こんにちは、四谷学院の地理担当、本田です。
今日は、大学受験の「地理」の中から、「民族」「宗教」の勉強法について紹介します。
民族・宗教の分類
「民族」「宗教」の分野は地理の中でも最も暗記色が強い分野なので、苦手・嫌いという受験生も多いのではないでしょうか。
ちなみに、系統地理は「自然地理学」と「人文地理学」に分けることができ、「民族」「宗教」は文化なので、人文地理学に分類されます。
自然地理学と人文地理学の中でも「産業統計」の勉強法はこちらの記事で紹介していますので、こちらの記事も参照してみてください。
民族・宗教は暗記なのか?
まず、結論から伝えます。結論を言うと、
「覚えなくちゃいけない」
です。
暗記じゃないって言うと思いましたよね(笑)。
当然、単なる暗記ではないですよ!「なぜそうなるのか」という背景を理解しながら覚えていくなどが重要なことは間違いありません。ただ、背景知識を抑えながら、一問一答や穴あきのプリントなどで用語・宗教を覚えていくというやり方では限界がきます。
というのも、民族・宗教で最も聞かれるポイントは、「民族問題」であり、特に何教と何教の対立かを覚えなくてはなりません。これを全て覚えることは難しいでしょう。
民族・宗教の攻略法は?
ではどうすればよいか。そもそも、地理では宗教の何が聞かれるのでしょうか?どういう宗教かという中身ですか?違いますよね、それは倫理の分野です。
もう分かりましたか?
そう、地理という科目なので、場所・分布が聞かれるんです!
ということは、場所を確認しながら勉強することが試験対策に直結するということです。場所をある程度把握すれば、基本問題はぱっと判断できます。
実際に解いてみよう!
例えば、正誤問題を見てみましょう。
「アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ自治州では、仏教徒とムスリムの対立がみられる。」
〇か×か?
答えは「×」誤りです。
ですが・・・正しい文章にするためにはどう修正すればいいか分かりますか?
「アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ自治州では、キリスト教徒(アルメニア正教)とムスリムの対立がみられる。」正しい文章にするとこのようになります。
これを「言葉で覚える」のではなく、「場所を確認」して下さい。地図帳などで、世界の宗教分布を見てもらうと分かりやすいでしょう。
解説
まず、大枠をざっくり伝えると、ヨーロッパがキリスト教、西アジア・中央アジア・北アフリカがイスラーム、東・東南アジアが仏教ですよね。
今回のナゴルノ・カラバフ自治州は、西アジアのカフカス地方にあるアゼルバイジャンの話です。ここはヨーロッパとアジアの境界になっているので、宗教は「ヨーロッパのキリスト教(正教会)と西アジアのイスラームが混在している。少なくとも仏教徒が多いことはおかしい」ことが分かりますよね。
なので、この辺りでの民族問題はだいたい「キリスト教(正教会)とイスラームの対立」となるのです。実際に、この辺りでは他にチェチェン紛争も頻出なのですが、これも「キリスト教(ロシア正教)とイスラームの対立」です。
また、背景知識も重要です。インドから南に伝わった仏教が上座仏教、北に伝わった仏教が大乗仏教のように背景を把握し、分布を確認すれば「東南アジアが上座仏教、東アジアが大乗仏教」と把握できますよね。
このように分布・背景知識をおさえれば、暗記ではなく自然と覚えることができますよ!
ただし、宗教は文化であり、政治に利用されることも多いので、必ずしも分布・背景で説明できるわけではありません。例えば、インドネシアはムスリム多数派の国ですが、バリ島にはヒンドゥー教文化が残っています。元々インドネシアにはインドから仏教とヒンドゥー教が伝わり、その後西アジアからアラブ商人がやってきてイスラームが広まったので、ヒンドゥー教文化があること自体はおかしくないのですが、なぜバリ島にだけ多数派として残っているかは、そういう文化だからとしか言えません。
まとめ:「地理って暗記なの?」
今日は、大学受験の「地理」の中から、「民族」「宗教」の勉強法について紹介しました。
地理の入試対策においては、どうしても最後は「覚える」という作業が必要ですが、最初から全て覚えるのではなく、分布・背景知識から確認していく。説明できないものが残りますが、大枠さえおさえれば大した量ではありません。ここはがんばって繰り返し確認することで覚えていきましょう。ただし、その際も必ず地図帳を確認し、場所を把握するようにしましょう!
他の科目にも言えることですが、勉強のコツは普段から「なぜ?」ということを考えることです。民族・宗教が苦手・嫌いという人も、この姿勢を続けていけば、「もっと知りたい」という気持ちから地理が好きになるはずです!ぜひ前向きに取り組んで下さいね!
四谷学院は、「なるほど!」という本質の理解を大事にしています。授業でも単に暗記させるだけでなく、「なぜ?」や「勉強法」から伝えていきます。
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