【英語】時制を攻略!受験生のぶつかりやすい3つの壁

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こんにちは、四谷学院の田中です。
英文法の中で1番最初に学習する単元が「時制」ではないでしょうか?

私も1番最初に教科書で学んだ英文は“I am Tanaka.” (私はタナカです。) 使った現在形の文でした。

「時制」は一見理解するのに簡単な英文法のように見えがちですが、高校生になってもミスが起こりやすい単元でもあります。
今回の記事では様々な文法の中の「時制」に的を絞って、多くの生徒が感じた疑問を3つ紹介していきたいと思います。

そのミス、実は「時制」の理解が不十分だから?

「時制」を学んだ後、文型・助動詞・不定詞…と様々な単元を学んで行くことになりますが、どの単元で扱う英文においても「時制」が必ず伴っています。
つまり英文法の問題を解くとき、時制は理解した前提でその単元についても理解できているのかを確認する必要があります。

この「時制」を100%理解できてないがゆえに、例えば受動態の問題において<be+過去分詞>の形は理解できているのにbe動詞の時制の部分でミスを連発!
結果として「受動態」を苦手だと勘違いするという現象も起こってしまうんです。

(1)willとbe going toはどっちを使う?

同じ表現があると「どっちを使ってもいいんじゃないか?」「どちらも正解になるなら覚えなくてもいいのではないか?」と感じてしまうものです。
実際私も学生の時に、関係代名詞が全部thatで書いていいならといって、制限がないものはthatばかり記入していた記憶があります。

もっとも質問の多い表現の1つが
willとbe going to。
厳密にいうとこの2つは使う場面が異なります。空所補充の問題はもちろん、この違いを知っておくと英作文にも役立ちます。

まずは、結論としてwillとbe going toがどのような場合に使われるのかを確認しましょう。

will
①単純未来 ②意志未来
be going to
①予定・計画 ②予測に基づいた兆候

同じ<未来表現>でも全然言葉が違いますよね。
まずはwillについて①の単純未来とは本人が意図していなくても訪れる未来のことです。例えば来月に誕生日がきて~歳になるというようなものです。
②の意志未来はその時とっさにその人の意志で動く行動を表します。例えば電話が鳴った時に自分が出るよ!ということです。

一方、be going toはどうでしょう?
be going toには①予定・計画や②予測に基づいた兆候を意味します。例えば空が暗くなっているのを見て「雨が降りそうだね。」と予測に基づいて未来を表すときに使います。
どちらもあらかじめ予定していたり、その時の状況をくみ取って未来を予想しているわけですが、実はこのbe going toの形に注目すると、どうしてその意味が出てくるのか予想することができます。

どこかで見たことのある形ではないですか?

そうです、進行形の形ですね!
進行形はまさにその時進行している動作を表すものですがこの形を進行形の解釈で訳すと…

be going to do = ~する方向に向かって進んでいる最中

になります。未来に向かって現在もすでに進行していると考えれば、なぜbe going toがこのような意味になるのかなんとなく見えてきますよね。

このように一見全く同じ<未来>を表す表現でも、よくよく意味を見てみるとはっきりとした違いが見えてきます。
それぞれの言葉がどんな意味を持つのか、考えた上で英文を見ていくとより一層理解が深まります。

(2)「~した」なのに現在完了形?

“I have lost my watch. (私は時計を失くしました。)”
この文、「~した」なのに過去形では無いのはなぜ?

この質問は本当に多いです。
確かに「~した」という言葉は、私たち日本人の感覚からすれば一見過去に起こった話のように聞こえます。しかし英語では現在完了形において「~した」と訳すことがあります。それは、完了用法の時です。まずは現在完了形が一体いつの出来事を表すものなのかを確認しておきましょう。

図で示すように、現在完了形とは過去のある一時点から現在までの2点間の出来事を指します。過去に始まったことが現在においても継続・完了していることを示すのが現在完了形です。では、話題文の英文は一体どのような状況を示しているのでしょうか…?一緒に考えてみましょう。

 I have lost my watch.
この文は現在完了形が使われているので、状況としてはもちろん上の図に時が一致します。ということは、この文において「私」は過去のどこかで時計を失くし、なおかつ今も時計がない状態であることを伝えたいということですね。
「私は時計を失くしました」という文はもちろん過去形でも表すことができますが、現在完了形と何が違うのか、上記のことを学んだ気づいたでしょうか?
 “I lost my watch.” (私は時計を失くしました。)
→ 今はどうかここでは分からない。

“I have lost my watch.”(私は時計を失くしました。)
→ 今もない状態である。

まとめると上のようになります。同じ訳でも、時制が違うだけで伝えたいことが全く異なってしまうことがこの2つの文から分かりますね。このように英語では時制の形を変えるだけで伝えたいことをコントロールすることができます。
あなたも、その時制がどのような時を表すのか意識をして英文を見てみる習慣をつけましょう。

(3)「覚えること」と「理屈から考えること」

「現在完了形を作れない語句(yesterdayなど)が多すぎて覚えるのが大変です。全部覚えないといけないでしょうか?」

この質問もとても多くあります。
高校の英文法の中にはこのように特定の語句といった項目が度々出てきます。
今回取りあげる「現在完了形を作れないもの」のほかにも「進行形を作れない動詞」「あとに動名詞しかおけない動詞」など・・・。
そのような項目を見ると私たちはつい、これらの単語を覚えないといけない!と感じてしまいがちです。しかし英語には覚えなければならないことが他にもたくさんあります。単語はもちろんイディオム、文法の形・・・全部覚えていかなきゃ!となると、キャパオーバーしてしまいます。

大事なのは、覚えなければならないことの中から
「本当に覚えなければならないこと」と「覚えなくても理屈を理解できていれば考えてわかるもの」を区別して、暗記項目を絞り込んでいくことです。

そして時に、暗記だけをしているとリスクを伴うことさえあります。それがまさに今回のケースです。

さて、そもそもなぜyesterdayなどの語句は現在完了形を作らないのでしょう?さっきの図で現在完了形を表す時を復習しましょう。

でしたね!
現在完了形は過去―現在の2点間のお話をしなくてはなりません。
ところがyesterdayを使った以下の文はどうでしょうか?

“I played soccer yesterday.”
この文は過去―現在の2点間の出来事を表しているでしょうか?違いますよね、この文では昨日だけのお話、まさに過去の1点の出来事でしかありません。ということで、現在完了形を作らないわけです。

現在完了形を作らない語句=過去1点の話を表す語句
と、いうことですね!

ではここで、「現在完了形を作れない語句」を暗記だけしているとなぜリスキーなのでしょう?
下の文を見てください。

“I have had cold since yesterday.”
(私は昨日から風邪をひいている。)

この文には”yesterday”という語句が使われているのになぜか現在完了形です。
なぜでしょう?

もう分かりましたね!
この文は、「昨日から風邪をひいていてなおかつ今も」というように過去―現在の2点間のお話をしているので”yesterday”という言葉があっても現在完了形を作れることになります。

どうして現在完了形を作れないのかを理解せずに、ただ単語だけを暗記してしまうと、ある文では間違いが起きてしまうという危険性が伴います。
あなたもこの機会にぜひ「どうして?」と疑問を持って英語を理解していきましょう。

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