリキュラムポリシーと、学位授与の方針であるディプロマポリシーも定めています。
日本医科大学への入学を考えている方は、ぜひ日本医科大学 教育方針の内容をご一読ください。
日本医科大学入試の特徴
日本医科大学では、4種類の一般選抜のみで入学者選抜を行なっています。各選抜の特徴を見ていきましょう。
一般選抜(前期・後期)
一般選抜(後期)「大学入学共通テスト(国語)併用」
一般選抜(地域枠)
- 千葉県
- 埼玉県
- 静岡県
- 東京都
- 新潟県(臨時定員申請中)
なお、この制度の詳細は、各都県によって異なります。日本医科大学の入学者選抜実施要項に書かれている各都県の奨学金Webサイトを確認しましょう。
日本医科大学の受験を考えている場合は、いずれも最新の入学者選別実施要項を必ずご確認ください。日本医科大学のホームページにて、最新の入試日程・概要の確認が可能です。
日本医科大学入試の概要
ここからは、日本医科大学の入試概要を解説します。
出願資格について
日本医科大学の出願資格は、選抜方法ごとに定められています。ここでは一般選抜での出願資格を一部ご紹介します。
一般選抜での出願資格は、大学が指定した大学入学共通テストの教科・科目を受験し、以下に該当するものとされています。
- 高等学校又は中等教育学校を卒業した者及び令和5年3月終了見込みの者。
- 通常の課程による12年の学校教育を修了した者及び令和5年3月修了見込みの者。
- 外国において、学校教育における12年の課程を修了した者及び令和5年3月修了見込みの者又はこれに準ずる者で文部科学大臣の指定した者。
- 文部科学大臣が高等学校の課程と同等の課程を有する者として認定した在外教育施設の当該課程を修了した者及び令和5年3月修了見込みの者。
- 専修学校の高等課程(修業年限が3年以上であることその他の文部科学大臣が定める基準を満たす者に限る。)で文部科学大臣が別に指定する者を文部科学大臣が定める日以降に修了した者及び令和5年3月修了見込みの者。
- 文部科学大臣の指定した者。
- 高等学校卒業程度認定試験に合格した者(大学入学資格検定に合格した者を含む。)及び令和5年3月までに合格見込みの者。
- 本学において、個別の入学資格審査により、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、18歳に達した者。
試験科目や合格要件
ここからは、日本医科大学の試験科目や配点をご紹介します。
今回、取りあげるのは、一般選抜(前期)の内容です。なお、二次試験は、小論文と面接での選考になります。その他の試験内容については、日本医科大学 令和6年度入学者選抜実施要項にてご確認ください。
なお、以下のデータはすべて2023年3月27日現在のものです。
一般選抜(前期)における一次試験の出題科目と配点
出題教科 | 出題科目 | 配点 | |
英語 | コミュニケーション英語 I、Ⅱ、Ⅲ、英語表現 I、Ⅱ | 300点 | |
数学 | 数学 I、Ⅱ、Ⅲ、数学 A、数学 B(ベクトル・数列) | 300点 | |
物理 | 物理基礎、物理 | 3科目の中から2科目選択 | 400点 (各200点) |
化学 | 化学基礎、化学 | ||
生物 | 生物基礎、生物 |
出願者数や合格者数のデータ
日本医科大学における一般入試区分ごとの出願者数や合格者数は、以下のようになっています。なお、ここで取り上げるのは2022年度(令和4年度)の結果です。
募集人数 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
前期試験 | 75人 | 1,845人 | 1,681人 | 161人 | 10.4倍 |
後期試験 | 14人 | 870人 | 761人 | 14人 | 54.3倍 |
後期試験 (大学入学共通テスト(国語)併用) | 10人 | 247人 | 218人 | 10人 | 21.8倍 |
地域枠 (千葉県) | 7人 | 151人 | 148人 | 10人 | 14.8倍 |
地域枠 (埼玉県) | 2人 | 95人 | 93人 | 3人 | 31倍 |
地域枠 (静岡県) | 4人 | 134人 | 129人 | 5人 | 25.8倍 |
地域枠 (東京都) | 5人 | 116人 | 114人 | 5人 | 22.8倍 |
各科目の試験問題の特徴や難易度
