こんにちは!四谷学院の奥野です。
金沢大学は、金沢市角間町にキャンパスを構える国立大学です。1862年に加賀藩が設置した種痘所から始まり、1949年に新制大学として設立されました。
金沢大学には4つの学域と20の学類があり、従来の学部・学科より広い学術領域をカバーしているのが特徴です。学生一人ひとりが自分の好奇心や探求心に合わせて、柔軟に学びを深めることができます。
また、地方創生人材を育成する「ENGINE」や、多様な専門知を融合して課題を解決できる人材を育てる「KU-STEAM」など、さまざまな教育プログラムを用意しています。
この記事では、金沢大学の入試問題の特徴や難易度、合格に向けた効率的な勉強方法について解説します。
※本記事に記載されている情報は2024年12月26日現在のものです。最新の情報は大学公式ホームページにて必ずご確認ください。
目次 [非表示]
金沢大学の入試問題で問われる能力
金沢大学が求める学生の人物像について解説します。
金沢大学はどのような人材(学生)を望んでいるのか
金沢大学では、理念と目標として「金沢大学憲章」を掲げており、その中で、教育について以下のように述べています。
- 金沢大学は,各種教育機関との接続,社会人のリカレント教育,海外からの留学,生涯学習等に配慮して,多様な資質と能力を持った意欲的な学生を受け入れ,学部とそれに接続する大学院において,明確な目標をもった実質的な教育を実施する。
- 金沢大学は,学生の個性と学ぶ権利を尊重し,自学自習を基本とする。また,教育改善のために教員が組織的に取り組むFD活動を推進して,専門知識と課題探求能力,さらには国際感覚と倫理観を有する人間性豊かな人材を育成する。
また、大学憲章をより具体化した「金沢大学<グローバル>スタンダード(KUGS)」では、金沢大学が育成する人材について以下のように定めています。
そして、これらに適う資質と能力の開花を少なくとも確かな可能性として示す方や、このような人材になろうとする高い志と強い気概をもった方の入学を期待するとしています。
- 自己の立ち位置を知る:
鋭い倫理観と科学的知見をもって,人類の歴史的時間と地政学的空間の中に立つ自己の位置,自己の使命を主体的に把握する能力 - 自己を知り,自己を鍛える:
自己を知り,その限界に挑戦し,知的冒険と心身の鍛錬を通して常に自己の人間力を磨き高めていく能力 - 考え・価値観を表現する:
論理的構成力や言語表現力を駆使して概念やアイデアを明確に表現し,かつ自己の感性や価値観を的確に他者に伝える能力 - 世界とつながる:
他者への深い共感に基づいて異文化と共生し,各人にとっての自国と郷土の文化への自覚と誇りをもって,世界と積極的につながっていく能力 - 未来の課題に取り組む:
科学技術の動向,自然環境変動,持続可能性などの多角的視座から地球と人類,国際社会と日本の未来を総合的に予測し,未来の課題に取り組んでいく能力 - 新しい社会を生きる:
Society 5.0において,幅広い分野や考え方を俯瞰して異分野をつなげる力と新たな物事にチャレンジするマインドを備え,多様な他者との協働により未来の社会的課題を解決に導くための能力
なお、金沢大学では、学類ごとのアドミッション・ポリシーを設定しています。詳しくは、大学公式ホームページのアドミッション・ポリシー(Admission Policy)をご確認ください。
金沢大学入試の特徴
金沢大学が求める学生の人物像について解説します。
金沢大学では、多様な選抜方法を提供しています。ここでは、2025年度の入試情報をもとに、金沢大学の選抜方法について解説します。
一般選抜
大学入学共通テストや個別学力検査、調査書の内容を総合して選抜を行う方法です。
一般選抜では、学類ごとに選抜を実施する方式と、所属したい学類を入学後1年間考えて決める「文系・理系一括」入試があります。
学類ごとの選抜で融合学域を受験する場合、出願時に文系傾斜か理系傾斜かの選択が必要です。
なお、金沢大学の一般選抜は前期日程のみの実施で、後期日程は実施されません。
KUGS特別入試
KUGS特別入試には、総合型選抜Ⅰ、総合型選抜Ⅱ、学校推薦型選抜Ⅰ、学校推薦型選抜Ⅱ、デジタル人材選抜Ⅱ、防災・復興人材選抜Ⅱ、英語総合選抜Ⅱの7つがあります。
口述試験や小論文、実技試験などを通して主体性や協働性などを評価し、生徒の能力・資質・意欲を多面的・総合的に判断します。
受験する学類によって、大学入学共通テストや個別学力検査を課すか課さないかが異なります。
なお、KUGS特別入試に出願できるのは、以下のいずれかに該当する方です。
