こんにちは。四谷学院の奥野です。
大学受験では、いろいろな数字が出てきますよね。よく見るのが「偏差値」です。
ただ、偏差値についてはいろいろな場面で話題になるので、「こんなもんかな?」程度のイメージはあると思います。
それよりも、受験生が意外に正しく理解していないのが「定員」や「倍率」です。
実は、「定員が少ない・倍率が高い=合格しにくい」という式が必ずしも成り立たないこと、知っていますか?
「えっ!マジで?」と思った人は要注意。でも、大丈夫です。今からしっかり理解しておけば、志望校選びで失敗することはありません。
今回は、「今さら恥ずかしくて聞けない!大学受験にまつわる「数字」の意味」について解説します。わかりやすい説明動画もありますので、ぜひ参考にしてください。
目次
大学の募集人員(定員)とは
どの大学に出願するかを真剣に考えていると、偏差値以外にもいろいろな数字が気になってくるはずです。例えば、大学の募集人員……。
しかし、実際の合格者数はなんと96名!
つまり、定員の20倍近くが合格になっているんです。
もう一つ例を。
明治大学の理工学部機械工学科(前期日程3教科方式)の共通テスト利用入試は、同じく定員が5名ですが、合格者数は200名です。
こちらは定員の40倍もの人が合格している計算になります。
こんな数字を見ると、「定員って何だろう……」と思ってしまいますよね。
このように共通テスト利用の私大入試では、定員をはるかに超える合格者を出すケースが多く見られます。
これは、難関国公立大学を第一志望とする受験生が、安全校確保のために共通テスト利用入試で出願する場合が多いためです。
そして、そのような受験生は共通テスト利用入試で合格していても、第一志望校に合格すればそちらに行ってしまうため、実際に入学する人の数は少なくなります。
だからこそ、大学側も「定員の20倍近い96名を合格としても、入学辞退者が相当数出るだろう」と考えて、かなり多めに合格させるんですね。
つまり、「定員はさほど重要ではない」ということになります。
倍率には2種類ある?
定員以外に気になる数字が、「倍率」です。
「この大学は倍率が高いから、ちょっと無理そう……。」
「あの学部よりこの学部のほうが倍率低いから、こっちに出願しようかな。」
倍率を気にして出願校を考える人も多いのではないでしょうか。
さて、この倍率ですが、実は2種類あるのを知っていますか?
ここからは、2種類の倍率の意味と違いを見ていきましょう。
志願倍率
一つ目の倍率は、「志願倍率」です。
志願倍率は、以下のように計算されます。
「志願倍率=志願者数÷募集人員(定員)」
志願者数とは、単純にその大学・学部・学科に出願した人の数です。
「願書の総数」というほうがわかりやすいかもしれませんね。当日欠席した人数などは考慮されず、欠席者も志願者数にカウントされます。
募集人員は、先ほどの青山学院大学や明治大学の例でいうと約「5名」で公表されていた数です。
では、上の式で2022年度の青山学院大学文学部史学科(共通テスト利用入試)、明治大学理工学部機械工学科(共通テスト利用入試・前期日程3教科方式)の志願倍率を計算してみましょう。
青山学院大学:文学部史学科(共通テスト利用入試)
(志願者数:505名)÷(募集人員:5名)=101倍
明治大学:理工学部機械工学科(共通テスト利用入試・前期日程3教科方式)
(志願者数:658名)÷(募集人員:5名)=131.6倍
この数字だけ見ると、合格はほぼ不可能に思えてきますよね。
実質倍率
もう一つの倍率は、「実質倍率」です。
実質倍率は志願倍率とは異なり、実際の合格倍率をあらわします。実質倍率の算出方法は以下のとおりです。
「実質倍率=受験者数÷合格者数」
それでは、志願倍率が100倍を超えていた上記2大学の実質倍率を計算してみましょう。
青山学院大学:文学部史学科(共通テスト利用入試)
(受験者数:504名)÷(合格者数:96名)=5.3倍
明治大学:理工学部機械工学科(共通テスト利用入試・前期日程3教科方式)
(受験者数:658名)÷(合格者数:200名)=3.3倍
これくらいの倍率なら、ちょっとがんばってみようって気になりませんか?でも、どうしてこんなに数値が違ってしまうのでしょうか。
実質倍率は、志願者数ではなく実際に試験を受けた人数(受験者数)を、定員ではなく実際の合格者数で割るので、当然のことながら志願倍率より数字が低くなります。
だから、志願倍率だけを見て受験をあきらめるのは間違いなのです。
志願倍率と実質倍率は毎年変わる!
ただし、志願倍率と実質倍率はあくまで昨年度以前のデータです。
特に、受験者数と合格者数は入試が終わって合格発表があるまでわからないので、事前に算出できませんよね。
しかも、2つの倍率は結局どちらも毎年変わるため、今年度の倍率が昨年度と同じくらいとは限りません。
むしろ、昨年度の倍率が高い大学、学部・学科では、不合格を避けたい受験生が受験を控えることもあるため、今年度の倍率が低くなる可能性すらあるのです。
したがって、結局「倍率もあまりアテにならない」ということになります。
倍率より合格最低点
「定員がさほど重要でなく、倍率が参考にならないのならば、何が大事なの?」って思いますよね。そこで意識して欲しいのが、「合格最低点」です。
いくら定員が少なくて倍率が高くても、合格最低点を超えれば合格できます。
「定員が少ないから、ちょっとムリ」「倍率が高いから受験をあきらめる」というのではなく、行きたい大学の合格最低点をしっかり調べ、それを超えられるように努力しましょう。
医学部・獣医学部などは例外?
ただし、医学部や獣医学部などの人気学部を受ける場合はちょっと話が違ってきます。これらの学部では、実質倍率が10倍を超えてくることも少なくありません。
そのため、浪人を避けたいならば、行きたい大学だけを考えるのではなく、安全校の確保として倍率が比較的低めの他学部の受験も検討するとよいでしょう。
まとめ:倍率に惑わされないで!四谷学院なら情報サポートもバッチリ!
今回は、大学入試にまつわる数字のうち、特に「定員」と「倍率」について解説しました。なかには「知らなかった!」「だまされるところだった!」という内容もあったのではないでしょうか。
大学入試では、情報を正しく理解することも大切です。その点、四谷学院なら入試情報コーナーで最新情報が入手できますし、プロの受験コンサルタントとも随時相談ができます。もちろん、志望校や併願校選びに関する相談もバッチリです。四谷学院で、受験の悩みを解決しましょう。