大学の難易度を示す指標としてよく用いられるのが“偏差値”です。
大手予備校などが発表する偏差値ランキングと自分の模試の結果を比較して、一喜一憂している受験生も多いかもしれません。
たしかに、偏差値は志望校選びの参考になるものです。しかし、偏差値の役割はそれだけではありません。うまく活用すれば、より有利な受験戦略を立てることも可能になるのです。
この記事では、偏差値に振り回されないための、偏差値の正しい利用方法を紹介します。
目次
そもそも偏差値とは?点数や順位との違い
最初に、偏差値の定義を正しく理解しておきましょう。
偏差値=ある母集団内での立ち位置を知るためのもの
偏差値は、“ある母集団内における自分の立ち位置(=実力)を知るためのもの”です。別の言葉で表現すると、“自分の持つ実力が平均から見てどれくらいなのかを把握するためのもの”ということになります。
そして模試の場合、獲得した点数が平均点と同点であれば“偏差値=50”となります。
平均点より高得点であれば偏差値は50より高い値に、平均点より低ければ50より低い値になります。
点数や順位では自分の立ち位置がわからない!
受験における立ち位置を知るだけなら、「点数や順位でも良いのでは?」と思うかもしれません。
しかし、高得点=成績優秀という図式は必ずしも成り立ちません。
高得点を獲得しても模試を受けた母集団全体の平均点が高ければ、偏差値が50以下になる可能性があります(例1:A模試の場合)。
逆に平均点が低ければ、高得点を獲得しなくても偏差値が50を上回る場合もあるのです(例1:B模試の場合)。
例1
A模試:100点中80点獲得/平均点=90点→偏差値<50
B模試:100点中50点獲得/平均点=30点→偏差値>50
一方、順位も自分の立ち位置を把握するためには不十分です。それはなぜなのか。こちらも具体的な例を見ていきましょう。
例2:
1回目の模試:受験者1,513人中、順位が321番だった。
2回目の模試:受験者1,622人中、順位が344番だった
このような場合、1回目に比べて2回目の成績が上がったのか下がったのかよくわかりません。たとえ獲得した点数や平均点などの要素を加味しても、模試を受けた母集団内における自分の立ち位置を正確に把握するのは困難でしょう。
しかし、偏差値を利用すればこれらの不便は解消できます。大学受験において、順位でも点数でもなく偏差値が重視されるのは、“偏差値=受験生の実力をわかりやすくあらわす値”だからなのです。
偏差値を見るときの注意点
もっとも、偏差値で示されるのはあくまで実力の目安です。
模試の種類や受験者の母集団によって、偏差値は大きく変化します。そのことを知っておかないと、足元をすくわれることになります。
たとえば、全国規模で実施される模試で偏差値が高くても、限られた母集団を対象とする大学別模試(例:東大模試など)では思うように偏差値が伸びないケースは珍しくありません。このように、母集団の平均レベルが著しく異なる場合、偏差値を比べること自体が無意味です。
また、「偏差値が変わらない=力がついていない」と考えるのも間違いです。
受験が近づけば近づくほど、全体のレベルはどんどん上がっていきます。偏差値が変わらないということは、自分もまわりと同じように力がついている証拠です。がっかりする必要はありません。偏差値を維持している自分に自信を持ちましょう。
偏差値がわかれば、自分に何が足りないのかが見えてきます。今の実力と志望校合格に必要な実力との差もわかってくるでしょう。結果をもとに次のステップに活かすのが、偏差値の正しい利用方法です。
偏差値を見るときの注意点
では、偏差値を大学受験に活用するにはどうすれば良いのでしょうか。大切なのは、偏差値が変化した理由をきちんと探ることです。
たとえば、「苦手分野の出題が多くて偏差値が下がった」という場合であれば、まずは苦手分野の克服が最重要課題となります。
「成績にムラがある」という場合には、その分野の基礎固めが不十分なのかもしれません。常に偏差値が低い場合は、その科目自体が苦手という可能性もあります。
大学受験では、苦手科目をいかに底上げするかが大きな課題となります。そのため、偏差値で自分の苦手分野を知ることは、受験戦略を立てるうえでも非常に重要です。
逆に、偏差値を利用して得意科目や有利な試験形式(例:マーク形式が得意など)に気付くこともできるでしょう。
偏差値に振り回されない力を身につけよう!
偏差値は、受験生の実力をわかりやすくあらわす値といえます。
しかし、偏差値が示すのはあくまで現時点における実力の目安です。受験直前まで実力は伸び続けるため、偏差値が志望校の合格予想ラインに届かなくても落ち込む必要はありません。大切なのは、試験当日に実力を発揮することです。
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