- 既にKUGS高大接続プログラムでKUGS特別入試への出願が認められた者
- 国立研究開発法人科学技術振興機構のグローバルサイエンスキャンパス事業の第一段階を修了した者(グローバルサイエンスキャンパス事業によって大学等が開講するプログラムにより,一次選抜後の二次選抜までの育成プログラムを修了した者)であり,本学の場合は,金沢大学グローバルサイエンスキャンパス事業の第一ステージを修了した者
- 国立研究開発法人科学技術振興機構の次世代科学技術チャレンジプログラム事業において研究計画を策定する段階を修了した者であり,本学の場合は,金沢大学STELLAプログラムシニアコースのCステージを修了した者
超然特別入試
超然特別入試には、「A-lympiad(エーリンピアード)選抜」と「超然(ちょうぜん)文学選抜」の2種類があります。
A-lympiad選抜は、数学的に特異な才能を持ち、将来それを活かして社会的課題解決に取り組む強い意欲を持った方を選抜する目的があります。
そして超然文学選抜は、文学的に特異な才能を持ち、将来それを活かして社会的課題解決に取り組む強い意欲のある方を選抜することが目的です。
超然特別入試に出願できるのは、高等学校等への在学中に金沢大学主催のコンテスト「日本数学A-lympiad」か「超然文学賞」に応募し、入賞した方に限られます。
女子枠特別入試
日本は他国に比べて理工系の女子学生や女性技術者・研究者の割合が低いため、金沢大学ではその数を増やす目的で女子枠特別入試を行っています。
大学入学共通テストと口述試験の評価を総合して、合否を判断する選抜方法です。
上記以外にも、金沢大学では、医学類・高大院接続入試や薬学類・高大院接続入試、在外留学生推薦入試、社会人選抜、帰国生徒選抜など、さまざまな選抜方法を用意しています。詳しくは、大学公式ホームページの募集要項(Application Guidelines)をご覧ください。
金沢大学の各科目の試験問題の特徴や難易度と対策
金沢大学に合格するには、試験科目ごとの特徴や難易度を把握することが大切です。ここでは、金沢大学の一般選抜における試験問題について、2024年度試験の過去問をもとに解説します。
国語
国語は記述式で、試験時間は90分です。大問は3つで、現代文・古文・漢文の大問がそれぞれ1問ずつの構成になっています。
2024年度試験の現代文では小説が使われ、漢字問題や空欄補充問題に加え、100字前後の論述問題が出されています。文章の内容をわかりやすくまとめる練習をしておきましょう。
古文・漢文では、現代語訳の問題や書き下し文の問題が出されています。問題文の内容を正確に読み取れるように力をつけておきましょう。
英語
英語は記述式で、試験時間は90分です。大問は3つで、長文読解が2問、英作文が1問出題されています。
金沢大学の英語は設問がすべて英語で書かれており、解答もすべて英語で記述するのが特徴です。問題自体は標準的ですが、英語での記述に慣れていないと時間がかかってしまうでしょう。
長文を読む力はもちろん重要ですが、英語で記述する練習も早いうちからやっておくことをおすすめします。
理系数学
理系数学は記述式で、試験時間は120分です。大問は4つで、2024年度試験では微分・積分、複素数、ベクトル、数列と極限の分野から出題されました。
苦手分野をなくしておき、標準的な問題は取りこぼさず必ず解けるようにしておくことが大切です。計算ミスで減点されないよう、速く正確に計算する力をつけましょう。
文系数学
文系数学は記述式で、試験時間は90分です。大問は3つで、微分・積分やベクトル、数列、関数などから多く出題されています。
分野をまたぐ問題が出されることもあるため、各分野の標準問題を解けるようにしたうえで、過去問を多く解いて慣れておきましょう。
金沢大学入試の難易度
Benesse「マナビジョン」のデータによると、金沢大学の偏差値は54~68となっています(2024年12月26日時点)。学域ごとの偏差値は以下のとおりです。
学域 | 偏差値 |
融合学域 | 56~59 |
人間社会学域 | 56~60 |
理工学域 | 55~57 |
医薬保健学域 | 54~68 |
文系一括入試 | 64 |
理系一括入試 | 58 |
また、大学入学共通テストの得点率は65~84%となっています。
参照:金沢大学/偏差値・入試難易度【2024年度入試・2023年進研模試情報最新】|マナビジョン|Benesseの大学受験・進学情報
金沢大学試験の概要
金沢大学の出願資格、試験科目と配点、出願者数や合格者数のデータなど、試験の概要について解説します。
