受験勉強をしていると、「勉強に集中したいのに集中力が続かない……」という経験を一度はしたことがあるでしょう。そもそも人間の集中力は長くは続かないものですが、勉強方法や環境を工夫すると、集中力を最大限に高めることができるのです。今回は、集中力を低下させる4つの原因と、集中力を高める8つの方法について解説します。
目次
受験勉強に集中できない4つの原因
集中力が続かない原因は、もしかすると勉強の環境や自分の気持ちにあるかもしれません。ここでは、集中力に悪影響をおよぼす4つの原因を紹介します。
「物」の誘惑に負けてしまう
「勉強しなくては!」と思っていても、目に見える範囲にスマートフォンやゲーム、マンガや雑誌、テレビなどがあると、つい手が伸びてしまうものです。しかも、これらはいったん見始めてしまうと、よほど強い意志を持っていなければやめられません。
しかしながら、これらは片付けようと思えば片付けられる「小物」です。そのように考えると、それほどたいした問題ではないことに気付くでしょう。
やっかいなのは、排除が難しい「大物」や家族で共有している「物」です。
例えば、部屋にベッドや大きめのクッションなどがあると、休憩や睡眠の誘惑に負けてしまうこともあるでしょう。誘惑を断ち切るために場所を変え、リビングなどで勉強に取り組んでも、台所に家族が用意したおいしいスイーツやスナック菓子があれば、その魅力に抗うのは難しいものです。
ありとあらゆるところに潜む「物」の誘惑。受験生の戦いは、まず「物」の誘惑を排除することから始まるといってもいいかもしれません。
「人」の誘惑に負けてしまう
「人」の誘惑も、受験生の集中力を妨げる大きな原因の一つです。
親からの「おいしいケーキが焼けたよ!」「テレビにあなたの好きなタレントさんが出ているわよ!」という息抜きの誘い。無邪気な妹や弟からの「遊んで!」攻撃。仲の良い友だちや恋人から入る「週末はどうする?」などの問いかけ。
「今は勉強に集中させて!」と思いながらも、大切な人たちからの声を無視するのは心苦しいものです。結果として誘惑に負けてしまい、そのまま勉強に戻れなくなった経験はだれにでも少なからずあることでしょう。
もちろん、まわりの人たちとの関係を大切にすることはけっして悪いことではありません。むしろ重要なことです。しかし、あまりにも頻繁に勉強を中断されるとストレスがたまりますし、人間関係にもヒビが入りかねません。
良好な人間関係を維持しつつ、集中して受験勉強に取り組むためには、やはり何らかの対策を講じるべきでしょう。
勉強に飽きてしまう
勉強に飽きて集中力が切れてしまうのは、長時間勉強を続けているときに起こります。長時間椅子に座って机に向かっていると、息が詰まって勉強する手が止まってしまうのです。
特に飽きっぽい性格の人は要注意。飽きっぽい人は、好奇心旺盛でいろいろなことに興味を持ちやすい側面があるため、「物」や「人」の誘惑に負けやすくなります。「やる気はすごくあるけれど集中力が続かない」という人は、このタイプかもしれません。
勉強できる精神・健康状態ではない
「もともと勉強嫌いではないのに集中できない」という場合は、メンタル面や健康状態が影響している可能性があります。
例えば、部活のトレーニングがハードでとても疲れている場合や、前日の深夜までゲームをしていて睡眠不足の場合など、そもそも勉強できる状態ではないケースもあるでしょう。
また、風邪気味で頭がぼんやりしているとき、ストレスで胃腸の調子が悪いときなど、体調が万全でないときに勉強に取り組んでも、当然のことながら集中できません。
その他、「先生に怒られてイラついている」「成績が下がって不安になっている」など、メンタル面が不安定になっているときも、勉強に集中するのは困難です。
このように、心や体の健康は集中力にも影響をおよぼします。志望校合格を勝ち取るためには、心身を健康に保つことも大切です。そのことを忘れないでください。
受験勉強の集中力を高める!勉強に集中する方法8選
ここからは、勉強の集中力を高める8つの方法を紹介します。もっとも、特別なことをする必要はまったくありません。勉強環境や生活を少し工夫するだけなので、集中力アップを目指す受験生は試してみましょう。
睡眠をしっかり取る
集中力をアップさせる方法はいろいろありますが、どのような方法を選んでも、疲労や不調がある状態では十分な効果は期待できません。そのため、集中力を高めたいならば、まず睡眠をしっかり取って体の調子を整えることが重要です。
実際、睡眠不足が続くと、集中力だけでなく思考力や記憶力といった脳の機能が低下します。このような状態を避けるためには、睡眠時間を8時間ほど確保し、平日休日を問わず、なるべく同じ時間に寝起きすることが大切です。規則正しい生活が習慣となれば、昼間に眠くなることもなく、脳のコンディションを良い状態でキープできるでしょう。
また、睡眠不足はストレスやイラつきとも深い関係があります。ネガティブな気持ちを抑えて集中力を高めたい場合は、勉強前に軽く仮眠して脳をクールダウンさせるのもおすすめです。
勉強する場所を変える
以下のような環境は、勉強場所としてあまりふさわしくありません。
・家族の声やテレビの音で、集中が途切れることが多い
・部屋が快適すぎて、一人だと気がゆるむ・怠けてしまう
・ベッドやお気に入りのクッションが近くにあって、つい寝ころびたくなる など
このような場合、特に自分の部屋で集中できない場合は、思い切って勉強する場所を変えてみましょう。
静かな場所で集中力が高まるなら、私語の少ない図書館がおすすめです。多少ざわついているほうが集中できる場合は、家族がいるリビングもよいでしょう。一人で勉強をしていると怠け癖が出てしまう人は、予備校や塾の自習室を活用してみてはどうでしょうか。
