学力が高いだけでは受からない!?志望校合格をつかむ3つの絶対条件

この記事は約9分で読めます。

2022年も残すところあと1か月半。年が明けると2週間後にはもう共通テスト本番を迎えます。
受験学年の人はもちろん、高1・高2生も「受験までちょうどあと○年」という自覚が生まれ、より一層勉強に身が入り始める人も多いでしょう。

しかし、ただやみくもに勉強時間を増やすだけでは、期待しているほど成績は上がりません
そこで今回は、受験本番までの残り期間を無駄に過ごしてしまうことがないよう、志望校合格のために何をしておけば良いのかを確認していきましょう。

志望校に合格する人≠「学力が飛びぬけて高い人」

自分が志望校合格を勝ち取るのに必要なものは何か?」と聞かれたときに、あなたならどう答えるでしょうか。
筆者のこれまでの経験では、「高い学力」と答える生徒が圧倒的多数でした。もちろん、そもそも一定の学力がなければ、目標とする大学に入ることは難しいでしょう。
ただ、それと同じくらい重要なのが「その学力を本番で発揮するための準備」です。

本番で実力を発揮するのは難しい

スポーツでは、いわゆるジャイアントキリング(番狂わせ)がしばしば起こります。明らかに片方のチームの方が高い能力を備えたスター集団であっても、そちらが必ず勝つとは限りません。個人競技でも、前回の王者が勢いのある若手選手に敗れる…というシーンを、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
つまり、持っている能力だけで試合結果が決まるわけではないのです。「条件」「コンディション」「運」など、様々な要素によって結果が大きく左右されるのは、スポーツの醍醐味とも言えます。

これは勉強でも同じこと。ある模試では志望校の判定がD判定だったのに、同時期に受けた別の模試ではA判定だった…というのは珍しいことではありません。
難問にあたっても、直近で解いた問題に似ていてスラスラと解法が思い浮かぶこともあるでしょう。反対に普段なら間違えないような易しい問題でも、いざ模試やテスト本番となると、落ち着いて考えられずに間違えてしまうこともありますよね。
それだけ、大事な本番で実力を100%出し切るというのは難しいのです。

勝負強い人になる

では、がんばって鍛えてきた実力を、本番で最大限発揮するには、何が必要なのでしょうか。

本番で自分の実力以上の力を出す人に対して、スポーツなどではよく「勝負強い人」という表現が使われます。
ここで言う「勝負強い人」というのは、「実力を発揮するための準備ができている人」のこと。「勝負強さ」は、生まれつき決まっている先天的なものではなく、訓練をすることで鍛えられる要素なのです。
あなたも受験を迎えるまでに、「勝負強い人」になるための準備をしていきましょう!

実力を発揮できない人の特徴

実力を発揮するための準備を行うにあたって、まずどのような要素がその妨げになるかを確認する必要があります。改善する方法と併せてチェックしていきましょう。

緊張

単純にして最大の敵となるのが、本番特有の緊張感です。試験時には解けなかった問題を後から解き直してみると、『なんだ、落ち着いて考えたらこんなに簡単な問題だったのか』と、緊張が失点の原因だと実感した経験は誰しもがあるでしょう。

人間には、内臓や代謝といった体の機能をコントロールする「自律神経」があります。自律神経には、体の活動性を生みだす交感神経と、休養モードにする副交感神経の2種類があり、自動車のアクセルとブレーキのような関係で、私たちの体をコントロールしています。
緊張とは、そのアクセルの役割である交感神経が普段よりも活発になり、体や心が興奮している状態のこと。長時間の負担や過度な緊張はもちろん避けた方が良いですが、実力を最大限発揮したいとき、むしろ緊張というのは欠かせない要素なのです。

「ヤーキンズ・ドットソンの法則」という心理学の基本法則でも、「一定の緊張を与えた状態の方が、パフォーマンスは向上する」とされています。『緊張しないようにしなきゃ』と思うのではなく、『緊張とうまく付き合っていこう』と考える方が良いですね。

改善方法

自分のことを「緊張しやすい」「勝負弱い」と感じている人は、緊張(ストレスやプレッシャー)に慣れていないことが原因かもしれません。普段から本番を意識して勉強する時間をつくるようにすると良いでしょう。

【対策例】

・周りに人がいる環境で自習する。
⇒試験本番は個室ではなく、周りにも受験生がいて、ペンを走らせる音が響きます。自宅が一番集中して勉強できるタイプの人も、「本番と同様の環境で集中する」練習はしておくべきでしょう。
四谷学院では、ブース式の自習室だけでなく、空き教室を自由席自習室として開放しています。試験会場さながらの雰囲気で、問題演習を行うことができますよ。

時間制限

「家でゆっくり解き直してみたら、解けるはずの問題があった」という反省は、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。勉強に限らず、焦った状態で何かを判断すると、思わぬ失敗をしてしまうことが多いです。また、単純に時間が足りず、すべての問題に目を通せなければ得点は伸びません。

読む・書く・解くスピードをアップするには、普段から時間制限を意識して練習することが不可欠です。
学校の課題や塾の予習で問題に取りかかる際、『○分以内に解こう!』と事前に設定してから解き始めていますか?
実際の入試では、「大問1は5分、大問2は12分を目安に解きましょう」という案内はもちろんなく、自分で時間配分を決めなくてはいけません。

合格する人は、問題を解き始める前にざっと全体に目を通し、おおよその時間配分と難易度をイメージした上で、取りかかりやすい優先順位の高い問題から手をつけていきます
そうすると、最後に残っているのは自分が時間をかけても解きづらい問題になるため、もし時間が足りなくなってしまった場合も、制限時間内に取れる最大限の得点が期待できますね。