日本医科大学の入試対策のために、試験問題の特徴や傾向をつかんでおきましょう。ここでは、日本医科大学一般選抜での試験問題の特徴を、ご紹介します。
英語
日本医科大学の英語は、試験時間が90分、大問で4~5問程度が出題されます。おもな内容は、長文読解、自由英作文、空所補充・正誤問題、語彙・アクセントなどです。
従来は長文読解が中心でしたが、近年では、語彙・文法・イディオムなどの基礎知識を問う問題も出題されるようになりました。
なお、これは全科目に共通することですが、日本医科大学では、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を評価するために、記述式問題も出題しています。
そのため、英語の学習では、解答を選んだ理由を説明する論理的思考力なども鍛えておく必要があるでしょう。
数学
試験時間は90分で、大問は3~5 問程度です。数学の場合、出題形式や難易度が年によって大きく変わります。近年の傾向としては、数Ⅲの問題の割合が非常に高いです。
ただ、数Ⅲは、ⅠAⅡBの総まとめ的な位置づけでもあります。そのため、数Ⅲばかりにこだわらず、バランスよく学習することが大切でしょう。
なお、数学においても「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を評価するための記述式問題が出題されます。
例えば、図解を交えて記述したり、大量の計算を行なった結果だけを解答欄に記載するパターンでも出題されています。
短い時間のなかで、正確に問題を解く計算力や情報処理能力なども鍛えておく必要があるでしょう。
物理
物理の試験時間は、2科目120分※です。大問は4問が定着しており、力学・熱力学・電磁気・波動からバランスよく出題されます。ほかの理科科目と比べると、典型問題や標準的な問題が多い傾向があります。
ただ、なかには、数値計算の大問や図解を加えながら解く問題もあるため、標準的な問題練習をするなかでスピードと正確性を高めておく必要があるでしょう。また、頻出分野を偏りなく学習することも大切になります。
※理科の出題科目では物理・化学・生物の3科目から2つを選ぶ必要があります。
化学
化学の試験時間も、2科目120分※です。近年では、大問4問が定着するようになりました。多く出題されているのは、有機化学分野の脂肪族です。また、高分子は、2年に1度ほど出題されています。
日本医科大学の化学は、先述の物理と比べて難問が多いです。そのため、60分という短い時間のなかで完答することはかなり難しくなります。
こうした問題を攻略するには、まず、比較的やさしい基本的な問題は、確実に得点することが大切です。
また、構造式や反応式、実験の説明などを求められる記述式問題も想定されます。演習問題を積み重ねながら、スピード感を持って論理的な問題を解けるようにする必要があるでしょう。
※理科の出題科目では物理・化学・生物の3科目から2つを選ぶ必要があります。
生物
2科目120分で、大問3問が出題されます。私立医学部でよく見られる、医学分野に関連した生物の問題が多いです。
出題分野には、かなりの偏りがあります。ほぼ毎年のように出題されているのは、体内環境です。このほかに、細胞生物、分子生物、遺伝情報、生殖・発生といった分野も、出題されやすい傾向があります。
前半2つの大問では、有名な計算問題、知識問題、考察問題がよく出題されます。一方で最後の大問では、複雑な実験考察問題が出てくることが多いです。
この実験考察問題に対処するには、図表やグラフの読み取りや判断力を高めておく必要があるでしょう。
※理科の出題科目では物理・化学・生物の3科目から2つを選ぶ必要があります。
傾向的に論述問題は少ないですが、一方で考察問題が難易度を左右する傾向もあります。そのため、教科書と一般的な問題集で標準的な知識をインプットするのはもちろんのこと、過去問などを通じて実験考察問題のイメージを掴み、読解力や思考力を高めておくことも大切です。
日本医科大学入試の難易度・偏差値
Benesseの大学受験・進学情報「マナビジョン」のデータでは、日本医科大学 医学部の入試の偏差値は71~72、共通テスト得点率は88%となっています。
出典:Benesseの大学受験・進学情報「マナビジョン」(日本医科大学)
日本医科大学に合格するための勉強方法
ここからは、日本医科大学に合格するための勉強方法をご紹介します。
日本医科大学に入るには、何をすればいい?
