一橋大学の国語対策「近代文語文」とは?

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こんにちは。四谷学院国語担当、安藤です。
今回は、一橋大学「国語」問題2の「近代文語文」について、生徒と先生のやり取りを通して解説していきます。一橋大学の入試問題にはどんな傾向があり、どのように学習を進めればよいのでしょうか。さっそく見ていきましょう。

 

一橋大学入試の特徴「近代文語文」とは?

生徒
生徒
うわあ……、何だこりゃ。
先生
先生
どうしたんだい?何だか困っているようだね。
生徒
生徒
はい、そうなんです。一橋大学の国語の問題2なんですけど、何ですか、これ?
先生
先生
ああ、これね。「文語文」っていうんだよ。
生徒
生徒
ブンゴブン?
先生
先生
そう、文語文。簡単に言えば古文で見かけるような、昔の文章のことだね。
生徒
生徒
たしかに現代文じゃないことはわかるんです。古い文体ですよね。けど、そのわりにカタカナ語や現代語も使われてるんですよ。
先生
先生
実はそれが、一橋大学の文語文の特徴なんだ。
生徒
生徒
え?
先生
先生
「文語」といえば、一般的には受験古文のように平安時代あたりを土台としているんだけど、一橋大学の文語文は、明治時代のものから出題されているんだ。「近代文語文」とも呼ばれているね。
生徒
生徒
そっか、江戸時代後半から西洋の文物がどんどん入ってきて、一気に近代化が進んだから!
先生
先生
そうなんだ。それとね、文体という点ではもうひとつ特徴がある。
生徒
生徒
もうひとつですか?
先生
先生
それはね、漢文の訓読体が多用されているという点なんだ。
生徒
生徒
訓読体っていうと、つまり書き下し文ってことですよね?
先生
先生
そのとおり。
生徒
生徒
ってことはですよ、先生。一橋大学の近代文語文を読み解くためには、古文と漢文の両方の読み方ができなければいけないってことですよね?
先生
先生
そうなるね。
生徒
生徒
えええ~~~~

一橋大学「近代文語文」の難易度は?

生徒
生徒
それって、大変すぎやしませんか?できるかなあ…。
先生
先生
あまり心配しなくていい。というのも、いわゆる一般的な受験古文・受験漢文に比べると、語彙・文法・句形・知識といった面では、かなり易しいレベルだ。共通テストである程度の得点ができる生徒ならば、古文・漢文という視点での特別な対策はむしろ不要なくらいだ。
生徒
生徒
へ~、そうなんですね。意外と読み進められる気がするけど、うーん、でもやっぱり難しく感じるなあ。
先生
先生
なかなかいい気づきだと思うよ。
生徒
生徒
え?「やっぱり難しい」が気づきですか?
先生
先生
つまりね、現代語に変換できたところで、内容そのものがややとっつきにくいんだ。
生徒
生徒
そうですよね!難しいです!
先生
先生
さっき、キミ自身が指摘したように、一気に近代化が進んだ時代背景がカギなんだ。
生徒
生徒
時代背景…。
先生
先生
うん。明治というのは、これまたキミが述べたように、西洋の文物が大量に流入した時代だ。このことは、日本にさまざまな化学反応をもたらした。
生徒
生徒
ふんふん。
先生
先生
なかでも、一橋大学の文章に多いのが、2つのタイプなんだ。
まず、社会の急激な変化に対して、それでもなお揺るがない本質・真理を指摘しようとするタイプ。これをタイプAとしよう。もうひとつは、逆に、その変化を利用したり対応したりしようと指摘するタイプ。これをタイプBとする。

先生
先生
この2つのタイプが、個人または社会いずれかの側面で述べられる。
生徒
生徒
ってことは、個人A・個人B・社会A・社会B、という4つに分類できる…。

先生
先生
そうなるね。もちろん、スパッとキレイに分けられるわけではないんだけど、それでも何の目安も無いよりは、はるかに取り組みやすくなるはずだ。実際に私も、「ああ、今年度は社会Aだな」なんていう感じで、文章を確認している。
生徒
生徒
いやあ、目から鱗ですね。
先生
先生
よかった。それとね、もう1つ。これも頭に置いておくといい。
大げさな比喩が多いのも、一橋大学の近代文語文の特徴なんだ。しかも、堅苦しいかしこまった表現であることが多い。
生徒
生徒
へえ!それも、明治という時代が原因なんでしょうか。
先生
先生
まあ、それは分からないが、この特徴を逆手に取ることはできるよね。つまり、そんな表現を見かけたら、大真面目に付き合わず、軽くシンプルに捉えることだ。ちょっとした小技だが、意外と読みやすくなる。
生徒
生徒
良いこと聞きました。試してみます。
先生
先生
あとね、ちょっと補足なんだけど、年度によっては近代文語文ではなく、古文が出題されたこともある。また、現代文のなかに古文が引用されたこともある。
生徒
生徒
となると、一般的な受験古文の対策もしておいたほうがいいんですね。
先生
先生
そうだね。ただ、共通テストで古文を使うから、その延長で考えておけばよいはずだ。
生徒
生徒
わかりました。

一橋大学「近代文語文」の対策方法

生徒
生徒
先生、近代文語文って、そんなに類似問題が無いと思うんですよ。どうやって類題を探せばよいでしょうか。
先生
先生
よしわかった。じゃあ、いくつか候補を紹介しておこう。
生徒
生徒
お願いします!
先生
先生
まずは、早稲田大学の文化構想学部だ。毎年必ず出題されており、形式も一橋大学のそれに非常に近い。
生徒
生徒
はい。
先生
先生
また、京都大学は2002年度までは毎年出題されていて、それ以降も年度によっては出されている。手に入れられればやってみるといい。
生徒
生徒
はいっ。
先生
先生
さらに、当時の文章を実際に読んでみるのも非常に勉強になる。
例えば、福沢諭吉の「学問のすすめ」。明治維新を経て近代化を余儀なくされる激動の時代に、日本人がどうあるべきかを説いた大ベストセラーだ。それと、森鴎外なんかも読むといい。「舞姫」などは、忙しい受験生でも、短時間で読めるはずだ。物語を楽しみながら、近代文語文に親しむことができる。
生徒
生徒
へ~、どれも聞いたことはあるタイトルですね。早速読んでみます!
先生
先生
いいね、その調子だ。近代文語文の出題は、受験国語全体でみると、かなり数が少ない。だから、過去問をひとつずつ大切に使おう。ひとまず時間内に解いてみたら、その後ていねいに現代語訳をしてみよう。訳出できない部分が、自分にとっての穴だ。その穴が、語彙によるものなのか、文法や句形なのか、はたまた当時の時代感をつかめていないのか、自己分析をすることが重要だ。
生徒
生徒
わかりました。勉強の方向性が見えてきた気がします。

まとめ「一橋大学の国語対策「近代文語文」とは?」

今回は一橋大学の入試から、近代文語文の対策について解説しました。過去問題に取り組むことで、志望大学の入試で頻繁に出題されるテーマや内容を確認し、大学側が受験生にどのような能力を求めているのかを知ることができます。そのうえで勉強を進めれば、効率的に対策を進めることができますね。

一橋大学の「要約問題」についてはこちらの記事を参照になさってください。

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