場所を変えるだけで、集中力が飛躍的にアップする場合も少なくありません。今の環境が勉強にふさわしくないと思う場合は場所を変え、自分に合う集中しやすい場所で勉強に取り組みましょう。
勉強する環境を整える
プリンストン大学の研究では、散らかった部屋を片付けることで集中力や情報処理能力が改善することがわかっています。これを応用して、自室の環境を勉強しやすく集中しやすいものに変化させましょう。
まず、スマートフォンやマンガ、趣味で集めているフィギュアなど、勉強に不要なものはすべて机の上から排除します。「気に入っているものを、少しだけなら残してもいいでしょ?」と思うかもしれませんが、これらの「物」が視界に入ると気が散ってしまうため、勉強に集中できません。自室の環境を整え、勉強に集中しやすい部屋にしたいのならば、勉強に関係ないものはすべて排除しましょう。模試やテスト直前で片付けるのが時間的に難しい場合は、見えないように布で隠す方法も効果的です。
もちろん、集中しなければならないのは模試やテスト直前期だけではありません。普段からこまめに机を掃除したり整理したりして、勉強に集中しやすい環境を整えておきましょう。
家族や友人に協力を仰ぐ
家族からの声かけや友人からのLINEなど「人」の誘惑に弱い人は、自分のスケジュールをまわりの人と共有して協力を仰ぐのがおすすめです。
だからといって、1日のスケジュールをまるまる教える必要はありません。「今から暗記科目の勉強だから、20時まで声をかけないで」「今日は忙しいけれど、明後日なら会えるよ」など、勉強前に予定をほんの少し伝えるだけでいいのです。
このように、自分から積極的にコミュニケーションをとり、スケジュールを共有・宣言するだけで、学習中に声をかけられることはほとんどなくなります。「大切な人を無視している」という罪悪感もなくなるため、精神的なストレスも感じにくくなるでしょう。
勉強の習慣化と独自ルーティンを作る
「勉強が苦手だ」「毎日勉強するのはちょっと面倒」などと感じている場合は、勉強を習慣化してしまいましょう。勉強が日常生活の一部になってしまえば、無理なく集中して勉強を続けられるようになります。
最初は短時間でも構いません。勉強を習慣化するために、1週間や2週間など期間を決めて、毎日勉強することから始めましょう。
期間を終えて一度勉強をやめてみると、勉強しない自分に居心地の悪さや焦りを感じるはずです。そして勉強することが当たり前になると、1日8時間といった長時間の勉強もあまり苦ではなくなってくるでしょう。
加えて、勉強を開始する前や勉強する時間帯などに独自のルーティンを作っておくと、さらに効果的です。
例えば、勉強道具をセッティングする、英単語を暗唱するなど、勉強を始める前にやる「儀式」をほんのちょっとルーティン化するだけでも構いません。勉強する時間帯をルーティン化する場合は、帰宅後すぐ、登校前、寝る前など、毎日の生活の節目に勉強を組み込むとうまくいきます。
儀式と時間帯を組み合わせて、「毎朝6時から勉強する」+「勉強前はコーヒーで眠気を覚ます」などのルーティンを作れば、よりスムーズに学習に入れるでしょう。
1日にやることを決める
1日にやる勉強をあらかじめ決めておくと、それを終わらせるために集中して勉強するようになります。1日の計画を立てる際は、1週間の大きな目標を立てて、曜日ごとに振り分ける方法がおすすめです。1日の勉強量をできるだけ多くしておくと、計画を進めるために「なんとか終わらせよう」というモチベーションにつながります。
また、ストップウォッチで時間を計るのもよいでしょう。集中力がより高まるうえに、試験での時間配分がうまくなることも考えられます。
休憩を適度に取る
机で長時間勉強すると、疲れや眠気で集中力が切れてしまうものです。無理に勉強を続けるよりも、適度に休憩を取ると気持ちをリセットできます。休憩時間が長くなってしまいそうな場合は、机で軽食を取る、座ったまま仮眠する、立って軽く体を動かすなど、メリハリを付けるとよいでしょう。
集中力を高めてモチベーションを維持するためにも、休憩を適度に取ることは欠かせません。自分が集中可能な時間を知り、ちょうど良いタイミングで休憩を取るようにしましょう。
軽く運動する
机に向かったものの頭が動かない、考えると手が止まってしまう、という場合は軽く体を動かすのがおすすめです。体を動かすことは気分転換になるだけでなく、脳の血流を改善する効果も期待できます。軽い筋トレや散歩など、短時間でできる運動を取り入れてみましょう。
スウェーデンのヨンショーピング大学の研究では、勉強前のたった2分ほどの運動で、集中力や記憶力などがアップすることが明らかになっています。運動の種類は軽いものでも激しいものでもよく、その効果は最大2時間続くとのことなので、勉強に行き詰まったらぜひ体を動かしてみてください。
まとめ:集中できない原因を理解し、行動を起こしましょう!
勉強に集中できないときは、その原因を探して解決することが重要です。集中力を高める方法を実践すると、いつでも集中力を取り戻すスキルが身に付きます。しかし、集中力は長時間続かないため、適度に休憩を取り、気分をリフレッシュさせることも大切です。
独学ではどうしても集中力が持たない場合は、予備校に通い、勉強する環境に身を置くことも有効でしょう。四谷学院で行う55段階個別指導は、段階を1つずつクリアしながらテストで身に付いているかを確認する方式です。達成感を味わいながら次に進めるので、独学よりも効率よく、かつ着実に学力がアップします。説明会や資料請求で、四谷学院のメリットをぜひ知ってみてはいかがでしょうか?