日本医科大学は、私立の単科大学であるため、一般選抜のみです。
一般選抜(前期・後期)の場合、一次試験に合格した人が二次試験(面接・小論文)に進む流れとなります。
そのため、日本医科大学を目指す場合、先ほど紹介した各科目の試験問題の特徴を意識しながら、対策をしていく必要があるでしょう。
なお、日本医科大学の試験対策では、この大学がすべての出題科目において、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を評価するために、記述式問題も出題している点にも注目したいところです。
この5つの評価項目は、大学入学共通テストと同じになります。
もちろん頻出問題などに違いはありますが、評価ポイントという点では、大学入学共通テストと重なる部分があるととらえてよいでしょう。
ただ、日本医科大学の場合は、この5項目を記述式で確認する問題が出題されます。そのため、図解を交えた記述や、論理的な考え方などの「答えにたどり着く過程」なども大事にする学習が必要になるでしょう。
また、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」の問われ方は、各科目によって異なります。過去問から傾向を掴み、類似問題を繰り返し解いておくことも大切です。
また、二次試験の面接・小論文対策も忘れずに実施しましょう。
受験期の過ごし方
受験期である高校3年生をどう過ごすかによって、合否の確率が変わるといっても過言ではないでしょう。やみくもに勉強するのでは、あまり効果的とはいえません。
年間を通じた長期的なスケジュールを立てて、受験勉強に取り組んでください。
- 春(4~6月):徹底して基礎を身につける時期。教科書の内容をベースにして丁寧に学習し、苦手分野の洗い出しを行いましょう。暗記ものは単語集や用語集を使い、できるだけ早く取りかかるのがおすすめです。
- 夏(7~9月):苦手分野を徹底して克服する時期。長期休暇中は、自分のペースで学習に取り組めます。この時期に成績アップを狙いましょう。「一日に問題集を10ページ取り組む」というように、短いスパンでスケジュールを組むのも、モチベーションを保つコツです。
- 秋(10~12月):基礎固めが完璧にできたら、大学入学共通テストの対策を始める時期。基礎固めはもちろんのこと、応用力も磨くことで、個別学力検査対策にも役立ちます。
- 冬(1月~):過去問を集中的に学習し、演習を積む時期。本番対策には、時間配分も重要なポイントです。試験時間に注意しながらミスなく問題を解くようにし、最後の仕上げをします。過去問を解いて終わり、ではなく、解答や解説を見て復習が必要な箇所がないか確認しましょう。
予備校で勉強する場合
独学で受験勉強に取り組む場合は、勉強を続ける強い意志に加え、情報収集力もないと、かなり厳しい戦いになってしまいます。しかし「予備校にさえ通っていれば安心」とも言い切れないのをご存じでしょうか。
その理由は、多くの予備校が取り入れている集団授業。大手予備校ともなれば、一度に多くの生徒が同じ授業を受けることは日常的です。
講師の授業を受け身で聞き、なんとなくわかった気になっているだけの場合では、知識が定着しない心配があります。
また集団授業のなかでは、苦手分野が取り残されがちです。授業でわからなかったところは、自分で講師に聞きに行くなど積極的に取り組まないと、十分な学習の効果が出ない可能性もあります。
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科目別能力別授業
大抵の予備校では、志望校やテストの総合得点でクラス分けします。そのため、苦手科目の授業についていけなかったり、得意科目の授業が物足りなかったりする「科目ごとのレベルの不一致」が起こりがちです。
四谷学院の科目別能力別授業は、科目と能力の2つでクラス分けするのが特徴です。つまり科目ごとに自分に合ったレベルの授業が受けられる仕組みになります。自分のレベルに合った授業を受けられるため、無理なく理解が進み、効率的に成績向上を目指することが可能です。
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55段階個別指導
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55段階個別指導では、過去の入試問題を徹底分析して作られた55テストを受験し、理解に穴があるところ、考え方が不完全なところ、表現が不適切なところを段階的にチェック。解答力が身についているかを確認しながら、級を進めていきます。中学レベルから東大レベルまでの55段階を、スモールステップで無駄なく学べるよう体系化して指導しています。
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まとめ:日本医科大学入試は丁寧に解く力が重要!
【日本医科大学の入試概要】
- 私立の単科大学なので一般選抜のみ。
- 難易度は「難」。
【日本医科大学の入試データまとめ】
- 一般選抜(前期)の学部での実質倍率は10.4~25.8倍(令和4年度)。
【勉強方法まとめ】
- 基本的な知識を十分に身につけ、教科書や用語集を丁寧に学習するのがおすすめ。
- 記述式問題で「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」が問われることを意識した学習も必要。
- 時間が足りなくなる科目が多いので、時間配分の練習をしておく。
日本医科大学は、難易度や競争率も非常に高い大学です。日本医科大学に合格するには、基礎を徹底したうえで、いかにミスを少なくして問題を解くかが重要になってきます。
また、記述式対策も必要です。そこでおすすめなのが、四谷学院の「ダブル教育システム」。
自分の学習レベルに合った授業で、効率的な成績向上が望めます。気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。
※本記事でご紹介した情報は2023年3月27日現在のものです。最新の情報は大学公式ホームページにて必ずご確認ください。
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以下の記事では、予備校の入学説明会について詳しく解説しています。ぜひチェックして、予備校の説明会に参加するときに感じがちな疑問や不安を解消してください。