出願資格について
金沢大学の出願資格は、選抜方式によって異なります。ここでは、一般選抜の出願資格をご紹介します。
一般選抜に出願できるのは、以下のいずれかに該当し、入学年度の大学入学共通テストにおいて指定された教科・科目を受験した方です。
- 高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者及び入学年の3月卒業見込みの者
- 通常の課程による12年の学校教育を修了した者及び入学年の3月修了見込みの者
- 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第150条第1号から第5-2号の規定により高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者及び入学年の3月31日までにこれに該当する見込みの者
- 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第150条第7号の規定により,本学において,個別の入学資格審査により,高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で,入学年の3月31日までに18歳に達するもの
ほかの選抜方式の出願資格については、大学公式ホームページの募集要項(Application Guidelines)をご確認ください。
試験科目や配点
金沢大学の試験科目や配点は、選抜方式によって異なります。ここでは、一般選抜における一部の学域・学類について、試験科目と配点をご紹介します。
<人間社会学域人文学類>
教科・科目名(大学入学共通テスト) | 配点 | |
国語 | 『国語』 | 100点 |
地歴公民 | 『地理総合,地理探究』『歴史総合,日本史探究』『歴史総合,世界史探究』『公共,倫理』『公共,政治・経済』『地理総合/歴史総合/公共』から2科目 | 150点
|
数学 | 『数学Ⅰ,数学A』『数学Ⅱ,数学B,数学C』 | 100点 |
理科 | 『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』 | 50点 |
外国語 | 『英語』『ドイツ語』『フランス語』『中国語』『韓国語』から1科目 | 100点 |
情報 | 『情報Ⅰ』 | 25点 |
教科・科目名(個別学力検査等) | 配点 | |
国語 | 『現代の国語、言語文化』 | 300点 |
外国語 | 『英語』 | 300点 |
その他 | 『総合問題』 | 200点 |
<理工学域数物科学類>
教科・科目名(大学入学共通テスト) | 配点 | |
国語 | 『国語』 | 200点 |
地歴公民 | 『地理総合,地理探究』『歴史総合,日本史探究』『歴史総合,世界史探究』『公共,倫理』『公共,政治・経済』『地理総合/歴史総合/公共』から1科目 | 100点
|
数学 | 『数学Ⅰ,数学A』『数学Ⅱ,数学B,数学C』 | 200点 |
理科 | 『物理』『化学』『生物』『地学』から2科目 | 200点 |
外国語 | 『英語』『ドイツ語』『フランス語』『中国語』『韓国語』から1科目 | 200点 |
情報 | 『情報Ⅰ』 | 50点 |
教科・科目名(個別学力検査等) | 配点 | |
数学 | 『数学Ⅰ,数学Ⅱ,数学Ⅲ,数学A,数学B,数学C』 | 600点 |
理科 | 『物理基礎,物理』『化学基礎,化学』から1科目 | 500点 |
外国語 | 『英語』 | 400点 |
参照:金沢大学 令和7(2025)年度一般選抜(前期日程)学生募集要項(学士課程)(PDF)
出願者数や合格者数のデータ
金沢大学の一般選抜における出願者数や合格者数(2024年度)は、以下のとおりです。
学域 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
融合学域 | 298 | 276 | 141 | 2.0 |
人間社会学域 | 981 | 920 | 555 | 1.7 |
理工学域 | 878 | 844 | 539 | 1.6 |
医薬保健学域 | 865 | 717 | 351 | 2.0 |
一括 | 471 | 398 | 179 | 2.2 |
参照:金沢大学 令和6年度 金沢大学 入試状況 一般選抜(前期日程)(PDF)
金沢大学に合格するための勉強方法
ここからは、金沢大学に合格するための勉強方法をご紹介します。
金沢大学に入るには、何をすればいい?
