こんにちは、四谷学院の国語担当、田中です。
今回は、一橋大学の二次試験、国語の問題で特徴的な「要約問題」について、どんな対策をしていくべきなのか、詳しく見ていきます。
早速、要約問題対策について、一橋大学を第一志望にする受験生と先生とのやり取りをご覧ください。
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一橋大に合格するために対策したい!国語「要約問題」の特徴(この記事です)
一橋大国語 丸ごと要約!?
生徒
う~ん……。
先生
どうしたんだい、ずいぶん悩んでいるようだね。
生徒
あっ、先生。そうなんですよ。悩んでるんです。一橋大の過去問を確認したんですけど、国語の問題3が大問まるごと要約なんですよ。でも、要約っていったい何をどうすればよいのか、全然わからなくって…。
先生
そういうことだったんだね。要約って、国語の練習として大事だということはよく言われるんだけど、こつこつ取り組んでいる受験生って割と少ないんだよね。頻出問題というわけでもない。そういった意味で、たしかに取り組みにくいよね。
生徒
そうなんですよ。そもそも要約をあまりしたことがなくって、困ってるんです。
先生
ところがね、一橋大の問題3の文章って、意外にも標準的な難易度なんだ。「難しくてまったく読めない」とは感じないだろう。また、量も標準的か、年度によっては一般的な入試問題よりやや少ないこともある。つまり、課題文を読むこと自体は、そこまで大きな壁ではないんだ。だから、要約のポイントさえおさえてしまえば…。
生徒
何とかなるかもってことですね…!
先生
その通り。というわけで、一橋大学国語の「要約問題」のポイントを確認してみよう。
生徒
はいっ!
一橋大学国語 要約のポイント
先生
要約のポイントは、大きく以下の3つだ。
「要約のポイント」
①枝葉を削ぎ落とす
②必要に応じて再構成する
③表現を整える
先生
ひとつずつ、具体的にみていくよ。
では早速、①からいってみよう。さっき「枝葉」と表現したが、文章の根幹に対して、どうしても必要ではない部分と考えればよい。
では早速、①からいってみよう。さっき「枝葉」と表現したが、文章の根幹に対して、どうしても必要ではない部分と考えればよい。
生徒
それって、どんな部分でしょうか。
先生
およそ次の6点だと考えるとよい。
イ 具体例や引用
ロ 同内容の反復
ハ しかし系/つまり系の前半部分
ニ 否定的表現
ホ 細かな修飾表現
ヘ 主題にあまり関係しない部分
ロ 同内容の反復
ハ しかし系/つまり系の前半部分
ニ 否定的表現
ホ 細かな修飾表現
ヘ 主題にあまり関係しない部分
生徒
おおっ、こうして明記されると、何を意識すればよいのかわかりますね。
ん? でも先生、ニの「否定的表現」って何ですか?
先生
ああ、これね。一言で説明するのが難しいからこう書いたんだ。いい質問だね。
例えば、私が持っているこの物体について今から説明をする。よく聞いてて。
例えば、私が持っているこの物体について今から説明をする。よく聞いてて。
生徒
はい。がんばります。
先生
これは、チョークではありません。ライオンでもありません。ニンジンでもない。
生徒
…。
先生
コーヒーでもないし、スマホでもない。自転車でもない。
生徒
……。
先生
何だか少しイラっとしてない?
生徒
すいません、してます。「じゃあ何なのか、早く言ってよ」って感じです。
先生
それなんだよ。「××ではない」という説明をどんなに読んでいても、肝心の何なのかがわからないよね。私たちが欲しいのは「○○だ」なんだ。
生徒
あ、そうか!「××ではない」という「否定的表現」は、必ずしも必要な説明ではないってことですね。
先生
その通り。私がこの手に持っているのはペンだから、「これはペンだ」で済むわけだ。文章ではそれを他との差異によってわかりやすくするために「××ではない」みたいな表現をすることはあるが、無くても問題ないよね。
ただし、「××」と「○○」が対比を成していて、それが文章全体の論旨になるならば、それは読み取っておいた方がよい。
生徒
けど、そうでなければ削ぎ落としてよい、ってことですね?
先生
その通り。
で、ちょっと補足なんだけど、イ~ヘはあくまでも目安だと思ってほしい。生きた文章においては、これらが機械的にあてはまらないことも往々にしてある。それはやはり、多くの文章にふれて経験を積んでほしい。
で、ちょっと補足なんだけど、イ~ヘはあくまでも目安だと思ってほしい。生きた文章においては、これらが機械的にあてはまらないことも往々にしてある。それはやはり、多くの文章にふれて経験を積んでほしい。
生徒
な~んだ、やっぱりそうか。大変だなあ。
先生
とはいえ、イ~ヘの方針をもっておくと、かなりやりやすくなる。実際に私も、常にこれを頭に置きながら①をクリアしている。ぜひ試してみてほしいんだ。
生徒
先生も実践しているんですね。心強いです。やってみます。
一橋大学の文章は標準的な難易度
先生
いいね、その心意気だ。では、次に②。
生徒
「必要に応じて再構成する」ですね。これ、どういうことですか?
