こんにちは、四谷学院の山中です。
本日も数学の入試問題についてのコラムをお届けします。
慶應でも出題された!?うそつきパズル
前回紹介した正直者とうそつきパズルですが、十年以上前ですが、慶應義塾大学が二年連続して出題したことがありました。
念のため繰り返しておきますが、「出るかもしれないから練習する」のはまず間違いなくムダですからね。こういう見慣れない問題が出てもあわてない、という心の準備だけしておきましょう。
今回ご紹介するのは2004年総合政策の出題です。
天使はつねに真実を述べ、悪魔はつねに嘘をつく。A, Bは悪魔か天使であることはわかっているが、どちらかはっきりしない。
Aがこういった。
「わたしが天使ならば、Bも天使です。」
この二人の正体は□□□である。[選択肢]
1.A, Bともに天使 3.Aは悪魔、Bは天使 2.Aは天使、Bは悪魔 4.A, Bともに悪魔
さて、問題へはどのようにアプローチしたら良いでしょうか?
【解法】嘘つきパズルが入試で出たらこう考えよう
もし万が一、入試でこの問題に出会ったら、考え方は
↓
「わたしが天使ならばBも天使」は正しい
↓
Aは天使だからBも天使
ですがそれはそれとして、問題としてちゃんと考えてみましょう。
まず「pならばq」という命題について考えます。
「pならばq」であることが間違いとなるのは、「pであるがqでない」場合のみです。
例えば
「来年阪神タイガースがペナントレースで優勝したら、私は道頓堀に飛び降りる」
と発言した人がいたとして、この発言がうそとなるのは、
「来年阪神タイガースがペナントレースに優勝して、かつ、発言した人が道頓堀に飛び降りなかった場合だけ」
です。阪神が優勝しなかった場合は、道頓堀に飛び降りようが飛び降りなかろうが、うそではないということです。(でも飛び降りちゃダメですけどね)。
したがって、天使もしくは悪魔の発言に関する次の定理(!)が成り立ちます。
詳細を書いてみるとこんな感じですね。
Aがうそとなるのは、発言者が天使であり、かつpでない場合に限られる。
しかし、天使はうそをつけないので、Aはうそではない。
よってAは本当であるから、発言者は天使。
さらに、Aが本当で、発言者は天使であるから、pは本当である。[証明終]
ここで問題に戻ると
発言者Aは天使であり、上の定理でpにあたる「Bも天使」も正しいということが改めて分かりますね。従って1が正解、ということになるわけです。
【やってみよう!】うそつきパズル
では最後に、同じ設定で次の問題を解いてみてください。(・・・もちろん先に今日の課題を終えてからですよ!)
A, Bは悪魔か天使であることはわかっているが、どちらかはっきりしない。
Aがこういった。
「Bが天使ならば、私は悪魔ですよ!」さて、AとBはそれぞれ天使、悪魔のいずれか。
ここまで読んだあなたなら、すぐに正解できますね。
正解はまた次回。