改善方法

練習のときにやっていないことを、本番でいきなりできるようにはなりません。普段から試験本番を意識して、実戦に近い形で勉強を進めていきましょう。

【対策例】

・解き始める前に、大問やページごとの解答時間について目標を設定する。
⇒英語の長文読解や数学の計算問題などを解く際は、全体に目を通した上で大問ごとに『○分以内に解く!』と目安を決めてから始める癖をつけましょう。
ここで自分のイメージする所要時間と実際にかかる時間のギャップを確認しておくことで、自分がどういう問題に時間がかかってしまうのかを確認できます。

イレギュラー

過去問練習を徹底的に重ねてきた受験生ほど陥りやすいのが、出題形式が変わった年に対応できないケースです。
2021年度入試からセンター試験が共通テストへ変更されたように、求められる学力や要素は年々少しずつ変わっていきます。そのため、私立入試や国公立の二次試験においても、自分が受験する年に大幅な出題内容や形式の変化が生じる可能性も低くありません。
試験会場で問題を開いたら、形式や出題内容が、過去問を解いて想定していたものと違う…想像するだけでもゾッとしますよね。

ところが、合格する人は「出題形式が変わっていたらチャンス」だと考えます。なぜなら、合格するために必要な基礎力が身についている人ほど、様々な出題形式に対応できるからです。

過去問を解いていると、その大学が好んで出題する範囲や単元がある程度見えてきます。もちろんその傾向が変わらずに出題されることもあるため、過去問を分析して準備することも大切です。

たとえば学校の定期テストでも、出題の範囲や傾向がわかっていれば、短期間の勉強であっても少しは点数を上げることができますよね。
ただし、絞った勉強を行ってしまうと、出題範囲が変わった際に対応できません。
反対に、各科目の基礎をしっかり固めておくと、英作文や長文読解、空所補充など出題の形式が変わっても、初見の問題を解くための土台が身についています。

よって、基礎力が完成している人ほど、不測の事態が生じたときに周りのライバルと差をつけることができるのです。

改善方法

入試本番で結果を出すためには、範囲を絞って対策をするよりも、その科目の基礎から順番に力をつけていきましょう。学校の定期テストとは異なり、出題形式が変わらない保証はありません。

【対策例】

・基礎力を固めていく
⇒受験勉強というのは、志望校に合格する確率を高めていくための工程です。
模試でどれほど高い偏差値をマークしている受験生でも、正答率が高い問題でミスすることがあります。
たとえばクイズ番組において、普段は難問を答えて活躍しているプレイヤーが、自分でも知っている問題を答えられなかった…というシーンを見たことはないでしょうか。
誰にでも抜けている部分や苦手にしている項目があり、その範囲をなるべく狭めていくのが、受験勉強なのです。

学校の小テストであれば、「ヤマを張る」経験をしたことがある人もいるでしょう。ただ、それは「外れても後で取り返しがつくから」ですよね。
人生の中でも非常に重要な岐路となる大学受験において、運だけに頼るのは非常に危険だということは忘れてはいけません。
範囲を絞ってただ覚えるのではなく、どんな問題にも対応できるよう、基礎力を固めていきましょう。

・心構えをしておく
⇒先に挙げた共通テストですが、2022年度入試は前年と比べて非常に点の取りづらい試験となりました。数学はⅠA・ⅡBともに15点以上、生物は20点以上も平均点が下がり、国公立受験で必要になる5教科7科目で見ると、文系・理系のどちらも50点近く下がっています。
実際に受験した卒業生たちに話を聞いても、『過去問と形式が違っていて慌ててしまった』『特定の科目でつまずき、それ以降の科目にも引きずってしまった』という声が多数ありました。

ただし、難易度が高くなり平均点が下がるということは、入試で求められるハードルも下がるということ。これはトップ層も例外ではなく、東京大学の2022年度合格者最低点は、どの学類も昨年度から5%ほど低い得点率となっています。

つまり最も重要なのは、「自分が難しいと感じるような問題は、周りの受験生も同様に難しいと感じている」というのを忘れないことです。
形式が例年と違ったり、難易度が上がったりした場合は、自然と全体の得点率も下がります。
思うように解けなくても次の科目に切り替える、過去問と同じくらい解けたときは「ライバルに差をつけることができた!」と前向きに考えることが、合格をつかみとるのに重要なポイントと言えるでしょう。

・志望校の出題傾向を調べておく
⇒ここまでの内容と反するようですが、事前に対戦相手のことを調べておくのは大切です。出題形式が変わらないことも多いですし、変わったとしてもその大学が求める学力というのは大きくブレることがありません。
ただし、一部にのみ全力を注ぐのではなく、優先順位をつけて対策を行っていきましょう。

志望校に合格する3つの絶対条件

ここまで、実力を発揮できない人の特徴として、「緊張」「時間制限」「イレギュラー」について確認しました。
つまり、裏を返せばこの3つの要素をクリアしたときに、志望校の合格がグッと近づいてきます。

よく耳にする、『勉強の「質」を高める』とは、教材を厳選したり演習時間を増やしたりすることではなく、勉強する際の意識を高めるということなのです。
受験本番が迫ってくるのにつれて、誰もが勉強時間を増やしていきます。そうなると、勉強の「量」だけで差をつけることは非常に難しくなってしまいますね。
この3つの条件についてしっかりと意識した上で対策を重ね、ライバルに負けず志望校合格をつかみ取りましょう!

タイトルとURLをコピーしました