こんにちは、四谷学院の岩佐です。
この記事では、東京大学の入試について、詳しく解説をしていきます。
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目次
東京大学の試験制度
東京大学は、学部ではなく「科類」ごとに出願し、入試を行います。
入試問題は科類ごとには分かれておらず、「文科」「理科」の2パターンです。
<文系の配点表>
教科 | 英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 社会 | 合計 |
センター | 200 | 200 | 200 | 100 | 200 | 900 |
二次試験 | 120 | 120 | 80 | – | 120 | 440 |
<理系の配点表>
教科 | 英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 社会 | 合計 |
センター | 200 | 200 | 200 | 100 | 200 | 900 |
二次試験 | 120 | 80 | 120 | 120 | – | 440 |
東大の入試では「二段階選抜」が行われます。
第1段階選抜では出願期間終了後、二次試験の倍率がおおよそ3倍になるように、科類ごとにセンター試験の得点に基準点が設けられます。全出願者のうち、その基準点以上の得点を取った受験生のみが、二次試験を受験することができるのです。
この第1段階選抜における基準点は年によって異なり、前年度から点数が大きく変動することもしばしばです。
まずはセンター試験で高得点を取り、第1段階選抜を確実に突破する力をつける必要があります。
実際の合否判定の際には、センター試験の得点率は110点まで圧縮されます。
第1段階選抜では900点満点だった合計得点に110/900をかけた数値が実際の得点となります。
よって、センター試験の得点は全配点中の5分の1に過ぎません。
残りの5分の4を占める二次試験でしっかり点数を取ることが、東京大学合格のためには必要なのです。
二次試験の記述問題で合格点を勝ち取れるように各科目の傾向を把握していきましょう。
東大の英語攻略法
英語の試験時間は120分、120点満点の試験です。
ちなみに、英語の問題は文系理系共通の問題です。
大問5つの構成は一定ですが、単純な読解や文法・語彙問題ばかりでなく、自由英作文や、英文を日本語で要約する問題など、バラエティ豊かな問題が出題されます。
特に苦手な出題形式がある場合には、その形式の問題を複数年度、集中的に解くのも良いでしょう。
また、試験にはリスニングも含まれており、試験の開始から45分経過した頃にでリスニングの放送が挟まる形式になっています。
様々な出題形式で多角的に英語の能力が問われます。また、問題の量も多く、途中にリスニングが行なわれるため、他の大学以上に『時間配分』を意識して問題を解いていくことが必要になります。
また、出題形式の中で特に苦手なものがある場合には、過去問題集を利用して集中的にその形式の問題を解くことも効果的です。
東大の国語攻略法
文系は現代文多め
文系・国語の試験時間は150分、120点満点の試験です。
現代文1題・古文1題・漢文1題が文理共通で、文系はさらに現代文がもう1題出題されます。大問1では抽象度の高い評論文が出題されています。
文章の内容をつかむ読解力が求められるだけではなく、指示された内容を自分の言葉も用いて記述する語彙力・表現力や本文の主旨を枠内に収めるための要約力も必要となります。
また、大問4では随想的な文章の出題が多いため、全体の主旨を踏まえた上で、比喩や慣用表現を、直接的・具体的・論理的な表現に書き換えることを意識しましょう。
古文は重要古文単語と文法の正確な知識・理解があることをアピールしましょう。解釈の設問では、傍線部の内容とともに、主語を明示し、本文全体の文脈を押さえて書くことがポイントです。
漢文の設問では「わかりやすく」「具体的に」「平易な」といった条件が付いていることが多いため、大意を理解したうえで、簡潔な表現でまとめなおすことを目標にしましょう。
理系は文系より少なめ
理系・国語の試験時間は100分、80点満点です。
現代文1題・古文1題・漢文1題の構成です。文系と同じ文章ですが、各大問から設問が一部カットされた出題となります。
現代文は本文中のキーワードを確実に押さえながら、短時間でコンパクトにまとめる力が求められます。字数調整のためには、あまり本文の表現を借用し過ぎないようにして、適宜自身の言葉を用いて表現することが必要です。
一方、古文・漢文は標準的な難易度であり、学習量が得点に出やすい科目でもあるため、古文・漢文を得点源とした上で、いかに現代文の得点を積み重ねられるかが勝負の分かれ目となります。
東大の数学攻略法
文系は難易度低めを確実に
文系・数学の試験時間は100分、80点満点の試験です。
数学は大問4つで、通常理系と共通の問題が1~2問ほど含まれます。
分野としては整数・確率・関数・図形という組み合わせが多いですが、特定の分野に偏らずにまんべんなく出題される傾向にあります。
難易度の低い大問と高い大問が組み合わさった構成となっていることが多いため、難易度の低い問題を見抜き、確実に得点を取る力が必要となります。
ただし、近年は教科書レベルの内容がしっかり理解できていれば、得点できる問題の割合が増えてきています。
理系は空間図形がお好き?