金沢大学では、自ら課題を探求し自発的に学ぶことができる学生を求めています。
偏差値は54~68、大学入学共通テストの得点率は65~84%が合格ラインです。
苦手分野を克服し、標準的な問題は確実に点数が取れるようにしたうえで、応用的な問題にもチャレンジする必要があるでしょう。
個別学力検査では記述問題が多く出されます。暗記や一問一答だけでなく、文章で書く力を鍛えられるように繰り返し対策を行いましょう。
受験期の過ごし方
金沢大学を一般選抜で受験する場合、大学入学共通テストに向けて幅広い科目の基礎を固めつつ、個別学力検査で利用する科目の記述対策も行わなければなりません。
早めに全科目の基礎を固め、苦手分野はつぶしておきましょう。
個別学力検査で利用する科目については、過去問に取り組んで傾向をつかみ、問題集を繰り返し学習して書く力を鍛えることが大切です。
高校3年生の1年間は、多くの科目を学習する必要があるため、長期的な計画を立ててコツコツ取り組む必要があります。季節ごとに受験期の過ごし方を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
- 春(4~5月):基礎を定着させる時期です。教科書の例題や基本問題を迷わず解けるように学習しましょう。英単語や古文単語、文法などの暗記ものは、早いうちから毎日コツコツ取り組んでください。
- 夏(6~8月):基礎固めの仕上げをする時期です。まとまった時間が取れる夏休みを苦手分野克服のラストチャンスと考え、秋以降に苦手分野を残さないようにしましょう。
- 秋(9~11月):これまでに固めた基礎力を活かして、志望校の過去問や応用問題、入試レベルの問題に積極的に取り組みましょう。できなかった問題は必ず繰り返し、できるようになるまで取り組んでください。大学入学共通テストの対策も並行して進めましょう。
- 冬(12月~):過去問を繰り返し解いて、総仕上げを行いましょう。本番と同様に時間を計測し、時間配分を意識して取り組むことが大切です。間違えた部分や不明点があれば、必ず教科書や参考書に戻って理解できるまで確認しましょう。
予備校で勉強する場合
金沢大学をはじめとする国公立大学の入試では、学習しなければならない科目が多く、大学入学共通テストと個別学力検査の両方の対策を行う必要があります。
そのため、独学だとスケジュール管理が難しいと感じる方も多いでしょう。気軽に質問できる人がいないと疑問点の解決にも時間がかかるうえに、モチベーションの維持も困難です。
これらのデメリットを解決して効率よく受験勉強を進めたい方は、予備校で学ぶことをおすすめします。
ただし、大人数を対象とする集団授業の予備校だと、授業のレベルが自分に合わないことも多く、かえって非効率になることもあります。
授業中に不明点が出てきても、理解するまで講師にその都度確認するのをためらう方は多いでしょう。
また、予備校の授業を聞いただけで理解したつもりになってしまい、いざ問題演習を始めると解けないこともあります。
四谷学院のカリキュラムのご案内
金沢大学に合格するため予備校に通いたいと考えている方には、ほかにはない「ダブル教育」を実施している四谷学院がおすすめです。
四谷学院のダブル教育は、科目別能力別授業と55段階個別指導で、志望校合格に必要な理解力と解答力を徹底的に高めます。
科目別能力別授業
四谷学院の科目別能力別授業は、志望校別ではなく科目別にクラスを編成します。「現代文は選抜クラス」「古文は基礎クラス」と科目別に細かくクラス分けすることで、自分のレベルに合った授業を受けられるため効率的です。
大人数クラスではないため質問も気軽にでき、仲間とともにモチベーションを高め合える環境です。
55段階個別指導
四谷学院の55段階個別指導は、受験に必要な知識を55のレベルに分け、中1レベルから志望校合格レベルまで段階を追って学べるシステムです。
過去問を分析して作られた55テストを受け、間違った点や理解が足りていない点は、その場で講師の個別指導を受けることができます。
問題を解いたあとにすぐ解説を受けられるため、短時間で効率よく学力を高めることができます。
金沢大学入試は志望学科に合わせた対策が重要!
【金沢大学の入試概要】
- 一般選抜、KUGS特別入試、超然特別入試、女子枠特別入試など、さまざまな選抜方法がある
- 偏差値は54~68で標準~やや難レベル
【金沢大学の入試データまとめ】
- 一般選抜における実質倍率は、1.6~2.2倍(2024年度)
【勉強方法まとめ】
- 学習しなければならない科目が多いため、長期的なスケジュールを立てて勉強に取り組む
- 個別学力検査で利用する科目は、受験問題集や過去問でアウトプットを繰り返し行い、記述力を高める
金沢大学の受験対策には、「ダブル教育」を行う四谷学院がおすすめです。効率的に理解力と解答力を高め、金沢大学への合格を目指したい方は、四谷学院の詳細をご確認ください。
※本記事でご紹介した情報は2024年12月26日現在のものです。最新の情報は大学公式ホームページにて必ずご確認ください。
失敗しない予備校選びは説明会・相談会参加が重要!
金沢大学に限らず、大学受験を成功させるには、予備校選びも重要なポイントです。
インターネットやパンフレットの情報だけで判断せず、実際に予備校へ足を運び、教室の雰囲気や授業の様子、講師との相性をチェックしたうえで入会を決めたほうがよいでしょう。
そのため、予備校の説明会・相談会には積極的に参加することをおすすめします。
以下の記事では、予備校の入学説明会に参加する際にチェックすべき点などをご紹介しています。ぜひ予備校選びにお役立てください。