先生
文章には、筆者が必要だと思う要素が盛り込まれている。そしてそれらが、最適な順番で構成されている。A・B・C…と要素があったとして、それをA→B→C…と構成していく感じだ。その「最適」の基準はもちろん、読者にとっての読みやすさだ。
生徒
ふんふん。
先生
ところが、筆者が考える読みやすさと読者の感じる読みやすさとが、かみ合わないこともある。「最適」のものさしが筆者と読者で違ってしまうんだね。
生徒
それって、どんな文章ですか。
先生
例えば、A→B→A→C→B→A→B…みたいな感じかな。
生徒
うわっ、面倒くさいですね。
先生
だけど、それをそのまま要約にしたのでは、おさまりが悪いし、そもそも要約として成立しない。だから、再構成する必要があるんだ。
生徒
そうか、まず必要な要素A・B・C…と抽出して、それをA→B→C…と構成し直すってことですね?
先生
そうなんだ。冴えてるね。
生徒
やったー、ほめられた。でも、これ、けっこう大変ですよね。
先生
大変なんだよ。けれど、そこで冒頭で言ったことを思い出してほしい。
一橋の文章は、意外と標準的な難易度なんだよ。つまり、再構成はほとんど必要ないんだ。いくつかの要素がぐるぐると行ったり来たりすることの少ない、比較的平明な論理展開であることが実に多いんだ。
一橋の文章は、意外と標準的な難易度なんだよ。つまり、再構成はほとんど必要ないんだ。いくつかの要素がぐるぐると行ったり来たりすることの少ない、比較的平明な論理展開であることが実に多いんだ。
生徒
ホントですか?それは助かるな~。じゃあ、②の視点はもはや不要ですね。
先生
いや、視点自体はもっておいた方がいい。毎年必ず同じ傾向とは限らないからね。②のチェックポイントを意識したうえで、不要ならばそれでよし。必要とあらば再構成をしよう。
生徒
わかりました。
要約には豊富な語彙も必要
先生
ちなみに、ちょっと寄り道をすると、一橋の文章が標準的な難易度といえる点がもうひとつある。ネタだ。「人間の成熟」とか、「英語教育」とか、身近な話題であることが多い。具体例も適度に存在するため、イメージがしやすい。そう思えるだけで、心理的なハードルが下がるだろう?
生徒
たしかに。ちょっと気持ちが楽になりました。じゃあ、この調子で③お願いします。
先生
OK。「表現を整える」だね。まず、適切な語彙を選択できているか。その言葉で伝わるか。
生徒
その言葉で伝わるか…?
先生
記述の初心者に多いんだけど、文章の中から必要な要素を抽出したものの、その表現を切り抜いて貼り付けているだけで、何を言いたいのかわからない、ということがよくあるんだ。その時に、伝わる言葉を頭の中から選択することが必要になってくる。
生徒
なるほど~。ってことは、採点者に伝わるかという視点と、豊富な語彙力が必要ってわけですね。ひえ~、こりゃ大変だ。
先生
そうだね。ただ、コツコツと続ければ確実に力がつくから、大丈夫。
生徒
はい、地道にやっていきます。
指示語や接続詞にも注目
先生
うん、その調子。また、必要な要素同士を適切につなぐことができているか。つまり指示語や接続詞をうまく使えているか。さらに、主述のねじれはないか。語句の係り受けに不備はないか。主語や目的語を過剰に省略していないか。などなど、適切な日本語表現になっているかのチェックが必要だ。
そこまでクリアして、要約は完成する。
そこまでクリアして、要約は完成する。
生徒
う~ん、ひょっとするとこれ、自力じゃ無理ですよね?
先生
よく気づいた!実は、そこがいちばん大事だと言ってもいい。
信頼できる第三者に必ず見てもらって、それで初めて自他ともに認める要約ができるんだ。私のところにもよく生徒が「添削してください」って来るんだけど、どんなに自信満々の生徒でも、かなり修正箇所が見つかる。
信頼できる第三者に必ず見てもらって、それで初めて自他ともに認める要約ができるんだ。私のところにもよく生徒が「添削してください」って来るんだけど、どんなに自信満々の生徒でも、かなり修正箇所が見つかる。
生徒
え~、きびしい!
先生
それは、その生徒に実力がないのではなく、自分じゃ気づかない穴が必ずあるってことなんだ。
生徒
あ、そういうことか…
先生
だから、安心して。学校や塾、予備校の先生をフル活用しよう。
生徒
わかりました。先生と二人三脚でやっていくってことですね。じゃあ、先生、私の添削よろしくお願いしますね!
先生
よし!いつでも持ってきなさい!!
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