理系・数学は、試験時間が150分、120点満点の試験です。大問は全部で6問です。
まずは大まかに完答2問・部分解答3~4問が目標点のための条件であると考えましょう。
比較的解きやすい問題から深い思考力を問われる問題まで、難易度にはある程度幅があります。よって、過去問を年度単位で解き、手のつけやすい問題から解いていく練習を積んでいきましょう。
たとえば「5分間考えて何も思い浮かばない」ときは次の大問に移る、など、柔軟な対応ができるようになることも合格には必要です。
各単元からまんべんなく出題されていますが、他大学と比較すると空間図形を好んで出題する傾向にあります。図形的な状況を把握する力が必要とされることも少なくないので、日ごろから問題を解く際に「図を描いて考える」ことを意識しましょう。また、採点者に伝わる答案を書く技術も重要です。
東大の社会攻略法
社会は、文系のみが受験します。試験時間は2科目合計150分、各60点満点です。
例年、日本史は大問4つ、世界史・地理は大問3つで構成されています。
2科目で150分という時間設定なので、過去問演習のなかで各大問ごとの時間配分の目安を決めておきましょう。
日本史は論述中心
大問4つが、それぞれ古代・中世・近世・近現代から出題されます。
すべて論述問題で、30~120字程度のものが大問につき3つずつ程度あります。
いずれの問題も単純な知識を問うものではなく、史料や表をヒントにして、与えられた問いに答えていくという思考力が必要な問題がよく出題されます。
もちろん、そうした資料を適切に読み解く力も問われます。近世と近現代の問題は前提のとなる知識がある程度ないと解答できない出題になっていることが多い傾向にあります。
また、近現代の問題には資料がない場合もあります。よって、古代中世よりも近世以降に重点をおいて知識をつけていくことが必要です。
中世以降は社会経済史が問われることも多いので、産業・流通・貿易といった経済分野の学習が漏れないように気を付けましょう。
世界史は大問1に注意
大問1が500~600字の大論述1題、大問2が小論述4~6題、大問3が語句の単答記述問題となっています。
世界史も全時代・全地域から出題されるため、苦手な時代・地域を作らないように学習を進めていく必要があります。
大問1は、8個程度の指定語句をすべて用いて500字~600字で記述するというもので、世界史の縦の繋がり・横の繋がりを把握できているかどうかが問われます。
この大問1が非常に難しく、続いて大問2、大問3の順で、難易度がはっきりしているので、大問2、3で高得点を取り、大問1で得点を稼ぐことができるかが、合格への鍵となります。
地理は資料読み取り中心
地理の問題はいずれも資料の読み取り問題になっているため、普段から「なぜこういった統計になるのか」や背景知識などをおさえておくことが必要です。
30~90字程度の記述問題が合計15~18題ほど出されるため、時間をかけずに短くまとめる練習をしていきましょう。
日本に関する問題は毎年、地形図は隔年で出題されているため、地形図と日本地誌は重点的に対策していきます。
さらに時事問題、その中でも特に経済・人口・都市・地域社会についての問題が問われているので、日ごろからどういったニュースが取り上げられているか、アンテナを張って、情報収集に努めましょう。
東大の理科攻略法
理科は、理系のみが受験します。試験時間は2科目合計150分、各60点満点です。
例年、どの科目も大問3つから構成されています。
物理は難しいが・・・
大問1が力学、大問2が電磁気学、大問3が波動または熱力学からの出題が通常のセットです。
東大の物理は最難レベルではあるものの、物理という科目の性質上、基本原理を根本から理解し、与えられた設定に対して原理を適用していくという方法論をつかめば、高得点を取ることが可能です。
また、基本的な状況の確認、適切な物理公式の利用ができれば、少なくとも各大問の前半は解答できます。必要以上に苦手意識をもたず、基礎からの学習を徹底していきましょう。
化学はスピードを意識
大問3題の構成ですが、各大問はⅠとⅡにわかれており、実質6題を75分(2科目150分)で解くことになります。大問1は理論化学、大問2は理論化学+無機化学、大問3は有機化学+高分子化合物から出題されます。
いずれの問題においても、与えられた文章、図表をすばやく読み取ったうえで、適切に処理していく力が求められます。
正確で速い計算力も、高得点のための大きなカギとなります。そのために実戦的訓練が必要なのはもちろんですが、そのときの読解力、思考スピードを支えるのが、土台となる基礎力です。
つまり、直前期には、過去問演習と並行して、徹底した基礎固めが重要になります。
生物は図表の読み取り
大問3題の構成で、いずれも実験考察を中心とした問題構成となっています。
実験内容も基本的には見たことがないものが出題されると思った方がよいでしょう。そのため文章、図表の読み取りがカギとなります。ただし、各大問の序盤の小問では、基本知識を問う出題として、
基本用語、正誤判定、典型的な知識をもとにした論述などが見られるので、ここで失点することがないよう、基本知識に穴がないようにしましょう。
基礎知識は実験考察問題を解くためにも、もちろん必要です。
過去問演習を通して初見問題に対応する力を養うことも重要ですが、その演習後には、復習にもしっかりと時間を割く必要があります。
復習時に意識すべきポイントは、
「実験全体の目的を把握する」
「一つ一つの実験の目的を理解する」
「実験全体を見渡し、どのような流れで実験全体の目的が達成できたのかを理解する」
の3点です。
また、過去問演習で初めて見たトピックについては、知識を深めるために図説などで概要をチェックしておきましょう。
東京大学入試問題:まとめ
東京大学の入試問題の特徴について見てきました。
東大に現役合格するためにもどのような問題が出題されているのか、傾向についてしっかり把握しておきましょう。
しかし、東京大学だからといって、特別なテクニックが必要なわけではありません。
必要なのは基本的な知識の根本からの理解であり、また、それを試験の現場で自力で使うことができる力です。
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